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「コンコルドの誤謬」行動経済学をマーケティングに応用した、ポイント制度の仕組み

人はそれまでに支払った費用が大きければ大きいほど、投資した分を回収しようと、途中でやめにくくなってしまう。
「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」とも呼ばれる、この行動経済学の原理はマーケティングにも応用されています。
お客様がついつい買ってしまう、通販のポイント制度の仕組みについて、解説します。

化粧品顧客が“はまる”、顧客ランクのからくり

 

化粧品など通販の商品を実際に購入している方にインタビューをしている、と別の記事でも書きましたが、

 

半年ほど前にある女性に話を聞いていて、気になったことがありました。

 

「昔は●●(=ある化粧品会社)のを買っていたの。
途中で別のブランドに替えようと思ったけど、続けてしまって。
あれは、マーケティングが上手で、乗せられてしまったわ~」

 

 

詳しく聞いてみたところ、顧客によって「ランク」がつけられ、割引ポイントが決められるそう。

 

毎月届くカタログやメルマガで、「○月○日まで限定」というような割引に煽られて、本人曰く
「本当は、そこまで好きではなかったのに…」
買ってしまっていたそうです。

 

 

「これまで買い物したから、もったいない…」

 

そのときは「ふーん、そういうものか」と思っていたのですが、よく聞いてみると、他にも同じような声を。

 

「ポイントがもったいないから、ついつい使ってしまう」
「今まで買い物したおかげで、割引で買えるのだから」

 

 

そういえば… と自分で振り返ると
「たしかに、○○カメラのポイントが残っていると、ついそのお店で買ってしまうな」と実感。
↓の本で読んだ“ある話”を思い出しました。

 

 

経済は感情で動く」(マッテオ モッテルリーニ)

 

それまでに支払った費用が大きければ大きいほど、投資した分を回収しようと、途中でやめにくくなってしまう

 

人間の心理には、↑のような性質があることが、行動経済学という学問によって証明されているのですが、

 

その傾向は日々の買い物から、国家的な意思決定に至るまで影響を及ぼしてしまっているのです。

 

「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」として、有名な話を紹介します。

 

 

国家的プロジェクト、意思決定の過ちを生んだのは…

 

「コンコルド」とは、1960年代にイギリス・フランス両政府が共同開発を始めた超音速旅客機のこと。

 

 

この開発プロジェクトですが、実は途中段階で既に、赤字になることが予想されていました。

 

しかし、両国とも開発をやめられなかった。

 

その理由はというと、「既に巨額の投資をしてしまっていたから」だったそうです。

 

 

本来ならば、採算がとれないと分かった段階で計画を中止するのが、理性的な判断ですね。ところが、

 

「コンコルド機にはずいぶん投資したのだから今さらそれをスクラップに回すことはできない」

 

意思決定の場で、このような感情が働いてしまったのが、過ちの原因だったそうです。

 

 

ポイント制度の事例を調べてみました

 

ここで話を通販化粧品に戻しまして…

 

個人的に、ポイント制度のことはほとんど知らなかったので、会報誌やホームページから、事例を調べてみました!

 

 

たとえば、ある化粧品会社さまのとっている制度は以下です。

 

(1)購入金額の集計
:2009年3月~翌3月のお買い上げ金額

 

(2)還元金額の決定
:(1)から顧客を5つのステージに分け、ポイント還元金額を決定

 

(3)ポイントの還元期間
:2010年度の1年間、その率に応じてポイントを還元される

 

 

同様に10年度の購入金額によって、11年度に受けられるポイント還元率が決定。
それが毎年続いていく、というルールです。

 

たくさんのお金を使って買い物をしたお客様ほど、「その分を少しでも取り戻そう」と、ポイント分を使って買い物する心理が働きそうですね。

 

 

休眠予備軍が、インセンティブを感じる仕組みは?

 

そうやって、どんどんと買い物をしていけば、ポイントがその分貯まり、また来年もポイントを使って買い物をする、という循環が生まれます。

 

同様に、1年ごとのお買い上げ金額累積によって、ポイント率が決まる、という制度をとっている例もいくつか見られたました。

 

 

ただし… 使いきれなかったお客様にとっては…?

 

これまでに支払ったお金が影響するのは1年間だけ。

 

前の年まで買い物をした分は、すべてリセットされて翌年度以降には持ち越さない、という取り決めです。

 

 

さらに、ポイントが使えるのは1年近く後になることも…
1年後にはその化粧品を使っているかはわからない…

 

となると、積極的なリピーターではない、浮気性のお客様にとっては、魅力が少し落ちるかもしれませんね。

 

冒頭で紹介したのは、放っておけば休眠客になってしまいそうな女性。

 

彼女のようなお客様を再購入に導けるようなポイント制度はないのか…?

 

と調べていたときに、↑とは異なるタイプのポイント制度を見つけました。

 

 

続きは後編「化粧品通販大手の顧客ランクとポイント制度、“ついつい”買い続けてしまう秘密を解剖」にて、解説させていただきます。

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