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マーケティングの意味とは?基礎から分かる手法と、戦略の立て方

マーケティングという言葉は、人によってさまざまな意味で使われます。
この記事では“初心者によくある3つの間違い”を紹介しながら、「マーケティングとは?」に基本から答えます。
さらに「マスマーケティング」など代表的な手法や、「3C分析」をはじめとした戦略フレームワークについても、具体的な事例とともに解説します。

目次

   

マーケティングの意味は?よくある3つの間違いと、ドラッカーやコトラーの定義

 

マーケティングと聞くと、あなたはどんなイメージを抱きますか?
「広告」や「リサーチ」、「戦略」など思い浮かべる言葉は、実は人それぞれです。

 

筆者はマーケティングの実務を10年以上経験して、またマーケティングに関連する本を300冊以上は読んできましたが、一番オーソドックスな定義が「売れる仕組みをつくる」ことと捉えています。

 

なぜそのようにシンプルな言葉で、マーケティングを定義できるのか?
初心者の方によくある間違いとともに、ドラッカーやコトラーなど有名な大家の捉え方を見ていきましょう。

 

「マーケティングとは?」の定義早分かり

   

よくある間違い1:マーケティングとは「リサーチ」

 

1つ目の間違いは、マーケティングとは「調査」や「リサーチ」を指すという捉え方です。アンケートやグループインタビューなどで顧客ニーズを探り、商品開発に生かすことを、マーケティングと理解している方もいます。

 

それに対してマーケティングを「会社がより多くの利益を出すことに焦点を当てた活動」と強調するのが、1980~90年代の米国コカ・コーラのマーケティング戦略を担ったセルジオ・ジーマン氏です。

 

マーケティングの任務は、商品をより多く販売し、より多くの利益を上げることである。人々にあなたの商品をより多く、より高頻度で、より高い値段で買ってもらうこと」  
(出典:「そんなマーケティングなら、やめてしまえ!マーケターが忘れたいちばん大切なこと」セルジオ・ジーマン)

 

ジーマン氏は、市場調査やパッケージング、プロモーションなどを「マーケティングを実施するためのツールにすぎない」と言います。
マーケティングの目的はあくまで、商品を通じて売上や利益を上げることです。

   

よくある間違い2:マーケティングとは「売り込み」

 

今度は逆に、マーケティングとは「売り込み」と捉える方もいます。
広告や販促プロモーション、営業によって“買う気がない”消費者にも商品を強く勧めて、購買意欲を煽って売りつける方法、という誤解です。

 

これに対して「経営学の父」とも言われる米国の経営学者、故ピーター・ドラッカー氏は次のように述べています。

 

マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。
マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」
(出典:「マネジメント」ピーター・ドラッカーより)

 

セールスとマーケティングを明確に区別している点が、斬新ですね。

   

よくある間違い3:マーケティングとは「広告宣伝」

 

最後に、「広告宣伝」であるという捉え方もあります。

 

テレビCMや新聞広告、ネット広告などを通じて商品をPRすること、いわゆるプロモーションを指すという誤解です。

 

これに対して「マーケティングの神様」とも呼ばれる、フィリップ・コトラー教授は次のように定義します。

 

「マーケティングを最も短い言葉で定義すれば『ニーズに応えて利益を上げること』となろう。 (中略)
どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること。 」
(出典:「コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版」フィリップ・コトラー)

 

コトラー氏が確立した捉え方が、マーケティングとは広告宣伝部門のみが司る仕事ではないということ。
商品・サービスを企画して生産する、そして販売したうえで届けて代金を回収する。
その一連の流れのもとで利益を上げるために、消費者のニーズを捉えるように戦略を立てプロセスを管理していくことがマーケティングというのです。

   

まとめ:マーケティングとは、「売れる仕組み」づくり

 

これまで、日米のマーケティングの大家と呼ばれる3人の定義を並べて紹介しました。
3人とも別の角度からマーケティングを説明していますが、共通していることがあります。

