販促チラシとは、自社商品の購入を促す目的で顧客に配るものです。販促チラシの作成では、商品理解や、顧客心理の深堀りなどが重要です。通販企業800社を支援してきた実績から、販促チラシを作成するコツや注意点、すぐに使える売れるチラシの具体的な作り方をお伝えします。
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販促チラシとは?
はじめに、販促チラシの意味・目的と配り方を解説します。
販促チラシの意味・目的
販促チラシとは、商品・サービスの販売促進を行う際に、「新規顧客の獲得」や「既存顧客のリピート促進・来店」を目的に、消費者や自社の顧客に配るチラシです。「販売促進(販促)」は、より多くの消費者・顧客を店舗やECサイトに訪問させて、自社商品の購買を促すマーケティング活動を指します。
販促チラシには、主に商品・サービスの詳細や問い合わせ先、セールなどのお得情報、発売日を盛り込みます。
販促チラシの配布方法
販促チラシを配る主な手段として「折込チラシ」や「ポスティング」「同封・同梱広告」などがあります。それぞれのメリット・デメリットを説明します。
折込チラシ
新聞と一緒に同封される販促チラシです。
事前に指定した日に、対象となる消費者や顧客にまとめてチラシを配布できる点が主なメリットですが、一方で新聞を購読していない対象者には販促できない点がデメリットです。
新聞の購読割合が高い傾向にある、高齢者層やファミリー層に向けた販促に最適と言えるでしょう。
ポスティング
販促チラシを各家庭のポストに直接投函する手法です。
チラシを単体で投函するため、対象者の目に留まりやすい点がメリット。特定の地域に絞って配布できる点も嬉しいポイントです。一方で、消費者からクレームを受けやすかったり、投函される数も多いため他のチラシに埋もれやすい点がデメリットとなります。
特定の地域に絞って、認知度向上や販促を行う場合に適している手法です。
同封・同梱広告
同封・同梱広告とは、他社が特定の顧客に発送している「通販カタログ」や「クレジットカード請求書」「通販などで注文された商品の箱」などへ自社のチラシやサンプルを封入する広告手法です。
媒体ごとに送付先の「年齢」「性別」「趣味趣向」など属性が決まっているため、デジタル広告ほどではないもののターゲティングが可能な点です。一方、1回の実施あたりで価格が50万円〜と高額なことがデメリットです。
特定の属性の方に絞って効率的にアプローチしたい場合に適している手法です。さらに、同封・同梱広告について詳しく知りたい方は以下の資料をダウンロードください。
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販促チラシを作成するコツ5つ
販促チラシを作成する際に、最低限おさえておきたいコツを5つ紹介します。
1.販促する商品・サービスが取り巻く環境を知る
まずは、3C分析にならって「自社商品・サービス」、「競合」、「顧客」の要素を分析しましょう。販促したい商品・サービスを取り巻く「外部環境」と、自社の強み・弱みなどの「内部環境」を把握し、「どのようなフレーズやイラストを使えば、商品・サービスを購入してもらえるか」を検討します。
それぞれの具体的な分析のやり方を説明します。
自社商品・サービス
自社商品の良いと思うアピールポイントを出なくなるまで書き出すことが重要です。「これ以上、良いところが思い浮かばない」という状態になることで、普段は意識していなかった商品の長所に気づきやすくなります。
アピールポイントを書き出す際には、多角的な切り口を持つように意識しましょう。 商品の性能や品質以外に、
- 使いやすさ
- 優れたデザイン性
- 「持ち運びやすい」「お届けサイクルが柔軟」など顧客から褒められた要素
なども切り口となります。
競合
次に競合商品・サービスの情報を洗い出します。自社商品と同じ商品カテゴリーを競合として、10社ほどリストアップします。
たとえば健康食品の場合は、競合となる健康食品の価格やキャッチコピー、内容量、成分、効果効能、実績などを分析します。実際に弊社では、競合の情報を並べて差別化できる点はないか・逆に競合と比べてボトルネックとなる点は何か、を洗い出しています。飲食店などの店舗であれば、価格や口コミ評価、人気メニュー、店舗の内装・外装が分析対象になるでしょう。
顧客
ターゲットとなる顧客が何を求めているのかを知るために、生の声を集めましょう。悩みや不満、ニーズなどを知ることで、より刺さる訴求の作成が可能になります。
方法としては、実際にヒアリングすることが理想です。時間やリソースに余裕がない場合は、同じカテゴリーに属する他社商品の口コミをAmazonや@cosme、Yahooショッピング、Twitterなどで調べる方法がおすすめです。
2.ターゲットの心理状態・インサイトを深堀る
効果的な販促チラシを作成するためには、ターゲットとする顧客の心理状態を深堀し、よりニーズや悩みに基づいた内容にすることも重要です。
前提として、ターゲットが「顕在層」と「潜在層」どちらかを明確にしておきましょう。「顕在層」と「潜在層」では、心理状態(≒インサイト)が大きく変わります。
