広告の費用対効果を改善するために大切なのが、LPのコンバージョン率(CVR)を0.1%でも高めること。
一般的に通販ECでは、A/Bテストをくり返し定量的な数値をもとに改善仮説を立てますが、それに加えユーザーテストによって“お客様の本音”を定性的に拾い、CVRを大きくアップさせる事例が増えてきました。
その具体的な方法と、テストの結果分かった改善ポイントをお伝えします。
目次
A/Bテストだけではダメなの?ユーザーテストが欠かせないワケ
LPのCVRをアップさせるために、 どんな方法をとっていますか?
過去のA/Bテストで出た数値指標を参考に、改善の仮説を立てるのが一般的でしょう。
数値指標は、定量的で分かりやすいのがメリットです。
しかしそれだけでは、「実際に商品を購入するであろうユーザーの思い」や「買わない理由」といった、改善のヒントになる重要な情報を把握するのが難しい、というデメリットもありました。
そこで私たちが始めたのが、「ユーザーの声」を拾うことでした。
ユーザーに直接LP を見てもらい、課題や気になる点をヒアリング。
定性的な情報を収集して、クリエイティブ改善に活かすことを目的としています。
ユーザーの声を拾うといっても、不特定多数へのアンケートをしただけでは、改善のヒントはなかなか見つかりません。
重要なのは、「実際に商品を購入するであろうユーザー」=「自社商品のターゲット」に近いユーザーを抽出すること。
たとえば、化粧品を販売する企業にとってターゲット顧客が「40代 乾燥肌に悩む女性」の場合、その条件に当てはまる3〜10名ほどのモニターの方をお呼びします。
モニターの方には、自社商品や競合商品のLPを見てもらいます。
「スクロールの速度が一定か?ところどころ止まってどこを見ているか?」を観察したり
「どこに興味をもったか?」や「商品を購入しようと思ったか?」などを、その理由とともにヒアリングしていきます。
このようなプロセスを通じて、ターゲット顧客の本音を聞かせてもらうのです。
「ストーリー通りに読まない」100名のユーザーと向き合って判明
このユーザーテスト、これまで約10社で行ってきました。
テストにもとづいてLPを改善すると、それまでのLPと比べて、驚くほど高いコンバージョン率が出ています。
CVRの平均改善率は、20%程度。
ある健康食品では、 CVRが2倍にはね上がったこともありました。
ユーザーテストとLPの改善テストを重ねるなかで、ほとんどのケースで共通していた傾向がありました。
ユーザーは、「企業側の想定したストーリーどおりには読んでいない」ということです。
どういうことでしょう?
一般的なLPにおいては、いかに購入させるか?の 「流れ」や「コンテンツの順序」を意識して制作しています。
「AIDA」や「PASONA」といった法則にもとづいて、コンテンツを配置。
これを私たちは、 「つなぎのLP」と呼んでいます。
ところが、ユーザーテストの結果、ストーリーを順番に追っているターゲット顧客の割合は非常に低いことが判明しました。
では、どのように情報を追っているのか?
自分にとって興味のある情報しか読んでないのです。
・自分に合う商品か気になっている方は、まず体験談を
・特定の成分に惹かれた方は、成分の解説を
・「有名人のオススメ」に注目した方は、推薦コメントを
まず目を向けるのは、それぞれ興味の入り口となった情報で、他のコピーや写真は読み飛ばしてしまいます。
したがって、綺麗な流れを意識して「つなぎのLP」を制作するよりも、もっと重要なことがあるのです。
「悩み/理想」「販売実績」「価格」、見せ方の3つの法則
CVRの高いLPを制作するうえで、大切なこと。
それは、ファーストビューから順番に「いかに 離脱を防ぐか?」です。
多くのLPでは、ファーストビュー(FV)で80%近くのユーザーが離脱することが分かっています。
この数字は、ヒートマップを活用した測定結果によっても裏付けられています。
わずか数秒間でユーザーの興味・関心を引かなければ、ユーザーは離脱してしまいます。
したがってFVから序盤にかけて、いかに顧客の注意を引き「離脱を防ぐ」ことができるか?が最も重要なのです。
そこで、 私たちが提案することが多いのが、結果にこだわった「守りのLP」です。
ストーリーを整えて「いかにキレイにつなぐか?」よりも、 「いかに離脱を防ぐのか?」を重要視して、上から順番に強いコンテンツを並べていきます。
では、ユーザーを離脱させないためには、具体的にはどのようなコンテンツを揃えていけばよいのでしょうか?