 

それは、企業が強引に売り込むのではなく、消費者が「買いたい!」と思ってもらえる環境を整えるのにフォーカスしていること。
そのうえで「売る」という工程において上流から下流まで、以下のように仕組み全体を視野に入れています。

 

・リサーチや認知度向上だけでなく、販売による売上/利益のアップを目的にしている
・広告宣伝だけでなく、商品開発やカスタマーサポートなど商品が売れて利益が上がるまでの仕組みを範囲としている

 

これらをシンプルにひとことにすると、「売れる仕組みをつくる」と言えるのではないの でしょうか?

 

「売れる仕組みづくり」この言葉が、マーケティングの定義を端的に表していると筆者は考えています。

   

マーケティングの歴史を、5分で早わかり

 

前章でみたマーケティングの定義ですが、どのような変遷をたどって現在の姿にたどり着いたのでしょうか?
社会の変化や身近な商品と合わせて、マーケティングの歴史を5分で簡単に理解できるようにまとめました。

   

マーケティングが誕生したのは、20世紀初めのアメリカ

 

「マーケティング」という言葉が普及していったのは、今から100年以上前のこと。
 20世紀に入った、アメリカにおいてでした。」
(出典:「マーケティング大全」酒井光雄より)

 

その頃のアメリカは、新しい工業製品が大量に生産されるようになった時期。
鉄道と電信のネットワークも完成して、工業製品を広い全土に流通させる環境が整ったところでした。

 

大量生産された製品を、いかに売りさばけばよいか?
販売エリアの拡大や流通チャネルの整備といった、「マーケティング」が経営上の課題となったのです。

 

フォードやGMなどの自動車メーカーが、全国で販売網を構築するなどに際して、 マーケティングを活用。
P&Gで活躍したビジネスパーソンが大学に転じてマーケティングの講座を開設するなど、 学問としても発展していきました。

   

日本では戦後に、テレビの普及でマス・マーケティングが盛んに

 

一方、日本で「マーケティング」が強く意識されるようになったのは、第二次世界大戦後のことでした。

 

1960年代の高度経済成長に乗って、洗濯機や冷蔵庫などの電機製品が家庭に普及。
全国に商品を拡販していくために、ちょうど同じ頃に普及が進んだテレビが活用されます。

 

「ナショナル」や「フジカラー」「ボンカレー」など、現在も残る大手メーカーの商品のCMが放映。
テレビCMなどを活用した、マス・マーケティングが盛んになります。

 

この時代の販売チャネルは、百貨店やスーパーマーケット、専門店や地域店などの小売店舗がメイン。
したがって広告宣伝の目的も、消費者に認知してもらい、良いイメージを抱いてもらうこと、
いわゆる「ブランディング」が主流
でした。

   

通信販売など、ダイレクトマーケティングが台頭

 

高度経済成長が終わり、日本中にモノが行き渡るようになると、消費者の好みが細分化。
マス・マーケティングだけでは、対応できないニーズも生まれます。

 

そこで普及していったのが、カタログやDMを見てたくさんの商品から選ぶ「通信販売」の業態
1970年代にディノスやセシールなどが創業、アパレルを軸に事業を拡大していきます。

 

80年代には、ファンケルやオルビスといった健康・美容分野でも、通信販売が発展していきます。

 

物販のほかにも、アフラックなどダイレクト型保険やベネッセをはじめとした通信教育のように、小売店を介さずに特定の顧客と直接につながり、繰り返し購入してもらう、 ダイレクトマーケティングのビジネスモデルが台頭します。

 

ITシステムの発達にともない、顧客リストを活用した「データベースマーケティング」も盛んになります。
売上効果を数値で正確に測定して、ROI(投資対効果)を検証していこうという流れも生まれます。

   

インターネットの登場とデジタルマーケティングの発達

 

