マーケティングに関連するセミナーや勉強会、講座・研修などは、東京や大阪など都市部では数多く開かれています。特に初心者の方は、自分に合ったセミナー・勉強会をどうやって選べばよいでしょうか?私自身、累計100回以上のセミナー・勉強会に参加し、またセミナーの運営や講師の経験もしてきたなかで実感した、注意すべきポイントをお伝えします
目次
セミナーや勉強会は、“裏の目的”で2つのタイプに分かれる
はじめに押さえておきたいのが、セミナーや勉強会、講座・研修などは2つのタイプに分かれるということ。
セミナーを開催する企業の事業モデルから考えると、1つ目のタイプが、セミナー単体で収益を出すのを狙う「有料講座型」です。
2つ目のタイプが、その企業が販売する別の商品・サービスへの導線確保のため実施している「営業リード型」です。
「営業リード型」は、見込み客の獲得・育成が目的
営業リード型では、セミナーを実施するのは、システムベンダーや広告代理店、コンサルティングファームなど、マーケティング関連の事業を行う企業です。
自社の商品やサービスを最終的には導入してもらうために、見込み客との接点づくり、いわゆる「リード」の獲得や育成のために、セミナーを活用しています。
講座のテーマは、商品やサービスと連動した内容になることが多く、商品・サービスの宣伝や個別相談会とセットになることも多くあります。
参加費は無料が一般的で、高くても数千円から1万円までにおさまることが多いようです。
「有料講座型」は、単体での収益を目指す
有料講座型は、伝える知識やスキルへの対価として、参加者から受講料をもらい研修の運営費を賄うビジネスモデルです。
1講座の単独開催のほかにも、「アドテック東京」など期間中に多数の講座が開かれるイベント・カンファレンス形式や、「マーケジンアカデミー」のような連続研修など、形式はさまざまです。
講演の内容は、特定の商品やサービスとは離れたテーマとなるのが一般的です。
営業目的ではない分、参加費は1人あたり数千円から数万円など、営業リード型と比べて高くなりがちです。
ミスマッチを起こさないために、事前の見極めがおすすめ
もちろん、さまざまなセミナーや講座が開催されているので、そのすべてが2タイプにすっきりと分かれることはありません。
営業リード型でも商品・サービスに限らず、汎用的な事例・ノウハウが話されることもありますし、有料講座型でも講師や提供企業の宣伝が入る場合もあります。
ただし、セミナーに参加する前には「どちらのタイプなのか?」を見分けてから申し込むとよいでしょう。
たとえば、まだ商品・サービスを導入する気がないのに、営業リード型のセミナーに参加した場合を考えてみましょう。
参加するセミナーや実施企業によっては、以下のようなことが起こってしまいます。
「特定の商品・サービスの活用による成功事例が中心なので、あまり参考にならなかった」
「営業の方に名刺交換を求められたり、アンケートに詳細な記入が必要だったり、居心地が悪かった」
「参加後にアポイントの依頼の電話やメールが頻繁に届き、対応が大変だった」
もちろん、営業リード型のセミナーも関連分野の商品・サービスの導入を検討している方にとっては、システムベンダーや広告代理店などのノウハウや実績を知れる有効な機会です。
また有益な情報を無料で提供してもらえるので、参加者にとっては所属企業での参加許可も取りやすく、貴重な機会となるでしょう。
したがって、参加するタイプのセミナーを事前に見極め、趣旨や内容を事前に想定したうえで参加することをおすすめします。
セミナー・勉強会のタイプを見極める、3つのポイント
セミナー・勉強会の公式な告知には、どちらのタイプかは明示されてはいません。
ですが、いくつかのポイントによって予想は付くようになるので、私が判断に活用している3つのポイントをお伝えします。
ポイント1:費用
無料の場合は、営業のためのリード獲得が目的のことが多いでしょう。
ただし数千円(なかには経営者対象の場合は数万円)程度までの参加費なら、参加者のハードルを上げて本気度の高い見込み客に参加してもらうため、営業リード型でも有料に設定している場合もあります。
ポイント2:主催企業
システムベンダーや広告代理店、制作会社など、マーケティング関連の商品・サービスを提供している企業の場合は、営業リードが多いでしょう。
一方、メディア企業や業界団体、コンサルティングファームなどが開催する場合は、有料講座型が多い印象です。
ポイント 3:講師の所属
講師がマーケティングサービス企業側の場合は、たとえ主催がメディア企業などの場合でも、協賛や広告として登壇しているケースもあります。
逆に営業リード型のセミナーでも、申込者数を増やすための“目玉”として、有名コンサルタントや注目企業の社員が登壇する場合もあります。
ちなみに講師の所属が事業会社の場合は、ベンダーや代理店サイドからは出てこない“生の”有益な情報に出会える場合もありますし、一方、特に大手企業などは「言える範囲」への配慮から、当たり障りのない内容に終始してしまいがっかりする場合もあります。
(ここを事前に見分けるのは、非常に難しく感じています。)
主催側の意図を見極め、適切なセミナー・勉強会選びを
これまでマーケティングのセミナーについて解説してきましたが、どちらかのタイプに優劣を付けている意図はありません。
私自身、営業リード型の無料セミナーでも、専門分野の濃いノウハウを提供している講座もたくさん受けてきました。
セミナーをきっかけにサービスについての理解を深め、ツールを導入したり案件を依頼したりしたこともあります。
マーケティングサービス企業の強みは、複数の事例をもとに客観的なノウハウを提供できることです。
特にマーケティングの上流工程を支援している企業の場合は、ビジネスモデルの深い理解にもとづいて、表面的ではない深い知見をアウトプットしている傾向があるように感じています。
今回は、セミナーや勉強会を大まかに2つのタイプに分類して、特徴や見分け方などをお伝えしました。
主催・講師側の意図を見極め、適切なセミナー選びができるよう、願っております。