サブスクリプションは、定額で利用でき継続的な課金が発生するビジネスモデルです。利用するユーザー、導入企業にとってそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットや会員数を増やしているサービスの事例をまとめました。
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目次
サブスクリプションのメリット<顧客視点>
サブスクリプションとは「商品やサービスを定額で一定期間利用でき、利用に対して継続的な課金が発生するビジネスモデル」のことです。
サブスクリプションのメリットは以下です。
- 初期費用を抑えられる
- モノを管理する必要がない
- お得に利用できる
- 手間を減らせる
初期費用を抑えられる
サブスクリプションの多くは、買い切り型の商品・サービスよりも料金が比較的低価格に設定されています。そのため初期費用を抑えられ、商品・サービスを購入する際のハードルが下がるメリットがあります。
サブスクリプションには無料お試し期間や初回限定価格を用意しているものも多く、これまで利用したことがなかった人でも利用しやすくなりました。
モノを管理する必要がない
サブスクリプションではモノを所有する必要がありません。CDやDVDを所有せずストリーミングサービスを使う、車やバッグのように所有が当たり前だった商品もサブスクリプションサービスを利用することが一般的になりました。
背景にあるのは、製品を「所有」するから、「利用」するニーズが高まっていることです。
今までは、製品を「所有」していることによるステータスが重要でしたが、近年は使用したことによって得られた「経験」を重視するようになった、という価値観の変化が起こっていることが要因です。
上記の表を見ると、ファッションやインテリアといった有形商材の利用率はまだそれほど高くありませんが、家族構成やライフスタイルが変わった際のことを考えなくて良い点はサブスクリプションのメリットです。
お得に利用できる
サブスクリプションのなかには、定額で使い放題になる商品・サービスが展開されています。たとえば、複数ジャンルのコンテンツに興味がある人にとってはCDやBlu-rayを1枚を購入するよりも音楽配信や動画配信のサブスクリプションサービスのほうがはるかにお得になります。
その他にも、ファッションの流行に合わせてたくさんの服を楽しみたいという場合や、子供用の服やおもちゃといった数年サイクルで買い替えが必要になるものは、買い切りよりも定額でレンタルできるサブスクリプションが総合的にメリットがあります。
手間を減らせる
サブスクリプションサービスは、買いに行く時間や選ぶ時間、処分の手間を減らすことができます。たとえば、家具・家電など買い切りの場合に考えなければならない処分が不要になったり、ミールキットのサブスクでは献立作成や食材の調達、調理の手間を省くことができるといったメリットがあります。
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サブスクリプションのデメリット<顧客視点>
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 利用していない期間も料金が発生する
- 使わない機能やサービスも含まれてしまう
- 解約するとすべて利用できなくなる
利用していない期間も料金が発生する
サブスクリプションでは、実際に利用しているかどうかとは関係なく、契約期間中は料金が発生します。自動更新のため使っていないサービスに料金を支払い続けていたということもあるので、注意が必要です。
使わない機能やサービスも料金に含まれる
サブスクリプションは、契約したプランの中に使わない機能やコンテンツがパッケージとして含まれている場合がありますが、自分の必要/不要に関わらず、同じ料金を支払わなければいけません。
たとえば、定額見放題の動画配信サービスで、「興味がないジャンルが多い」「特定のコンテンツしか見ない」という場合は、都度レンタルや購入のほうがお得になる可能性もあります。利用できる機能やコンテンツを見て本当にサブスクリプションの必要があるのか、という点は事前に確認した方がよいかもしれません。
解約するとすべて利用できなくなる
買い切り型と異なり、サブスクリプションは商品・サービスを所有していないので解約すると利用できなくなります。形として残らないため、所有することで残る思い出や使い込んだからこそ出る味はサブスクリプションサービスで得るのは難しいといえます。
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サブスクリプションのメリット<企業視点>
サブスクリプションは、企業にとっては以下のようなメリットがあるビジネスモデルです。
- データを活用できる
- 安定して売上が伸ばせる
