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広告とわかっていても、感情のバランスを崩されたら…

通信販売の広告には、レスポンスを引き出すためのさまざまな工夫が散りばめられています。
新聞にくり返し出稿されている広告を約30社分ピックアップして調査したところ、いくつかの共通点が見つかりました。
その1つ「感情を揺さぶるための工夫」を、認知的不協和の理論から解説します。

くり返し出稿されている新聞広告、見つかった共通点は?

 

今回のテーマは、広告のクリエイティブです。

 

研究熱心な同僚が、年末に図書館に2、3日通って、新聞で何回も出稿されている広告を調べてきたとのことで、それをコピーしたファイルを貸してもらいました。

 

30社分くらいパラパラとめくりながら、何か共通点はないかと探していたのですが、そこで感じたのは感情を揺さぶるために工夫している広告が多いなということです。

 

 

「意外性のあるヘッドコピー」や「衝撃的な写真」など手法はいろいろあったのですが、思わずうまいなぁと思ってしまったのは脳への栄養成分を含んだ健康食品の広告です。

 

複数あった広告表現パターンのなかで目についたのが、以下の表現です。

 

・歳のせいではない「物忘れ」
・歳だからとあきらめられない「物忘れ」
・物忘れを歳のせいにはしたくない

 

 

「感情のバランス」を崩す、広告表現のパターン

 

物忘れを自覚し始めた方からすると、「私も○歳になったからな」、「歳には勝てないな」などと考えていることが多いでしょう。

 

そこに、「歳のせいではない」という文字を読むと、「えっ!?」という驚きが生まれます。
すなわち、<感情のバランス>が崩れます。

 

するとバランスを崩された人は、2つの矛盾する考えがそのまま頭に残っていたのでは居心地が悪いので、バランスを回復させることで精神を安定させたいと無意識に思います

 

 

そこで下にある記事を目で追っていくと飛び込んでくるのが、以下のような文言。

 

・小見出し:「脳科学研究で意外な事実が発表」
・本文:『人間の脳細胞は年齢とともに減少し再生しない』という定説が覆された

 

これらに好奇心をくすぐられると、初めに気になってしまった人は、記事を読まざるを得ないように、上手に設計されていますね。

 

↑を心理学の観点から説明してくれるのが、「認知的不協和」という理論です。

 

 

心理的な葛藤から逃れるためにハマる、「認知的不協和」とは?

 

認知的不協和とは、「人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感」のことで、1980年代に米国の社会心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した理論です。(Wikipediaより)

 

人間は、自分の考えを一貫していようという性質があるので、それと矛盾する考えが浮かぶと葛藤が生まれます。

 

その不快な状況から逃れようとして、自分の考え方や行動を変えることで、自分を納得させて安心できるようにするのです。

 

 

たとえば、あるヘビースモーカーが煙草に火をつけようとしてライターに手を伸ばしたとき、テレビで「タバコが体に与える害」というニュース特集を見たとします。

 

こちらのブログが非常に参考になったので、一部引用させてもらっております

 

そのときに、「う~ん、煙草吸いたい」と「体に悪いんだよな…」の葛藤が生まれます。
このままでは気持ちが悪いので、「テレビは何でも大げさに言うから」と考え直します。
あるいは、「喫煙にはリラックス効果があるから必要だ」と正当化したりして、再び煙草に火をつけるのです。

 

逆に、そんなときに禁煙パイプの広告が目にとまれば、思わず注文してしまうかもしれないですね。

 

 

禁煙パイプ、ダイエット食品、化粧品・・認知的不協和が働くメカニズム

 

この「認知的不協和」は、他の商材でも使われていますね。

 

 

たとえばダイエットをしようと思っている女性なら、「痩せるためには、食べるのを我慢しなければいけない」と頭では分かっていても、「でもおいしいお菓子を食べたい…」という欲求も浮かびます。
2つの矛盾した考えが並ぶ気持ち悪い状態でしょう。

 

そこに、「今までとおり食べても大丈夫!即効ダイエット」のような広告を見ると、たとえ
「本当に効くのかな…」と思っても、これを注文することで、自分は我慢せずに心のバランスが戻るので反応してしまう人が出てきます。

 

 

広告のテクニックでも、化粧品で最近よく見られるのが、使用者の顔写真と年齢を大きく出したクリエイティブです。

 

写真に出ているのは、30代前半にも見えるキレイな方。
一方、年齢は「56歳」と載っていたとすると、意外性から「どうしてこんなに若く見えるの?」と思わず広告の本文を読んでみたくなります。

 

 

“アテンション・エコノミー”で、広告への関心を集め続けるために

 

最後に、この記事を書きながら改めて思ったのですが、「いかに広告に目をとめてもらうか?」がますます重要になっているのかもしれませんね。

 

数年前から記事体広告が盛んになったものの、同じような形態の広告が多く氾濫してしまったので、最近ではレスポンスがとれなくなってきた、という話も聞きました。
これでは消費者心理とのイタチごっこですね。

 

米国では1日に1人平均で3000(?)の広告にさらされているそうで、このように情報の供給量が飛躍的に増えて、消費者の関心を惹くのに誰もがやっきになっている状態を、「アテンション・エコノミー」というそうです。

 

 

ちなみに私がこの考え方を知ったのは3年前。

 

当時私は大手電機メーカーで広報・CSRをしていたのですが、いくらテレビで露出しても、新聞で大きく取り上げられても売上にはつながらなかった製品も…

 

そんな折、転職活動中に弊社の面接で「ニッチメディア」という言葉を知り、「こんな風に生活の中に広告が潜んでいれば、忙しい人にも広告を目にとめてもらいやすいに違いない!」と興味を持ち始めたことを思い出しました。

 

こちらのブログも、ご多忙な皆様にお読みいただいていると思うので、関心を持っていただけるように、引き続き頑張ってまいります!