もしあなたの会社で1,000万円/月の広告費を使っているならば、フォームからの離脱率をたとえば3%改善するだけで、百万円単位のコスト削減効果を生むことが試算できます。
フォームのA/Bテストを続けるなかで見えてきた、“改善の勘所”を解説します。
CVRを手っ取り早くアップする、シンプルな方法
フォームからのコンバージョン率(CVR)を最も簡単に高める方法は、不要な入力項目を削除することです。
「携帯アドレス」や「予備の電話番号」など使ってない項目があれば、できるだけ減らした方がCVRが向上します。
「性別」や「生年月日」も同様です。
削除すると、男女別のフォローメール配信や誕生日キャンペーンなどの施策ができなくなりますが、お客様の年齢を把握するため「誕生年」だけを聞く、という代替策もあります。
特に入力に手間のかかるスマホでは、その効果が顕著です。
不要項目の削除によって、離脱率が約3%改善した事例もありました。
また、既存会員向けのログインボックスでID・パスワードの入力欄を用意している場合は、非表示にしましょう。
「会員の方はこちら」というボタンを用意して、ボタンをクリックしたらアコーディオン形式でログインボックスが表示される、または別ページにリンクさせる形式がよいでしょう。
初期に表示されている項目数が少なければ、フォーム入力への心理的ハードルが下がるためです。
思わぬデザインが、「脇道へそらせてしまう」要因に
ヘッダーやフッター、サイドバーなどのナビゲーションは、多くのフォームで削除されています。
しかし、ヘッダーのロゴ(=Topページへのリンク)やフッターの「会社概要」「お問い合わせ」は削除を忘れがちです。
リンクをクリックして遷移してしまうと、フォームに戻らずに離脱してしまうので、できるだけ削除するべきです。
この施策と入力所要時間の表示を組み合わせる事で、フォームからの離脱率が15%近くも改善した事例もありました。
最後に、注意書きなど煩雑な説明テキストは、できるだけ省きましょう。
プライバシーポリシーは特定商取引法上、表示を義務づけられていますが、フォームに全文を載せる必要はありません。
「プライバシーポリシーに同意する」といったテキストを挿入して、外部ページにリンクを貼ればOKです。
不要項目の削除と組み合わせ、離脱率が約5%改善した事例もあります。
1万以上/月のアクセスがあれば、フォームテストを実施すべき
最後に付け加えると、「入力目安:2分」といったように、入力にかかる所要時間を表示するフォームを最近では見かけるようになりました。
またAmazonや楽天など大手ECサイトでは、カート内で次の画面に遷移する際、「ローディング中」など、輪がぐるぐると回っている画像が表示されます。
入力の所要時間や待ち時間が気になるユーザー心理に対応した工夫でしょう。
弊社クライアントでもその表示を取り入れたところ、CVRが改善した事例もあります。
今回ご紹介したようなフォームのテストは、フォームに月間10,000以上のアクセスがある企業であれば取り組んだ方がよいでしょう。
1万件以上の分母があれば統計的有意性がとれ、目安として1ヶ月のテスト期間で判定できます。
一つひとつは地道な施策ですが、ユーザーの使いやすさを重視した改善を行えば、高い確率で結果はついてくるはずです。