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D2Cの市場規模は?現状と動向を解説

世界的に参入する企業が増えているD2C。この記事では、日本や海外の市場規模、なぜD2Cが拡大しているのか、今後の動向、これからD2Cを始める企業が成功するために抑えておきたいポイントをまとめました。

D2Cの市場規模は?現状と動向を解説(サムネイル)

D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
KPIの用語説明や使い方だけでなく、D2Cのビジネスモデルについても解説しています。
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日本のD2C市場規模

 
日本におけるD2Cの歴史はまだ浅く、D2Cの市場規模を正確に調査したデータは現在のところ存在しないようです。ただし、「2025年には3兆円に達する予測」など、多くの企業がD2C市場に参入し市場規模が拡大している状況です。
 
 

D2C市場が拡大した背景

 
次に、日本のD2C市場規模が拡大している背景を「EC業界の拡大」「ウィズコロナ時代のビジネスモデル」の2つの視点で解説します。
 
 

EC業界の拡大

 
D2Cを始める場合、最初の販売先としていきなり店舗を持つよりもEC(Electronic commerce:電子商取引)を活用することで、場所や時間を問わず販売が可能になります。
 
今まで消費者の主な購入先は店舗でしたが、ここ数年でオンラインでの購入や比較検討がしやすくなり、ECで買い物をする顧客が増えました。これらはD2C企業の後押しになっています。
 
ECの市場規模をデータでも見てみましょう。経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2020年の物販系の国内 B2C-EC 市場規模は12兆2,333億円となり、2019年と比較すると21.71%伸び順調に拡大しています
 

日本のB2C-EC市場規模とEC化率の推移

日本のB2C-EC市場規模とEC化率の推移


現在 B2C-EC 市場は、楽天などの大手プラットフォームが大きな割合を占めていますが、今後はEC市場におけるD2Cの割合が拡大すると考えられてます。
 
 

ウィズコロナ時代のビジネスモデル

 
感染症拡大による消費者の行動の変化は実店舗での売上減少を招き、「製造者」と「販売者」にダメージを与えました。
 
経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」では、実店舗を主流としてECに取り組んでいなかった製造者や販売者が新たにB2C-EC市場に参入していると報告されています。
 
また、同報告書では2020年に見られた顕著なトレンドとして、低価格・無料のECプラットフォームでの新規のネットショップ開設数が急増したことが報告されています。この点からもD2Cの参入が増えていることが読み取れます。
 

ネットショップ開設時における初期費用の無料を謳うBASE株式会社の発表によれば、2020年2月時点での同社のプラットフォームを活用するネットショップ開設数は90万であったところ、同年12月時点でその数は130万にも増えたという。僅か10か月間で40万ものネットショップが同社のプラットフォーム上に新たに開設されている。他の低価格・無料のECプラットフォームでも類似した事象が見られることから、中小零細企業によるBtoC-EC市場への新規参入が、新型コロナウイルス感染症拡大によって促されたと言える。このような状況が、BtoC-EC市場規模拡大の背景にある。

(経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」より)
 
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海外のD2C市場規模

 
この章では海外のD2C市場規模について、米国とヨーロッパに着目して解説します。
 
 

米国のD2C市場規模

 
米国の市場調査会社であるeMarketerによると、米国のD2C eコマースの売上は、過去6年間で3倍以上に増加しています。
 
2016年に約4兆9,000億円(360億8,000万ドル)だった市場は、2021年にはおよそ3.5倍の約17兆4,000億円(1,283億3,000万ドル)に拡大しました。2024年末には約28兆9,000億円(2,129億ドル)に達すると予想されています。毎年右肩上がりに上昇しており、市場規模が順調に拡大していることがうかがえます。
 

米国のD2C-ECの売上高

米国のD2C-ECの売上高(出典:eMarketer 米国のD2CEコマース売上高、2018年から2024年


経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」では、米国において近年D2C市場規模が拡大している背景として次の2点をあげています。
 
 

百貨店やアパレル大手の倒産

 
米国では百貨店やアパレル大手の倒産並びに店舗の閉店が続いています。たとえば、97年の歴史を誇る高級衣料品店「米国バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」は、2019年8月に経営破綻し全米の店舗を閉店しました。
 
また、米国の老舗紳士服ブランドである「ブルックス・ブラザーズ」は、2020年7月に日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条において破産申請を行っています。
 
こうした多くの小売店の倒産や店舗閉店は、急速に「販売者」が消失することとなるため、B2Bとして経営を行ってきた「製造者」は早急に小売店に依存しないビジネスモデルへのシフトが必要となりました。その解決策の1つが「D2C」であったと推測されます。
 
 