顕在層は、自社商品に関するジャンルに高い興味関心を持っており、必要とする商品の条件を具体的に自覚している顧客層です。一方で潜在層は、自社商品で解決できる課題を抱えているが、課題自体は認識しておらず、課題解決のために商品を探していない層を指します。
健康食品を例に顧客層の違いを説明すると、顕在層は『〇〇の悩みを解決する商品が欲しい』など明確なニーズがある一方で、潜在層は『何となく健康が心配になってきた』『なにかしたほうがいいと思うが何をしようか』などの漠然とした状態です。
顧客のインサイトを踏まえた上で、「なぜそこに悩んでいるのか」「どういう場面で悩むのか」などを具体的に考えると、販促チラシを届ける顧客をより深く知ることができます。
たとえば「疲労回復のドリンク」で「顕在層向け」の販促をする場合のインサイトを考えてみましょう。
『短時間で疲労を解消したい』という消費者のインサイトの裏には、『仕事が忙しいから』や『子育てをしていて時間がない』などが想像できます。また、『加齢による疲労を解消したい』というインサイトの裏には、『年を取ってから寝ても疲れが取れなくなった』などが挙げられます。
インサイト | インサイトの背景 |
---|---|
短時間で疲労を解消したい | 仕事が忙しい 子育てをしていて時間がない |
加齢による疲労を解消したい | 年を取ってから寝ても疲れが取れなくなった |
ターゲットの心理状態を深く理解すれば、心に刺さるフレーズやイラストを使った販促チラシを作成しやすくなるでしょう。
3.「訴求」を複数作成する
そもそもマーケティングにおける訴求とは、「顧客にベネフィット(商品・サービスから得られる効果、利益)を約束すること」です。具体的には、商品やサービスを使うことで「顧客が日々の生活で実感できるリアルな幸せ」を意味します。
たとえば化粧品では、
メリット=「肌が若返る」
ベネフィット=「自信を持って楽しく外出できるようになる」
というイメージです。
「訴求」を複数作成するのはなぜか?という話に戻ると、まずチラシの反応率が変わる要素には、キャッチコピーや画像、イラスト、レイアウトなどがあります。その中で、「訴求」は最も反応率に影響を与える要素です。弊社の支援してきた事例では、訴求がチラシの反応率の約50%を決めているといっても過言ではありません。
そのため、訴求によって販促チラシに対する顧客のレスポンスが大きく変わります。まずは商品・サービスに合った最適な訴求を見つけましょう。ただし、最初から完璧な訴求を見つけることは困難であるため、複数の訴求を作成してどの訴求が顧客に刺さるかを試行錯誤することが重要です。
弊社が販促用のチラシを制作する際も、まずは訴求のパターンを複数作り、A/Bテスト※をして採用する訴求を絞り込むプロセスを踏んでいます。そして、訴求を決定した後に、キャッチコピーの言い回しやイラストなどの素材をテストしていきます。
※ABテスト:2つのパターンの結果を比較しどちらの方が良いかを決定するテスト手法
商品やサービスによっては、チラシを読む人に伝えられるメリットが1つに絞られたりバリエーションがどうしても出ないケースもあります。この場合には、キャッチコピーを複数検討してメリットの伝え方を工夫するようにしましょう。
4.ひと目で伝える
販促チラシを制作する際、弊社では「0.2秒で伝わるかどうか」を大事にしています。具体的には、読む人に対して商品・サービスのメリットやベネフィットをひと目で理解してもらえるかどうかです。大前提として、伝えたいことが一瞬でわかるチラシでなければ、購入・来店してもらうどころか、見てもらうことすらも期待できません。
重要なのは
- ①何を提供するのか、解決できるのか
- ②どのように解決するのか
の2点を端的かつわかりやすく伝えること。
①は、特別価格や新メニューといった顧客が得られる価値や、解決できる顧客の課題などを伝えます。②は、他社商品にはない自社特有の強みや、商品の機能・使用するメリットなどを伝えると良いでしょう。
5.仮説を立てて言語化する
販促チラシを作成する際には、かならず仮説を事前に立てましょう。「1パターンしかチラシを作らない」、「効果測定が難しい」、「リソースに余裕がない」などの場合でも仮説立ては不可欠です。
仮説がない、もしくはあやふやだと、販促チラシの成果について良し悪しを判断できないためです。また、何を修正すれば良いかも分からなくなるため、適切な改善行動をとることも難しくなります。「競合の良さそうなチラシの要素を参考に作成する」や「とりあえず優れたデザインのコツをおさえて制作する」という考え方は避けたいところです。
「ターゲット」と「何をどのように伝えたいのか」を軸に、それを実現できるような訴求やキャッチコピー、レイアウトは何か、あらかじめ仮説を持つようにしましょう。
仮説検証・改善を図る際には、前述した2パターンの仮説を用意して、どちらの効果が高いかを検証する「A/Bテスト」を実施できるとよいでしょう。
具体例を健康食品で説明すると、たとえば「効果効能を訴求するチラシ」と「課題喚起を行うチラシ」の2種類を用意し、てそれぞれのチラシからの購入率を比較します。A/Bテストを行うことで、、より良い訴求を見つけていくことができるので優れた販促チラシを制作しやすくなります。