このような「ダイレクト化」「費用対効果の可視化」の流れに拍車をかけたのが、インターネットの登場でした。

 

小規模な事業者でも、WEBサイトを店舗代わりに全国へ商品を売り込んでいくのが可能になりました。
楽天やAmazonなどECモールの普及にともない、ネット通販が盛んになっていきます。

 

また「ホテルの予約」や「金融商品の取引」など、これまで店舗でまたは営業マンによって取引がなされていた業態も、ネット上での購入が当たり前に。
家電を購入するときは「価格コム」等の比較サイトをチェックしたり、お店を探すときは食べログ等のレビューをもとに選んだりなど、オンラインの評判を購入の決め手にするユーザーも増えました。

 

そこで盛んになったのが、「デジタルマーケティング」(WEBマーケティング)。
オンラインでは、WEBサイトのアクセス数や流入元、広告のクリックやコンバージョンなど、あらゆる行動が数値で可視化されます。
「100万円の広告費を投資したら、1年間で200万円の売上として回収できる」といったROIを測定できるのが当たり前になってきます。

 

逆に、テレビCMをはじめとした従来型メディアは、広告の費用対効果が見えにくいことがネックに。

 

2010年には広告出稿高でインターネットが新聞を抜いて第2位となり、広告業界でも大きな存在感を持つようになります。

   

スマホとソーシャルメディアの普及が、消費行動に大きな影響

 

インターネットの普及に拍車をかけたのが、スマートフォンの普及。
2010年頃から、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアを活用する人口も増えます。

 

「友達の投稿で薦められていた本を購入する」や「有名人がお気に入りとInstagramでアップしていた化粧品を買う」など、消費行動にソーシャルメディアが大きな影響を与えるように。

 

そこで盛んになったのが、「ソーシャルメディア・マーケティング」です。

 

企業がLINEやFacebookなどのアカウントを開設して情報を発信したり、コメントやシェアなどを通じてユーザーと直接コミュニケーションするのも一般的になりました。
芸能人やカリスマ主婦などの「インフルエンサー」に商品の販売促進を手伝ってもらうマーケティング手法も、増えていきます。

 

このように産業構造やメディアの移り変わりにともない、マーケティングのやり方も変化してきたのが分かりますね。

   

“マス”や“ダイレクト”など、代表的な手法を押さえる

 

前章でマーケティングの歴史を見てきたなかでも、「マスマーケティング」や「ダイレクトマーケティング」など、さまざまな用語が登場しました。

   

マーケティングには、目的や商品に応じてさまざまな手法があります。代表的な手法を、大まかに3つのタイプにまとめました。

   

タイプ1:マスマーケティング型

 

1つ目「マスマーケティング」は、大多数の消費者(マス)を対象とするマーケティング手法です。

 

プロモーションには、テレビや新聞、雑誌、ラジオといったマスメディアが伝統的に活用されてきました。
   

日用消費財や食品、自動車・不動産などで展開

 

マスマーケティングは、どんな業種や商品で用いられているのでしょうか?
テレビCMや新聞の一面広告でよく見かける商品を思い出すと、イメージしやすいでしょう。

 

たとえばシャンプーやトイレットペーパーなどの日用消費財、清涼飲料や調味料などの食品。
大多数の消費者がニーズを持っていて、スーパーやドラッグストアなど小売店で、日常的に購入するような商品と相性が良いようです。

 

また自動車や住宅、宝飾品といった高単価な商品も、マスメディアで積極的に広告展開していますね。
この数年間ではデジタルサービス、「モバゲー」をはじめとしたソーシャルゲームや「メルカリ」などアプリなども、マスマーケティングを活用する事例が増えています。

 

「認知促進」や「イメージ向上」などブランディング目的が多い

 

マスマーケティングを展開する企業に多いのは、広告で商品を直接に販売するために出稿するというよりは、いわゆる「ブランディング」を目的にしていること。

 

