通販の広告などでよく見かける、「全額返金保証」。
商品を買った後に返金を申し込むお客様の割合、返金率はどの程度の数字なのでしょうか?
複数の企業担当者に伺って共通していた事実と、その裏側にある心理学の法則を解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
KPIの用語説明や使い方だけでなく、通販のビジネスモデルについても解説しています。
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各社の返金への対応の実情は?
通販広告のオファーでよく見かけるのが、「満足しなければ全額返金」というような『返金保証』です。
当社でストックしてあるチラシを探してみたところ、たとえば以下のような保証が。
「商品到着後30日間使って満足いただけなかった場合、
商品代金を全額返金いたします (美容クリーム)」
「全額返金保証。ご満足いただけない場合には使用後でも
代金を全額返金いたします。(30日以内)
ご利用初回一品及び一家族一個限り(後略) (サプリメント)」
なかには、「ヤセなかったら『全額返金』いたします」という保証をつけていたダイエット食品もありました。
この「返金保証」、特に1ステップの本品売りや高額商品の場合、購入へのハードルを乗り越えさせるために効果があると思いますが、一方心配になるのが、返金への対応。
では実際に返金を求めてくるお客様は、どれくらいの割合でいるのでしょうか?
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返金の請求をするお客様は、5%未満!?
いろいろな会社さんにお話を聞いてみると多かったのが、
「広告を打つ前は、たくさんくるかと不安だったけど、実際に返金を求める方はほとんどいなかった」
という言葉。
ある美容商材の場合、数万部のチラシ配布で実際に返金を申し込んだのが、2~3名しかいなかったとのこと。
返金請求があったのも、本当に肌に合わなかった人か、クレーマーくらい。
商品購入者のうち5%未満だった、という声も。
返金請求をする方が、ここまで少ないのは意外ですね。
(手続きを煩雑にすることによって、返金を受けにくくしているというケースも聞いたことはありますが、そんなことをしていない会社も返金請求自体が少ないというのです。。)
「欲しいなぁ、でも高いので普通なら買わないけど…」くらいの気持ちで、返金保証があるから試しに買ってみた、という方もいるはずなのに、彼女たちの気持ちは、商品を使った後にいったいどう変わったのでしょう?
これには「保有効果」という心理学の法則が働いていると考えられます。
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一度自分のモノになると、手放すときには2倍以上の値段に
この「保有効果」とは、ヒトは一度自分のモノになると、それを手放すときには、手に入れたとき以上(たとえば2倍)の価値をつけるという傾向のことです。
テレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」で、骨董品を出した人のつけた値段が、鑑定金額を下回る光景、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
これを裏付ける実験なのですが、グループAにマグカップを渡して、それをグループBに売るという設定にしたところ、Aの人は平均して「5.25ドル」以下では売ろうとしない。
一方、Bの人は「2.75ドル」以上では買おうとしなかったとのこと。
つまり、カップの所有者は持ってない人に比べて、2倍近くの価値を感じるようになっていたということです。
(出典:「経済は感情で動く」 マッテオ・モッテルリーニ)
ちなみに、この効果をうまく利用しているのは、西アジアの絨毯売り。
「試しに」といってお客に商品をしばらく預けておくそうです。
お客が絨毯を家に持って帰って自分のモノという気分になってしまうと、もうその絨毯を手放したくなくなり、結局買ってしまう人が多いとのこと。
通販でも、返金保証に限らず無料サンプルやモニター募集など、「とりあえず試してもらう」ために、あの手この手が使われていますが、効果があるのは、↑のような背景があるんでしょうね。
ちなみにこの「保有効果」、私自身も知らず知らずはまっておりました。
つい先日に引越しをしたのですが、以前に買ったものを、「これも大事」「あれも使うかも」と捨てられない・・と文章を書くなかで気づかされました。。
年末の大掃除では、心を鬼にしてバシバシ捨てようと思います。
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