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チラシで販促する際の注意点
チラシで販促する際の注意点を3つお伝えします。
視認性が高いか
販促チラシを作成する際には「視認性が高いかどうか」を念頭に作りましょう。具体的にチェックすべきポイントは3つです。
1つ目は、キャッチコピーと背景色が同化していないか。顧客の目にキャッチコピーは最初に入る上に、一番伝えたい内容です。そのため、キャッチコピーと背景の色が同化しないように注意しましょう。
2つ目は、目立たせたい箇所のわかりやすさ。キャッチコピー以外には、以下の要素を目立たせるケースが多いです。
- メニュー写真
- 電話番号、QRコード、オファー価格(通販の場合)
- ブランドのロゴ(ブランド力が重要なケースの場合)
文字を大きくする・装飾する、余白を確保する、仕切りを設けるなどの方法により、目立たせたい部分がわかりやすいようにしましょう。
3つ目は、全体を引いて見た場合にどこに目がいくか。たとえばチラシ全体のなかで背景色に不要なグラデーションをつけるなどしていると、重要性の低いところに視線が取られるケースがあります。商品やキャッチコピーといった重要な要素に目が向くように、適切な配色を心がけましょう。
競合のチラシより強い表現になっているか
ブランドスイッチ(他社商品への切り替え)が基本的な商品・サービスでは、良さを単純に伝えるのではなく、競合よりも勝っているポイントを訴求して差別化することが重要。
ターゲット顧客がすでに他社商品を使用している可能性が高い場合、チラシを見てもらうことで他社からスイッチングしてもらう必要があるためです。また、自社特有の強みが不明瞭なチラシだと、競合他社の販促チラシと似たり寄ったりな内容になってしまいます。
差別化を図るには、「ただ単に情報をたくさん盛り込むのではなく、自社特有の強みをインパクトのある表現で訴求する」ことがポイント。初見の人どう見えるのかを知るために、制作したチラシを別部門にいる社員などの第三者に評価してもらってもよいでしょう。
また、ブランド力や信頼感が売上を左右する商品であれば、「大手メーカーであること」や「専門家が監修していること」などを魅力的に伝えるのは効果的です。
コピーと連動したビジュアルになっているか
商品・サービスのイメージ(品がある、お得感、健康的など)に合わせて、背景の素材や色味を考えることも効果的です。たとえばキャッチコピーで「すべてこれ1本!」と伝えているのに、商品が複数並んでいるパッケージだと、コピーとビジュアルに差があり説得力が下がってしまいます。
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明日から使える売れるチラシの作り方3選
ここまでお伝えしたコツや注意点を踏まえて、具体的な「商品が売れる」販促チラシの作り方を3点お伝えします。
1.チラシの角4つのうち3つをおさえる
販促チラシでは、見たときの視線を意識したレイアウト作りが重要。一般的に、チラシを読むユーザーの視線は以下のように移動します。
- 横書き:Z型(ユーザーの視線が左上→右上→左下→右下の順に巡回)
- 縦書き:N型(ユーザーの視線が右上→右下→左上→左下の順に巡回)
上記の違いを踏まえて、ユーザーが読みやすいように、横書きならば「Z型」、縦書きならば「N型」に視線を誘導することが重要です。具体的な方法としておすすめなのは、「チラシの角4つのうち3つをおさえる」こと。企業ロゴや商品画像、◯%OFFなどのお得情報を3つの角に配置することで、自然に視線を誘導できます。
また、特に視線が止まりやすい部分、たとえば横書きチラシならば左上と右下に重要な要素(訴求文など)を配置するのも効果的でしょう。
2.住所や年齢を入れる
騒がしい場所にいる場合でも、自らの名前や興味がある話題が自然と耳に入ってくる心理効果(カクテルパーティー効果)が働くと言われています。この効果を応用して「対象顧客の住んでいる地域や年齢を入れる」と、誰に向けたものかをしっかりと伝えることができます。
人は自らに関係する情報を見つけやすい性質があるため、他にたくさんの販促チラシがあっても、住所や年齢を記載すると自社のチラシに目がとまりやすくなります。見てもらえる可能性が高まることで、反応率のアップも期待できるでしょう。
3.五感に訴える
味や食感があるもの、手触りがわかるものなどは、かならずチラシ内で表現することが大切です。
たとえば乳液のとろっと感や果物のジューシーさ、サプリであれば大きさ(飲みやすさ)などを伝えることで、商品を実際に利用する場面を想定してもらい、購買意欲のアップを期待できます。食品であれば、「パリッ」「フワフワ」といった言葉や、湯気が出た写真などシズル感を演出できるとより魅力的に伝えられるでしょう。
弊社では通販企業を対象に800社以上の販促チラシの制作を支援してきました。
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