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サブスクリプションの意味は?月額定額制や定期購入のビジネスモデルとの違いは?

「月額制」「定額制」や「ストック型収入」などで注目される、サブスクリプションのビジネスモデル。ところがその定義や意味は、人によってさまざまです。国内外で出版された専門書6冊を調べたうえで、「サブスク」の意味と定義を日本の実態に即して、具体的に分かりやすくまとめました。

サブスクリプションとは?「サブスク」の意味を広くとると・・

 
サブスクリプションの元々の意味は、新聞や雑誌などの「定期購読」でした。
「製品やサービスを一定期間の利用に対して、代金を支払う方式」(三省堂「大辞林」より)と言われています。
 
そのうえで現在話題になっている「サブスク」の定義、国内外で出版された専門書を調べてみましたが、さまざまでした。
 

端的に言えば「定期購入」「定額制」「会費制」「ストックビジネス」のことです。毎月一定額の料金を支払うことで、毎月商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができます

(「サブスクリプション実践ガイド」佐川隼人より)
 

サブスクリプションは、売り切りのパッケージ型ビジネスとは異なり、「会員制」で「期間購入型」「定額制」でサービスを提供していく形態です。

(「サブスクリプションシフト」萩島浩司より)
 
そんななかで分かりやすかったのが、①定額制、②継続的な課金、③利用者への配送(ダウンロードやストリーミング含む)を、サブスクリプションの基本要素とする考え方でした。
(「事例で学ぶサブスクリプション」小宮紳一より)
 
 

 
 
この考え方にもとづくと、「新聞宅配」や「牛乳配達」、あるいは通販の「定期購入」「頒布会」のように、古くからあったビジネスモデルもサブスクリプションに含まれます
 
サブスク型ビジネスモデルの例

その他にも、従来からあった以下のようなビジネスモデルも、広く捉えると「サブスクリプション」と呼べるかもしれません。
 
・会費制のジムや習い事
・家やオフィス、駐車場などの賃貸借契約
・BtoBで月額制の顧問・コンサルティング
 
 

とは言え、月額定額制や定期購入など、既存のビジネスモデルとの違いって?

 
では、なぜ最近になってサブスクリプションが注目されているのでしょうか?
「月額制」「定額制」の支払いモデルや、定期購入サービスと、何が違うのでしょうか?
 
国内外の実務の第一線で活躍する方々の定義を調べていくと、「所有から利用へ」「製品ではなく顧客中心」「データ活用」の3点が浮かびました。
 
 

ポイント1:「所有」から「利用」へ

 
1つ目は、製品を所有するのではなく利用するという、“シェアリング・エコノミー”の流れに対応したサブスクリプションサービスが登場してきていることです。
 
・Netflixのような動画配信サービスも、DVDなどを所有せずストリーミングで利用できる
・SalesforceのようなSaas型のサービスも、ソフトウェアを企業が所有するのではなく、クラウド上で利用する
 
という意味で、共通していますね。
 
カタチのあるモノを提供するビジネスでも、たとえばメーカーの代表的存在であるトヨタ自動車が始めた「KINTO」は、その象徴的な例でしょう。
 
クルマを買うのではなく、月額2万円代からで利用できて、乗り換えもできる。
「家族が増えた」や「アウトドアが趣味になった」など、好みやライフステージによって乗りたいクルマが変わっていく、というニーズに対応しています。
 
その他に日本の事例でも・・
 

ラクサス・テクノロジーズ(広島市)は月額6,800円(税別)で高級バッグを借り放題の「ラクサス」を提供し、顧客から高い支持を集めている。(中略)
トラーナ(東京・中野)の「トイサブ!」は、子供の成長に合わせて知育玩具を定期的に配送、交換するサービスを提供する

(「サブスクリプション2.0」日経クロストレンド編)
 
 

 
 
モノを所有せずに、会員全体で“シェアしながら”一定期間利用できるという仕組みと、サブスクリプション型のビジネスモデルは相性が良いのです。
 
 

ポイント2:「製品」ではなく、「顧客」が中心

 
2つ目、「顧客中心」を強調するのが、米国でサブスクリプション専門のソフトウェアを提供するZuora社のCEO、ティエン・ツォ氏です。
 
サブスクリプションでサービスを提供する企業は、顧客と直接につながります。
したがって、従来のように流通チャネルを介してのみつながる場合と比べて、顧客への理解度が段違いに上がります。
 
何を売っているか?(製品)だけでなく、誰が買っているか?(顧客)が分かるようになると、企業が顧客を起点にビジネスを考えやすくなるのです。
同氏は著書で、“製品中心”から”顧客中心”への「組織マインドセットの移行」を、サブスクリプション・エコノミーの特長と説明します。
 
 

 
 
もちろんサブスク以前にも、通信販売のように顧客と直接に取引するBtoCビジネスは存在していました。
 
たとえば20世紀に米国で人気を博した「コロムビア・ハウス」は、レコードやカセット・CDなどを月額で定期宅配する、音楽の通信販売サービスでした。
最盛期には14億ドルを売り上げた同社も、2015年後半には会社更生法を申請して破産します。
 