- 新規顧客を獲得しやすい
データを活用できる
サブスクリプションは、顧客の利用状況や評価をデータとして取得可能です。取得したデータを使用して「商品の改善」や「次の販促活動への反映」といった行動につなげることができます。
従来の売り切り型では、顧客の購入までがゴールになり売れた後の顧客行動はほとんどわかりません。一方サブスクリプションの場合、継続してユーザーが利用することで離脱する顧客の特徴や優良顧客のデータが蓄積され、失敗の原因や成功要因が分析できるため、適切なPDCAを回すことが可能です。
サブスクリプションの特徴は「製品中心」ではなく「顧客中心」であることです。顧客の声を拾い改善につなげるため、データの活用は欠かせないポイントです。
安定して売上が伸ばせる
サブスクリプションは新規顧客を獲得できた時点で、一度「継続課金」の契約を結んでもらったことになり、2回目以降の支払いのハードルが下がります。「再度買ってもらう」ことと「続けてもらう」ことでは顧客の心理的な負担が大きく異なります。
サブスクリプションが継続されやすい背景には、変化を避けて現状のままでいようとする”現状維持バイアス”という心理現象があります。今まで利用できたものが利用できなくなる、となると損をしたように感じ、「せっかくならもう少し続けておこう」と継続する顧客が多くなるためです。
このような点から都度課金よりもサブスクリプションは、安定して売上を伸ばしやすいビジネスモデルです。
参考:「初回無料!ただし・・」現状維持バイアスを活用して、定期購入を増やす仕組み
新規顧客を獲得しやすい
サブスクリプションは、初期コストが低く消費者の利用ハードルが下がるため、新規顧客を獲得しやすい点もメリットです。特に、香水のように使ってみないとわからないが購入するには決して安くない商品は、より価格メリットを感じてもらえます。
最近では、家具や電化製品のサブスクなども登場しており、いきなり購入するのは躊躇ってしまうような商品でも低価格で使用感を知ることができるので利用しやすくなっているといえます。
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サブスクリプションのデメリット<企業視点>
サブスクリプションは安定した売上が見込める一方、以下のようなデメリットもあります。
- 短期的な利益につながらない
- すぐに解約されてしまうリスクがある
- 商品やサービスを改善し続ける必要がある
短期的な利益につながらない
サブスクリプションは、ユーザーが長期的に利用してくれることで利益が出るビジネスモデルです。そのため、まだ認知度が低いサービス開始直後は利用者が少なく、短期的には売上がコストを下回ってしまうことも少なくありません。
また、ユーザーが初回で離脱しないようコンテンツや商品数を予め揃えるなど初期投資も多く、他のビジネスモデルより回収に時間がかかります。無料お試し期間や割引プランを設けることもあるため、最初は特に利益が出にくいビジネスモデルです。
すぐに解約されてしまうリスクがある
サブスクリプションは購入のハードルが低い一方、ネットで簡単に解約可能なサービスも多く、固定費であるため家計の見直しで解約の対象になりやすい支出です。しかし、初期投資がかかるサブスクリプションは短期での黒字化がしにくく、初回解約が多いと事業を維持するのが難しくなります。
商品やサービスを改善し続ける必要がある
現代は顧客自身がサービスや商品を比較しやすく、他社のほうがよいと思えば乗り換えが容易です。サブスクリプションは「長く使ってもらう」ことが重要なため、顧客に飽きられないよう、商品・サービスの改善はもちろん、新しいコンテンツを追加するなど、顧客と長期的な関係を構築していく考え方が重要です。
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サービス事例4選
次に、サブスクリプション型サービスの事例を4つ紹介します。
1. ラクサス
2. ホームタップ
3. メルスプラン
4. The Roast
ラクサス
ラクサスは大量生産・大量消費という社会問題を解決すべく開始した「月額定額制でブランドバッグが使い放題」のサブスクリプションサービスです。HERMES、LOUIS VUITTON、CHANELなど、60ブランド、4万点以上のバッグを利用することができます。
登録後9カ月を超える有料会員が95%で、一度利用するとほとんど解約することがなく、サービス開始当初から現在まで継続している人が約20%を超えるなど解約率が低いのが特徴です。
創業者である児玉さんはサブスクモデル成功のポイントとして以下を挙げています。
- 「〇回」使ってもらう(回数は提供サービスにより異なってくる)
- コアバリューを理解してもらう
- 継続的に利用できる価格設定
出典:ブランドバックで急成長するラクサス児玉昇司社長が教える サブスクリプションモデル成功のポイント!
