検索や、ディスプレイ広告、YouTube広告など多岐にわたるGoogle広告。そのなかでも、YouTubeショートを活用してCVを伸ばすD2C企業が増えています。その背景にある「P-MAX」や「デマンドジェネレーション」などGoogle広告プロダクト再編の動向など、広告主として押さえておきたい情報に絞ってまとめました。
通販企業がショート動画を活用して、月間4,000件獲得した事例を解説しました。
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YouTubeショートが、D2Cでも有効な新規獲得チャネルに
Google広告というと、これまでは“検索”や“リマーケティング”などの一部を除き、ダイレクトマーケティングでのCV獲得にはあまり向かず、CPAが高騰しやすい印象をお持ちの方も多いことでしょう。
というのも、D2Cや単品通販の商材では、ディスプレイ広告(旧GDN)などで、静止画のバナーから商品LPに単純に遷移させる方法ではなかなか効率が合わないケースが多かったからです。
しかし、直近の1-2年間でその傾向が変化してきています。
Google広告の中でも、特にD2Cで新規獲得に大きく貢献しているのは、「YouTubeショート」です。最大60秒の縦型動画を視聴・公開できる、YouTubeの短編動画サービスへ動画広告を配信する方法です。この「YouTubeショート」を活用して、Google広告だけで「新規獲得件数が、月間800件超え」「目標CPAをクリアして、月間広告費800万円以上」といった事例が生まれています。
縦型ショート動画からの新規獲得の動きは、今や「YouTubeショート」がMeta広告の「リール」と並ぶ新規獲得チャネルとなっている企業も現れています。
YouTubeショートは、ユーザーの平均視聴回数が昨年対比で210%と2倍以上に成長。またGoogle側の動きとしても、積極的にYouTubeショートのユーザー数を増やそうとしています。たとえば、YouTubeのトップページにショートを表示したり、YouTubeのおすすめとして通知するなどです。
通常のYouTubeとの違いは、YouTubeショートでは最大60秒の短い動画なので、視聴のハードルが低く日常のすき間時間に「ながし見」をしているユーザーが多いといえるでしょう。更に画面いっぱいに動画が流れ、その他の情報がシャットダウンされた状態で見ています。そのため、広告の内容がユーザーの関心から大きくはずれなければ、スキップされずにそのまま視聴されクリックされやすい傾向にあります。
さらに、現状ではYouTubeショートへ出稿する企業も少ないため、広告在庫も多く、低いCPCで集客しやすくCVを伸ばしやすい状態です。
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Google広告の再編に伴い、ダイレクト型の広告主にチャンス
YouTubeショートは、CV獲得のチャネルとして注目が集まっています。しかし、D2C企業では検索やディスプレイ広告などの基本的な運用はしていても、Google広告を獲得チャネルの主力にしている企業はまだ少ないようです。
Meta広告やLINE広告から月間数千件などのCVを獲得しているD2C企業でも、Google広告では月間数百件程度などにとどまることが多く、Google広告のポテンシャルを活かしきれていない現状もみえます。
一方、Google広告は直近1年間で「P-MAX」を広告主に推奨するようになったり、23年には複数の広告メニューを統合した「デマンドジェネレーション」をリリースするなど、広告プロダクトを再編してきました。
検索画面やニュース、GmailやYouTubeなど、生活に密着したGoogleとの接点を広告プロダクトで統合し、さらにAIによる機械学習をフル活用してCV獲得を最大化できるようになってきました。
この広告プロダクトの再編は、広告主にとってもチャンスが広がる時期です。そこで、CV獲得型の広告を展開するD2C企業が理解しておくべきポイントを、「P-MAX」と「デマンドジェネレーション」に絞って基本的な考え方や構造について解説していきます。
ポイント1:P-MAXは、“AIにお任せ”で費用対効果を最適化
P-MAXとは、「Performance Max(パフォーマンスを最大化)」の略称です。AIによる機械学習を活用して広告運用のほとんどのプロセスを自動化し費用対効果を最適化することが大きな特徴です。
具体的にGoogleのAIが活用されるのは、入札や予算の最適化、クリエイティブ、オーディエンス、アトリビューションなどです。そのため、運用側が行うことは上記に必要な情報を登録しておくこと。その後はAIの機械学習が進むのを注視しましょう。
P-MAXでは、Google検索、Googleショッピング、Googleディスプレイ、YouTube、Discover、Gmail、Googleマップなど、これらGoogleの広告枠全てに、1つのキャンペーンから広告を配信できます。
したがって、「配信面に合わせて、クリエイティブを作り分ける」「オーディエンスごとにキャンペーンやグループを分ける」「CPAを見ながら、入札単価をデイリーで調整する」など、これまで担当者が人力で運用していたことは、全てGoogleのAIが代替してくれます。これらによって運用工数を削減しながら、機械学習によって最適解を導き出し、目標CPAの範囲内でCVを最大化させるべく運用してくれます。
ただし、AIによる自動運用では、学習データが蓄積されるまでは成果が出しづらい傾向があります。また設定の詳細については“ブラックボックス化”するため、「Aの施策をしたら、Bの結果が出た」のようなテスト結果がわかりにくい面もあります。
しかし、このようなデメリットを差し引いても、P-MAXの導入によってCPAが改善する事例が多く出てきました。
たとえば、弊社がご支援した企業様では、これまで配信面に合わせて検索広告や動画アクションキャンペーンを個別に運用していました。しかし、拡大に向け効率よく広告出稿をする必要性があったため、P-MAXキャンペーンの運用を開始しました。