コロムビア・ハウスは、加入者との関係を中心に据えてビジネスを構築しようとするのではなく、ただ商品を送りつけ、顧客に代金を支払わせるだけのビジネスを続けた。
残念な方法と言うしかない。
最初のディスカウントや無料のお試しに釣られてクレジット情報を提供してしまった顧客が、しかるべきタイミングで解約し損ねると、続けて請求された。
不透明な請求、複雑なキャンセル手続き、お粗末なコミュニケーションのおかげで、たくさんの会員が欲しくもない商品の山に悩まされた。

 
(「サブスクリプション: 「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル」(ティエン・ツォより)
 
月替わりで特定分野の商品を送る、一般的な定期購入サービスの中でも、顧客無視の態度をとるケースを、同氏は「ゾンビ・ビジネスモデル」と呼び、サブスクリプションと区別しています。
 
 

ポイント3:「データ」の活用

 
顧客と直接につながり、その利用状況を継続的に追えるとは、すなわちユーザーのデータを取得できるということです。
特にNetflixやSpotifyのように、デジタルでサービスを提供している企業は、「動画の閲覧時間」や「好みの音楽の傾向」など、一人ひとりの顧客データを、より細かな粒度で把握できます。
 
そのようなユーザーの利用データを、顧客のサービス向上に活用していることを、サブスクリプションの条件と唱えるのが、西井敏恭氏。
食材宅配のサブスクリプションを運営するオイシックス・ラ・大地などの執行役員を務めると同時に、マーケティング支援会社シンクロの代表として、国内の10以上のサブスクリプション事業をコンサルティングしてきた方です。
 

サブスクリプションとよべるのは、定期的な利用があり、かつデータが活用されている商品・サービスのみです。
都度利用はサブスクリプションではないことは、おわかりいただけると思いますが、定期的な利用があってもデータが活用されていないものは、サブスクリプションではありません

(「サブスクリプションで売上の壁を超える方法」西井敏恭 より)
 
 

 
 
たとえばオイシックスでは、会員の注文データを商品のレコメンド精度向上に役立てているそうです。
 

オイシックスの会員になると、毎週数千円相当の食材があらかじめサイト内のお買い物カゴに用意されます。自分の好みに合わせてボックスの食材を追加したり減らしたりするなど、自由にカスタマイズして注文します。お買い物カゴの食材をどのようにカスタマイズしたか、どんな食材がどんなタイミングで買われるかなど、オイシックスには膨大なデータが蓄積されていきます。

(「『新たな価値を提供するサブスクサービス』 オイシックス 〜ユーザーとつながることで、豊かな食卓を実現〜」より)
 
それらのデータから会員ごとの嗜好に応じて提案する食材リストを変更。
会員は、リストの中から不要なものを外し、欲しい食材と入れ替えればよいため「注文は数分で終わる」という利便性を提供しているのです。
 
このようなデータ活用によって、顧客が商品やサービスをより使いやすくなり、使い続けたい気持ちになることの大切さを説きます。
 
 

まとめ:収益が上がり続ける仕組みをつくるために、大切なこと

 
これまで広義・狭義それぞれ、のサブスクリプションの定義を紹介しました。
 
1章目で紹介したサブスクの定義に沿って、
・顧客にとっては、支払いが一括ではなく「毎月」「毎年」など定期的に発生する
・事業者にとっては、ストック型の継続的な収入ができる
という点に注目すると、今までもさまざまなビジネスモデルが存在していました。
 
一方2章目では、デジタル化の進展とともに、
・「モノを買う」だけでなく、デジタルやシェアリングでサービスを利用する消費形態が増えてきたこと
・企業がECやオンライン申し込みなどで顧客に直接に販売することで、ユーザーのデータを活かせる幅が広がったこと
をサブスクリプションの隆盛の背景として説明しました。
 
 
私が特に印象的だったのが、顧客が定期的にサービスを活用する、すなわち企業がユーザーとつながり続けられるという、サブスクリプションの特徴でした。
 
サブスクリプションで提供される商品やサービスは、さまざまです。
 
届けるのが有形のモノでも、無形の情報であっても。
ユーザーに商品やデータの所有権が移転しても、レンタルやシェアであっても。
 
その接点で生まれるユーザーデータを、デジタル技術の発展の恩恵を受けて、収集解析すること。
それらを使ってサービスを向上させ、結果的に継続率やLTVなどのアップに繋げること、収益が上がり続ける仕組みを作ること。
 
それらが、サブスクリプションの本質なのかと思いました。
 
 
最後に、今回の記事を書くにあたって何冊か本を読みましたが、改めて分かったのは、サブスクリプションの定義は人それぞれ、ということでした。
 
定義がバラバラと言う事はすなわちこれからビジネスを作っていき新しい意味付けをしていける余白があると言うこと。
日本ならではの、あなたの会社独自のサブスクリプションモデルを作っていくことに、この記事が少しでも役立てればと願っています。