商品のイメージや企業の認知度・レピュテーション(評判)を高めることを、目指しています。
広告投資の効果測定には、好感度調査や認知度のリサーチなどが用いられることが多いようです。

 

対義語として使われることが多いのは、商品の販売を広告の目的とする「セールスプロモーション」や「レスポンス広告」など。
あるいは地域を限定した「エリアマーケティング」や、ターゲットや媒体を絞った「ニッチマーケティング」、インターネットを活用する「WEBマーケティング」などです。

   

タイプ2:ダイレクトマーケティング型

 

2つ目「ダイレクトマーケティング」は、消費者に直接(ダイレクト)に店舗や卸売りなどを介さずに、商品を販売する手法です。
テレビショッピングで「お申し込みは0120-***-***まで今すぐ」と連呼していたり、ネットに「今ならお試し980円!」とバナーが踊っていたりする手法、と言われるとイメージしやすいかもしれません。

 

 

通販・ECをはじめ、非対面型の商品・サービスで活用

 

ダイレクトマーケティングを活用している業界の代表例は、通信販売やEC(ネットショップ)です。
有名なのは、Amazonや楽天などショッピングモールや、ニッセンに代表される総合通販(カタログ通販)。
あるいは、「ドモホルンリンクル」(再春館製薬所)が有名な化粧品や、やずやのような健康食品、などいわゆる単品通販の広告も見たことがある方は多いでしょう。

 

通販以外でも、ダイレクト型保険や通信教育など、消費者が直接にサービスを申し込む業態で活用されてきました。
最近ではネットフリックスなど動画配信サービスやマネーフォワードのようなクラウド会計ソフトも、会員獲得のために盛んに広告を展開しています。

 

費用対効果が“数字で見える”のが、一番の特長

 

ダイレクトマーケティングで重視するのは、「コンバージョン」や「レスポンス」と言われる直接的な成果

 

主に広告を活用して購入やお試し申込を募り、新規顧客を獲得します。
従来は新聞広告や折込チラシなど紙媒体、あるいはテレビの「インフォマーシャル」を活用する企業が多かったですが、最近ではネット広告に軸足を移す企業が増えています。

 

1番の特長は、費用対効果を数値で測定できること。
CPA」や「LTV」といった指標を用いて、広告費を「いくら投資して、どれだけ回収できたか?」が判定されます。
したがって、同じく数字による成果が明確に見えるデジタルマーケティング(WEBマーケティング)、特にGoogleAdwordsやFacebook広告など「運用型広告」と相性が良いようです。

 

さらに、広告で獲得した顧客リストはデータベースに蓄積。
いわゆる「データベースマーケティング」が展開されます。
DMやカタログ・会報誌、アウトバウンド(電話)にメール、最近ではリターゲティング広告やLINEなどを活用して、リピート購入を呼びかける「CRM」が発達してきました。

   

タイプ3:インバウンドマーケティング型

 

1と2で紹介したのはいずれも、広告の大規模な展開を前提にしたマーケティング手法でした。
しかし、中小企業の大多数は広告予算を潤沢にかけられませんし、インターネットの普及とともに広告やDMなど「売り込みが効きにくくなっている」のも事実です。
そんななかで広まったのが、「インバウンドマーケティング」の手法です。

   

専門的なコンテンツを発信して、ユーザーに見つけてもらう

 

インバウンドマーケティングとは、主にインターネットを活用して顧客から見つけてもらう、プル型のマーケティング手法です。
専門的な情報を発信して、興味を持ったユーザーに主にWEBサイトに訪れてもらい、商品やサービスを知ってもらう、という流れをとります。

 

たとえばオウンドメディアを開設して、自社の商品やサービスに関連するテーマでブログ記事を作成する、「コンテンツマーケティング」の手法と合わせて用いられます。
SEO(検索エンジン最適化)という技術で自然検索から、またはFacebookやTwitterなどで「バズる」ことでソーシャルメディアから集客します。