法則1:「悩み」や「理想」は、万遍なく広範囲に揃える
1つ目は、「悩み/理想エリアのコピー」です。
「こんなお悩みはありませんか?」といったユーザーの悩みや「こんな○○になりたい」といった理想など、ユーザーにとっての理想を並べるエリアが、FV直下にありますね。
この悩み/理想エリアが、ユーザーが離脱しやすいポイントです。
具体的には、ユーザーにとってピンときたり、共感するポイントがなければ、すぐに離脱してしまいます。
逆に、1個でも「私に当てはまる!」と感じてもらい、“自分ゴト”となれば、次も読み進めてくれます。
そのために重要なのは、悩み/理想を広範囲に表現すること。
たとえば、「初めて会った人からの評価」や「友人からの評価」、「自身の評価」といったように万遍なく揃えていきます。
法則2:販売実績は、「幸せ」イメージとともに
2つ目は、「販売実績の表現法」です。
「○万個突破」や「リピート率○%」、「売上No.1」など、多くのお客様に売れている事実を表現しているLPはよく見られます。
この販売実績、「30万本」や「90%」など具体的な数字を添えて信頼性を高めることは大事ですが、実は見逃されやすいポイントがあります。
それは、「幸せ」なイメージとともに定量的な数字を伝えること。
「多くの人が、商品を使うことで幸せになっている」ことを表現すると、この販売実績が、お客様の心にとってより響くようになるのです。
実績に続いてお客様の写真や声などを載せ、商品を使用した後のポジティブなイメージを喚起するようにしましょう。
法則3:価格の見せ方は、絶対価格→お得感
3つ目は、「価格の見せ方」です。
たとえば、「2,000円の商品が、1,000円と半額に割引」といったオファーの場合、ユーザーの頭の中では価格はどのように認知されるのでしょうか?
ユーザーはまず、「1,000円」という価格が、「自分にとってお金を出してよい範囲内か?」「サプリメントにかけてもよい費用か?」を判断します。
そのうえで、絶対的な価格水準がOKとなったら、「どれだけお得か?」すなわち割引額や割引率、特典などをチェックしていきます。
たとえば、このオファーの例の場合、絶対価格(1,000円)よりも割引率(半額)が強調されており、ユーザーが注視する順番と異なります。
したがって、正解は「1,000円」がまず目に入るように文字サイズを大きくしたり、位置を上にずらしたりすること。
そのうえで、「半額」が次に目に入るようにレイアウトを整えます。
このように、ユーザーが注視する順番通りに表現の優先順位を設定することが重要なのです。
まずは3人からでもOK、スモールスタートを
ユーザーテストの話をすると、よく聞かれるのが「ちゃんとした結果を得るためには、何人に話を聞けばよいですか?」といったご質問です。
実は、ユーザーテストの場合、必要な人数は多くありません。
ワンスターでは、最低3人からのスタートをお勧めしています。
もちろん、定量的な統計データを得ることを目的にユーザーテストを設計すると、もっと人数が必要です。
統計的に有意な数字を得るためには、少なくとも20人のユーザーが必要です。
信頼区間を厳密におくと、さらに多くのユーザーが必要です。
ですが、このユーザーテストの目的は、LPの改善のための仮説を発見すること。
定性評価の場合は、3人の評価で問題点の約65%、5人の調査で約80%以上を発見可能と言われています。
(参考:「5ユーザーでテストすれば十分な理由」)
したがって、ターゲット顧客に近い方があなたの会社の社員やお知り合い、ご家族などにいたら、ぜひ聞いてみてください。
それだけで得られる知見も、十分にあるでしょう。
「やり方が分からない」単品リピート通販企業様は、ご相談ください
もし「ターゲット顧客がまわりにいない」「何をヒアリングすればよいか分からない」「行動を観察するポイントは?」といったことがあれば、ぜひ私たち株式会社ワンスターにご相談ください。
私たちも、約100人にヒアリングするなかで、「どんな質問をすれば、本音を明かしてくれるか?」「CVR改善につなげるための勘どころは?」など、だんだんとコツがつかめてきました。
最後にこの記事で挙げた以外にも、複数のLPで共通していた傾向の一部をお伝えすると・・
・ファーストビューでは、男女によって響く見せ方が異なる
・「体験談」は、ユーザーによって好き嫌いが分かれるが、共通しているのは愛用者の年齢を注視していること
・商品画像では、形状や飲みやすさ等の説明がよく読まれている
といったことが分かってきています。
お問合せいただいた単品リピート通販企業の方には、詳しくお伝えできればと思います。