通販広告には、「無料」のオファーがあふれています。
「無料サンプル」「送料無料」「フリーダイヤル」・・・
なぜ無料が、消費者の心をここまで惹き付けるのでしょうか?
心理学の実験結果とともに、解説いたします。

チラシ広告で優良顧客を獲得するための方法を分かりやすくまとめました。
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目次
「送料無料」のオファーの効果は?
通販広告のオファーでよく見られるのが、「送料無料」です。
たとえば、「今なら送料無料」(美容液ファンデーション)や「送料無料 1ご家族様1セット限り」(酵素サプリ)など。
またよく見られるのが、以下のようにまとめ買いや定期コースと引き換えに、送料を無料にするケースです。
「2本以上でさらに送料無料」(ローション)
「お得な定期購入制度なら、通常より10%割引&送料735円無料」
(酵素サプリ)
「4個以上で2000円引+送料無料」(石鹸)
一方、魅力的な表現と引き換えに、これまでは商品価格に上乗せできた数百円を負担するのは、販売する側。
実際のところ、このロスを補うだけのレスポンスへの効果が、「送料無料」から生まれるのでしょうか?
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20円の違いが、大きな売上の差に膨らんでしまう
「送料無料」といえば、アマゾンを思い出される方も多くいらっしゃるでしょう。
本を注文したとき、1冊では「無料で配送」になる価格を少し下回っていたため、すぐには買おうとは思っていなかった本をもう1冊注文してしまった、という昔の私の個人的体験はさておいて…
このサービスを始めて満足した同社ですが、ただ1か所、フランスだけは売上が全く伸びなかったそうです。
(「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー より)
フランスで何が起こっていたかというと…
実は、一定額以上の注文で配送料を「無料!」にするのではなく、1フラン(約20円)にしていたそうです。
他国にならって配送料を「無料!」にしたところ、一転、売上が劇的に伸びたということ。
たった20円の違いが、大きな売上の差を生んでしまったという話、不思議ですね。
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「無料!」の威力を試す実験
このように、私たちは「無料」に強く惹きつけられてしまうもの。
「無料」と「~~円」とでは、金額の差以上に大きな欲求の違いをもたらすことが、心理学の実験からも分かっています。
2種類のチョコレートを割引して売り出します。
(以下、「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」 クリス・アンダーソン より)
「お一人さま1つまで」という貼り紙を掲げて、テーブルに置いた1つ目は、リンツの“トリュフ”。
スイス由来の高級品です。
これを15セント(約14円)とかなり割安に設定します。
もう1つは、ハーシーの“キスチョコ”。
どこにでもある普通のチョコレートです。
これを1セント(約1円)にします。
結果は・・ 通行人はいたって賢くて、73%がトリュフを買い、キスチョコを買ったのは27%しかいませんでした。
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たった1セント変えただけで、“キスチョコ”の人気が…
次に、それぞれの値段を1セントずつ下げます。
つまり、トリュフが14セント、キスチョコが無料。
とはいっても、2つの金額差は変わらずに14セントなので、選ぶ割合に変化はなさそうですよね。
ところが今度は、トリュフの人気が73%から31%へとガタ落ち。
代わりに、キスチョコを選んだ人が69%へと急増したのです。
どうしてたった1セントを変えるだけで、このように大きな違いが起こるのでしょうか?
有力な仮説が、無料だとまずい選択をして“何かを失う”恐れがないからです。
過去の記事でも何度か書かせていただいたかもしれませんが、人間は「損をする」ことに敏感な生き物です。
たった1円でもお金を払った場合、それが価値がないものだと後で分かった場合、後悔してしまうリスクがあります。
一方、お金を払わなければ、目に見える損害はありません。
そのため、「無料」を見ると迷わず飛びついてしまう、むしろ自動的に反応してしまうよう、半ばプログラミングされているのかもしれません。
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新聞広告にも、やはり「無料」が点在
ということを知ってか、この「無料」のパワーを使うことで、レスポンスを上げようとする跡が、広告にも見つかります。
たとえば、あるダイエット・サプリの新聞全段広告。
1700円弱とトライアル商品自体は有料なのですが、オファーをみると、やはり「全国送料無料」
その他にも、よく見ると以下の「無料」や「プレゼント」の文字が…
「ご注文・お問い合わせは、今すぐ!通話料無料のフリーダイヤルで」
「特別無料サンプルもご用意しております」
「初回定期購入でもれなく!○○(別商品)を1袋プレゼント」
さらに、「お体に合わない場合は全額返金いたします」と、お客様に「損」を感じさせない配慮が徹底されています。
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“引き上げ率”への副作用は?
と、ここまで「無料」のプラス面ばかり書いてきましたが、一方気になるのは、引き上げ率でしょう。
トライアル商品を無料にすると、「サンプル・マニア」ばかりが集まってしまい、本商品はほとんど買ってくれなかった…
というのはよく聞く話。
さらに、こんな話も教えてもらいました。
送料をこれまで無料にしていたのを、数百円を頂くことにしたところ、やはり反響は落ちました。
ところが、引き上げ率がアップしたため、最終的なCPOはむしろ改善したことがあった、というのです。
初回購入のハードルをどれくらいに設定して、量と質のバランスをとるか?
私も今、クリエイティブを作るなかで悩みますし、難しい問題ですね。
考えが深まりましたら、↑のテーマについても書いてみたいと思います。
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