 

見込み客(リード)との結びつき(エンゲージメント)と育てていく

 

インバウンドマーケティングを活用するのは、たとえば広告を打つにはターゲットが狭すぎるニッチな商品を販売する企業やBtoBでサービスを展開する企業など。
また専門的なスキルを武器にサービスを提供する、士業やコンサルティング業界などと相性が良いようです。

 

問い合わせや資料請求などで見込み客(リード)を獲得すると、時間をかけて顧客との結びつき(エンゲージメント)高めていきます。
メルマガやステップメールを送る場合も、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すれば、顧客の行動や購入タイミングに合わせて情報を提供できます。

   

まとめ:無数の手法はあるものの、実用性にもとづいて理解

 

これまで見てきたように、一口で「マーケティング」と言っても、アプローチや考え方はまったく異なります。

 

今回は分かりやすさを重視して、代表的な3つの手法に分類しましたが、この他にもさまざまな手法があります。

 

「インフルエンサー・マーケティング」や「コーズ・マーケティング」、「アンバサダー・マーケティング」「ソーシャル・マーケティング」・・
「○○マーケティング」と呼ばれる手法は、細かいものまで含めると100以上はあるようです。

 

またそれぞれの手法は、必ずしも厳密に分類できる訳ではありません。

 

ダイレクトマーケティングを展開する企業がマスメディアで広告展開したり、マスマーケティングが主体の企業がオウンドメディアを開設したりなど、1つの企業が複数の手法を用いることもあります。
逆に、最近ではデジタルマーケティング(WEBマーケティング)の技術は、どの手法においても共通して欠かせなくなっています。

 

あなたの事業にとって、どのようなマーケティング手法が有効に機能するのか?
特に初心者の方にとっては、網羅的に理解しようとするのではなく、実務に沿って1つ1つの分野のスキルや知識を身につけていくとよいでしょう。

   

戦略の立て方は?2つのフレームワークを厳選して、事例とともに

 

続いて、マーケティング戦略を策定するためには、どうすれば良いでしょうか?「5フォース分析」や「PEST分析」など戦略を考えるためのフレームワークは多数あります。
ここでは、初心者の方が押さえておきたい2つの考え方を、成功事例とともに紹介します。

   

「3C分析」にもとづき、“戦う土俵”を決める

 

1つ目が、3C分析。
市場(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの角度から、商品やサービスが置かれている競争環境を整理します。

 

抽象的な説明はなかなか分かりにくいので、事例を交えてご説明しましょう。
たくさんの方がご存知であろう、任天堂のゲーム機「Wii(ウィー)」を取り上げます

 

Wiiが発売された2006年当時、家庭用ゲーム機市場ではソニーの「プレイステーション3(PS3)」やマイクロソフトの「Xbox」などが激しい競争を繰り広げていました。
PS3やXboxの売りは、動画のスピードと美しさ、それを可能にする高性能なCPUの技術です。

 

ところが、このように「ゲーム機の性能がどんどん高まるにつれて、一般の人はついていけなくなって」しまっていました。
(出展:日経ビジネスオンライン「任天堂を復活させた、ある戦略」)

 

そこでWiiが狙った市場(Customer)は、たとえば主婦などゲームをこれまで熱心にプレイしてこなかった層。
競合(Competitor)がこれまで狙わずに、空いていた市場です。

 

「市場ニーズがある」「競合が狙っていない」「自社の強みを活かせる」が条件

 

動画のスピードと美しさではWiiは勝負せずに、価格も競合の3分の2程度に設定。
リモコン型のゲーム機を手に持って動かしながら、初心者でも楽しめる製品を開発します。

 

任天堂は、ソニーやマイクロソフトのように技術を武器としたメーカーではなく、花札やトランプなど娯楽製品の販売から興った会社。
ファミコンなどゲーム機市場に乗り出すなかでも、楽しんでもらえるモノを作るという、自社(Company)で培ってきた強みが生かされていますね。

