通販EC業界は、マーケティングの方法論も独特で、専門用語や特有のKPIも多く飛び交います。
特にBtoBビジネスから転職した方や、店舗での小売業を経験した方には、戸惑うこともあるかもしれません。
私自身も、異業種からの転職組。その時の経験も踏まえて、短期間でキャッチアップするために有効な方法をお伝えします。
目次
方法1:調査データから、全体像を数字で把握する
通販EC業界の大きな見取り図を、頭の中で描けるようになるため、できるだけ数字で把握するようにしましょう。
まずは主要なプレイヤー、売上の大きな通販EC企業について。
たとえば通販新聞は、通販企業の売上ランキングを毎年発表しています。
(ECに限定した売上ランキングも、サマリー記事で公開されています。)
また、通販ECビジネスの収支の構造も知りたいところです。
日本通信販売協会(JADMA)の発行する「通信販売企業実態調査報告書」では、会員企業への調査から媒体別売上高構成比、取扱商品やフルフィルメントに到るまで集計分析した統計データが公表されています。
通販やECを利用する顧客についても、分析データがあります。
同協会の発行する「全国通信販売利用実態調査報告書」は、全国の15歳~79歳の男女2,800名を対象に、通販の利用率や利用広告媒体、購入商品や利用金額等についてアンケート調査を集計しています。
方法2:メディアやイベントで、最新情報をキャッチアップする
1で大まかな全体感をつかんだら、具体的なニュースや事例に触れるようにしましょう。
紙媒体の業界紙では、通販新聞が有名です。
毎週発行の紙面に新商品発売や決算発表など各通販企業の情報が詰まっていて、今でも多くの通販関係者に読まれているようです。
WEBメディアでは、eczineやネット通販担当者フォーラム、ECのミカタなども、主にEC関連のニュースや成功ノウハウなどが日々更新されています。
弊社グループでも、メールマガジンやFacebookページなどで、単品リピート通販業界の成功事例・ノウハウを発信しています。
よかったらナビゲーションにあるリンク先から登録してみてください。
このようなメディアでは、セミナーや展示会の情報も配信されているので、行ってみると雰囲気がつかめるかもしれません。
通販EC関係のイベントでは、「ダイレクトマーケティングフェア」や「ECzine Day」は私も参加したこともありますが、オススメです。
方法3:成功ノウハウを本で学ぶ
2つ目が「フロー」の情報なら、3つ目は「ストック」の情報です。
通販EC業界のキーパーソンが出している本を何冊か読むと、事業の成功の方法論をまとまった体系で学べるでしょう。
初心者の方へのオススメは、「ゼロからはじめる通販アカデミー」。
広告からCRM、フルフィルメントまで、またオンライン・オフラインともに、ストーリーも交えて通販EC事業の仕組みやポイントを、分かりやすく解説しています。
また、「<ネット広告&通販の第一人者が明かす>100%確実に売上がアップする最強の仕組み」も、単品通販のデジタルマーケティングという分野に絞っていますが、新規顧客獲得のCPA改善から既存顧客のLTV最大化まで一貫した方法論が書かれていて、勉強になります。
「通販ビジネスの教科書」も、商品企画からフルフィルメントまで押さえていて、文字通り教科書的に使えるかもしれません。
これらの著者は、FacebookやTwitterなどで情報を発信している方もいるので、探してフォローしてみてもよいかもしれません
方法 4:ライバル企業の商品を購入してみる
これまでは「2次情報」で効率的に把握する方法を書いてきましたが、具体的な戦略を立てるためには、「1次情報」は欠かせません。
一番簡単にできるのは、ライバル企業の商品を購入してみることです。
広告やWEBサイトでは、どのような訴求を打ち出しているのか?
申込フォームやコールセンターの電話では、アップセルやクロスセルは仕掛けられるのか?
お客様の立場として購入までのプロセスを体験することによって、新規顧客獲得のためのマーケティング戦略が見えてきます。
また既存顧客へリピートを促すため、通販企業からステップメールやDM・会報誌などが届くようになります。
それらを見れば、「既存顧客に何をどのタイミングで買ってほしいか?」の意図、すなわちCRM施策の裏側が見えてきます。
決済方法やフルフィルメント(配送)などをチェックすれば、コスト構造や優先順位も推察できることがあります。
もちろん、業界の事情に精通していないうちはわからないところも多いと思いますが、ライバル企業の戦術を自分なりに推察してみることで、得るものは大きいでしょう。
方法 5:経験者から話を聞かせてもらう
最後が、最も実りが多いかもしれません。
業界関係者に、疑問を質問してみたり、自分なりの仮説を聞いてもらったりすると、思わぬ洞察が得られるでしょう。
といっても、知り合いがいない場合は「どうすればよい?」と思われるかもしれません。
一番話を聞かせてもらいやすいのは、支援企業の営業担当者です。
(支援企業については、「EC業界相関図」が参考になります。)
「すぐにサービスの導入」とはならなくても、「話を聞かせてほしい」という要望に応えてくれる会社や担当者もあります。
WEBサイトから問い合わせたり、知人の紹介などであたってみるとよいでしょう。
(もちろん、長期的にWIN-WINの関係を築けるように節度や配慮を持って臨みましょう)
事業を内側で担っている通販EC企業の方に話を聞かせてもらえれば、得られるものも大きいはずです。
私の知る限りでは、直接の競合にあたらなければ、快く聞かせてくれる方もいらっしゃいます。
EC関係者の集まる飲み会や勉強会なども、クローズドですが開かれているようなので、ネットワークを積極的に構築していきましょう。
また、「ヒアリング1時間で20,000円」など謝礼を払って経験者に話を聞かせてもらえるマッチングサービス(例:「ビザスク」)もあるので、活用してみてもよいかもしれません。
最後に:ヒントはあなたの近くにも、「素人目線」を大切に
この記事では、通販EC業界に初めて入った方向けに、短期間で業界にキャッチアップする5つの方法をお伝えしました。
最後に 1つ補足すると、5つの方法以外にも、マーケティングのヒントは近くにも転がっているかもしれません。
それは「あなた」や、あなたの家族や友人です。
通販やECでの買い物なら、ほとんどの方が経験しているはずです。
「最近どんな商品を買ったか?」「どんなところに惹かれたか?」「逆に、これは買わないという商品や企業は?」など、日常の会話のなかでも聞いてみるとよいでしょう。
お客様のニーズを捉える、生のヒントが埋まっているかもしれません。
業界の情報を効率良くインプットしつつ、最大の強みである「素人目線」も忘れずに、成果を出せるように願っております。