プライベートブランドの定着

 
メーカーのような「製造者」と、「小売業」などの販売者が連携して開発するD2Cビジネスモデルの1つが「プライベートブランド」です。身近なものとして、コンビニやスーパーのプライベートブランドがイメージしやすいのではないでしょうか。
 
米国では近年、小売事業者によるプライベートブランドが拡大し、消費者からブランド製品と変わらない信頼と評価を受けるレベルまで成長しました。
 
感染症拡大の影響で、米国大手小売業者がEC事業を強化していることもあり、プライベートブランドの市場拡大の追い風となっています。
 
 

ヨーロッパのD2C市場規模

 
ヨーロッパも日本や米国同様、感染症拡大によってEC需要が急激に高まりました。
 
ヨーロッパの中で最もECが拡大している国がイギリスで、世界でも中国・アメリカに次いで3番目のEC大国です。ドイツのデータ調査会社Statistaの調査によると、2020年イギリスのメーカーが生み出したD2Cの売上高は15兆8,200億円(960億ポンド)でした。国民の半数以上が店舗よりもオンラインでの購入を希望するなど、消費者ニーズもECの普及を加速させているといえます。
 
ヨーロッパ全体として見ても、ドイツ・フランス・スペインなどECの普及が進んでいることや、エシカルなブランドが流行るなどコンセプトを明確に持った企業も多く、これからもD2C市場は拡大していくと考えられます。
 
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D2Cとは?

 
「D2C」の定義を改めて確認しておきましょう。
 
D2Cとは「Direct to Consumer(顧客に直接)」の略称で、メーカーが自社の商品やサービスを直接消費者に販売するビジネスモデルを指します。
 
現在あるビジネスモデルの多くは、製造者(メーカー)が製造したサービス・商品を、卸売や小売業者、ECモールの手を介して消費者が購入するという流れです。
 
D2Cは、従来のビジネスモデルでいう「製造者」と「販売者」の役割を一手に担い、直接消費者とつながることができるビジネスモデルです。
 
 

B2B、B2Cビジネスとは

 
D2Cと特に混同しやすいものとしてB2BやB2Cがあります。
 
B2Cは企業と消費者間の取引で、B2Bの場合は企業と企業間の取引です。つまり、企業から消費者に販売するD2CはB2Cに含まれますが、両者の大きな違いは製造者と消費者の間に小売業などの仲介業者がいるかどうかです。

D2Cと他のビジネスモデル

D2Cと他のビジネスモデル


B2BやB2Cビジネスは、商品やサービスを「作る」役割と「売る」役割が分かれているので、それぞれの専門性が高まり、ビジネスを拡大させることに長けていました。
 
現在の日本企業を見てみると、家電メーカーや家電量販店のように「作る役割」と「売る役割」に特化した企業が大規模な組織を構成しているのがわかります。 
しかし、B2Bのビジネスモデルでは、メーカーが消費者のニーズや価値観をダイレクトに把握することは困難です。
 
また、B2Cのビジネスモデルでは、小売業は消費者のニーズや価値観を把握しやすい一方で、それらを反映させた商品開発を行うことはできません。
 
その点D2Cは、「製造者」と「販売者」の役割を1つの企業が担って、消費者に直接商品を販売するビジネスモデルです。そのため、消費者のニーズや価値観を把握して商品開発に反映させることができます。
 
D2C事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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D2C市場の今後

 
今後は「自社のECサイト」「実店舗」の2つの販売チャネルをバランスを考えて運営していくことが重要です。
 
自社のECサイトで売上を拡大した企業が、リアルコミュニケーションがとれる直営店を構えるケースも出てきました。なかには顧客との接点を持つことに重きを置き、あくまで商品は売らない「ショールーム型」の店舗も。
 
「試着してみたい/触ってみたい」「実物を見たい」などECサービスのみでは購入のハードルが高い商品を実店舗で体験してもらいECへ誘導する、その結果来店した方のロイヤルティが高まるなど、デジタルとオフラインを融合した取り組みが増えています。
 
消費者側が商品の機能的価値だけでなく、環境に良い、ブランドの世界観が好きといった「機能的価値以外の買う理由」や「どんな体験が得られるのか」までを一つの価値として見るようになってきたのに応じて、企業側のあり方も変わってきていると考えられます。
 
販売チャネルのバランスは、自社の商品とサービスの特徴、消費者のニーズ、消費者の価値観、消費者のライフスタイルなどを分析しながら最適化することが望ましいでしょう。
 
 
D2Cは、コロナ禍で加速した価値観やニーズの多様化、消費行動の変化に対応できるビジネスモデルです。前述の米国やヨーロッパの市場規模からも分かるように、日本だけでなく海外においてもD2C市場は今後ますます発展すると考えています。

今回の記事がD2C市場への参入を検討している方の参考になれば幸いです。
 
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