学習データの蓄積までに時間が必要でしたが、導入から約2週間ほどで、CPAは導入開始前と比較してアカウント全体で約20%下げることができ、同時に広告費はプラス30%ほど拡大できました。その後も機会学習を妨げないよう調整を行いながらP-MAXからの新規獲得を伸ばしています。
キャンペーン | 検索 | P-MAX | デマンドジェネレーション | |
---|---|---|---|---|
ファネル | アッパー(認知) | × | △ | ○ |
ミドル(検討) | ○ | ○ | ◎ | |
ローワー(購買) | ◎ | ◎ | ○ | |
目的 | CPAの最適化 | ◎ | ◎ | ○ |
CV数の最大化 | △ | ○ | ◎ | |
配信先 | Google検索 | ○ | ○ | × |
Googleショッピング | ○ | ○ | × | |
Googleディスプレイ | × | ○ | × | |
Discover | × | ○ | ○ | |
Gmail | × | ○ | ○ | |
YouTube | × | ○ | ○ | |
YouTubeショート | × | ○ | ○ |
ポイント2:デマンドジェネレーションで、新規獲得ボリュームを最大化
「デマンドジェネレーション」とは、YouTubeやYouTubeショート、Discover、Gmailなどに統合的に広告配信ができるGoogle広告のキャンペーンです。2023年10月より従来の「ファインドキャンペーン」がアップグレードされ、「デマンドジェネレーション」になりました。
Google広告の主力配信先であるGoogle検索では、既に興味・関心や購買意欲のあるユーザーに対してテキストでの訴求がメインでしたが、デマンドジェネレーションでは「動画」や「画像」など視覚に訴えるアプローチを重視しています。
たとえばYouTubeショートへ配信する場合、これまでは動画配信のための専用キャンペーンの設定が必要でした。また、キャンペーンによっては商材がアプリに限定されるなど広告配信にはハードルが高いと感じられる点も。しかし、今回アップグレードされたデマンドジェネレーションでは、配信先にYouTubeショートも加わり動画配信が簡単にできるようになりました。
動画のサイズは、TikTokやリールと同じです。そのため既に制作した動画が手元にある場合は制作が不要ですし、逆にYouTubeショート用に制作した動画を他のSNSに転用することも可能です。テキストよりも情報量の多い動画を活用して、より関心を高めたり検討すべき理由を訴求することで購入を促すことができるでしょう。
YouTubeショートへの動画広告の配信ハードルは下がりましたが、YouTubeショート単体で獲得効率を合わせられるか?というと、難しい部分もあります。しかし、静止画(ディスプレイ)や、検索などを組み合わせることで、目標CPAに合わせていくことは可能です。
デマンドジェネレーションでは、見込み客の需要の創出(Demand Genneration)からCV獲得までを担い、新規獲得のボリュームを最大化することを目指しています。中でもユーザーが娯楽目的で見ることが多いYouTubeショートなどの動画コンテンツ型の広告は、ユーザーの関心や検討を後押しするミドルファネルでの貢献が大きく期待されています。
デマンドジェネレーションを活用したGoogle広告の運用で、「獲得件数が30%増加した」などの事例も出てきています。
一方、上述したP-MAXでは、費用対効果の最大化のために購買(ローワーファネル)につながることを重視しています。
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機械学習を最大限に活かす、アカウント設計と運用を
これまで見てきたように、GoogleはAIによる機械学習を最大限に活用することを推し進めています。Googleでは数多くの広告プロダクトと、大量のユーザーデータを保持しています。そしてP-MAXに代表されるように、これまで人間が判断してきたことも、プラットフォーム側に委ねた方が効率が良くなる傾向が出ています。
たとえば、以下のようなものです。
- どのオーディエンスに、いつ広告を配信するのか?
- どの配信面に予算を配分するか?
- どのクリエイティブを出すか?
このようにAIによる機械学習を主軸においた活用は、運用型広告の全体的なトレンドにもなっています。その中でも特にGoogleは保有するデータの量や質、AIの性能の高さなどから、学習が進み最適化された際の効率の良さは、他のプラットフォームと比べても顕著に信頼性が高いものと考えています。
精度の高いGoogle広告のポテンシャルを十分に発揮するためには、機械学習が働きやすいアカウント設計と運用をすることが重要です。もちろん人の判断が必要な場合もありますが、広告に携わる場合は以下のような基本的な原則は押さえておきたいところです。
- 「予算や入札単価を急激に変える」など、機械学習が崩れてしまうような変動をかけない
- 「配信面を指定する」「オーディエンスを極端に狭める」など、学習が働きづらくなる設定をしない
Google広告で効率を合わせて運用することは、実は難易度が高い面があります。それは広告プロダクトと配信面が多岐にわたること、また日常生活の様々なシーンで接触機会があることからユーザーの利用目的や環境も多様なことが影響しています。また、取得しているデータが多いので設定する際の変数が多いことなども、運用が難しい理由の1つといえるでしょう。
そのため、特にダイレクト広告では充分に効果を得る運用に苦戦しているというお声もうかがいます。
一方、成功パターンが作れればGoogleのユーザー数の多さも相まって大きく拡大できるでしょう。今は広告プロダクトの再編期のため、先行者利益を得やすいタイミングです。「YouTubeショートをやってみたい」、「Google広告に関心がある」という方は、ぜひご相談ください。
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