「◯回」使ってもらうというところに関して、「ラクサスでは2ヵ月利用する(無料期間含む)と、98%が有料会員に転換する」という児玉さんが考えたロジックがベースにあるそうです。
その他CRM施策として、バッグ選びやコーディネートの相談に一人30分以上話をしてニーズにあったサービスを提供するなど顧客との信頼関係構築に努めています。
また、悪質なユーザーにはサービスの提供を即停止するといった対応をとることで、クレーム対応や修繕費を抑えて「ブランドバッグを借り放題月額6,800円」の仕組みを維持しています。
ホームタップ
ホームタップは、まるで⼯場のタンクから直接グラスに注いで飲むように『新鮮でおいしい状態でお届けしたい』という「Tank to Glass」をコンセプトに、自宅にビールが届けられるサブスクリプションサービスです。
専用のビールサーバーは無料でレンタルでき、月に2回ビールが届きます。常に3-4種類から選べて、週末だけ楽しむ人向けに月4L、日常的に楽しむ人向けに月8Lのコースが用意されています。
サービス開始当初から申し込み数が順調に増えたものの、ささいな操作ミスで炭酸が抜けてしまうというサーバーの課題に気付き、2017年秋から1年以上、会員の募集を停止していました。
ホームタップはただのビールの配送ではなく、おいしい生ビールをサーバーから飲むという一連の体験を提供するサービスです。
そのため、これは体験価値を損なう重大な欠点であるとして、抜本的な見直しを行いました。実際にどこに問題があるのかを知るため利用者への自宅訪問を行うなど、顧客と直接接点を持つ直販ならではの改善ができました。
再開後は、月額7,500円と、以前より600円値上げしたにもかかわらず、サービス再開前の案内で2,000人が応募。2021年8月には目標にしていた会員数10万人を達成しました。
メルスプラン
メルスプランは月々1,980円から利用できるコンタクトレンズのサブスクリプションサービスです。
レンズの不調やトラブル時には無料で新しいコンタクトレンズと交換できます。
まとめて注文していると、使い切る前に利用者のライフスタイルや視力が変わってしまうこともありますが、メルスプランであればレンズの種類や度数をいつでも変更できます。
「購入したばかりでもったないから」「まだ使えそうだから」といった習慣をなくし、目を守ってほしいという思いからこのような形態になりました。
また、利用ユーザーは専門医への相談が可能で、長期的にサービスを利用してもらえるようなサポートもしています。
メルスプランの会員数は、2021年3月決算時には134万人になり、株式会社メニコンの連結売上も862億円となりました。連結売上862億円のうち、メルスプランの売上は438億円と約50%と主力事業として大きく成長しています。
The Roast
The Roastは、焙煎機と毎月自宅に届く専用生豆で美味しいコーヒーを楽しめるサブスクリプションサービスです。自宅で極上コーヒーを味わえるように、日本人で唯一、コーヒー焙煎の世界大会で優勝した「豆香洞コーヒー(福岡県大野城市)」の後藤直紀氏が、使用する豆に適した焙煎工程を作成しています。
豆に合わせた焙煎工程をスマートフォンの専用アプリから焙煎機本体に送信することで、プロの焙煎技術を再現した本格的なコーヒーの味や香りを楽しめます。
サブスクリプションは利用する顧客にとっても企業にとってもメリットの多いビジネスモデルです。サービス開始直後は利益を出しにくいですが、正確に顧客ニーズを汲み取り、継続利用される商品・サービスに改善できれば安定した利益を確保できる可能性があります。
今回紹介したサービス事例がサブスクリプションモデルの導入を検討している方の参考になれば幸いです。
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