 

この成功事例からも分かるように、利益を高めるために重要なのは、市場のニーズがあり、競合との競争が激しくなく、自社の強みを活かせるのはどこか?を探すこと。
売り出す商品やサービスが「戦う土俵」を決める戦略を立てるために有効なのが、3C分析なのです。

   

「STP分析」によって、どう売るか?を議論

 

「どこで戦うか?」を決めたら、次は「どう戦うか?」を具体的に考えましょう。そのために重要なのが、「誰に」「何を」価値と感じてもらい選んでもらうか?

 

「誰に?」を決めるために行うのが、セグメンテーション(Segmentation)とターゲティング(Targeting)。
「何を?」を定めるのが、ポジショニング(Positioning)です。

 

先ほどのWiiの成功事例をもとに、もう一度考えてみましょう。

 

WiiのテレビCMを見ると、家族やカップル、友達や親戚同士などが遊んでいるシーンを登場させています。
実際に購入または使用したのも、CMに登場した「メタボに悩むお父さん」や「スリムになりたいお母さん」、さらに子どもから高齢者まで幅広い層だったようです。

 

Wiiが狙ったターゲットは、これまでゲームを熱心にプレイしてこなかった層。
つまり、家庭用ゲームの購買経験という軸で、市場をセグメンテーションしています。

 

ターゲティングというと、「50代女性」や「年収1000万円以上の富裕層」といったように、年齢や性別、地域や年収などで定量的に分類するイメージが一般的にはありますが、あえてスペックで絞らずに、商品の購買経験や趣味嗜好、価値観など定性的な軸で設定する場合もあります。

 

「誰に?」が決まったら、次は「何を?」価値として感じてもらうか。

 

Wiiの企画時のコンセプトは、「家族皆でリビングで遊ぶ」そして「お母さんに嫌われない」だったそう。 (出典:「任天堂 “驚く”を生む方程式」井上理)
テレビCMでも、「Wiiのある生活」というキャッチコピーとともに、家族や友達など「皆で楽しく遊べる」というベネフィットが表現されています。

 

他社製品では、攻略の奥深さや操作の機能性などを強調したゲームが多いなか、Wiiは初心者でもシンプルに楽しめることを訴えています。
つまり2つの軸で、「一人」ではなく「皆で」、「高機能」より「簡単」を明確に打ち出したポジショニングをとっていると言えるでしょうか。

 

もし任天堂が、競合と同じようなコンセプトで製品を発売していたら、どうなっていたでしょうか?
激しい競争のなかで、「全世界で販売台数1億台突破」といった大ヒットは生まれなかったはずです。

 

他にも、「PEST分析」や「5フォース」「4P分析」などさまざまなフレームワーク

 

これまで見てきた「3C分析とSTP分析の他にも、マーケティング戦略を立てるうえで活用できるフレームワークは、他にもたくさんあります。

 

もしあなたの商品やサービスが「環境変化にどのように対応していくか?」を構想したり、「中長期での経営戦略を立てるために、マーケティングを考えたい」といった場合は、政治・経済・社会・技術とマクロ環境を把握するための「PEST分析」が有用でしょう。
またミクロな競争環境を「5フォース分析」に沿って整理したり、自社の強み・弱みと機会・脅威を「SWOT分析」にしたがって書き出してみると気づきがあるかもしれません。

 

既に商品・サービスや市場は決まっていて、「どう売っていくか?」を検討していくケースでは、「4P分析」に沿って商品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・広告宣伝(Promotion)を販売計画の策定に用いましょう。
(ただし、伝統的な店舗ビジネスには即した考え方ですが、インターネットでの販売については流通と広告宣伝が概念として重なりやすいなど、実用的でないこともあると筆者は感じています。)

 

分析の切り口はたくさんありますが、重要なのはツールに振り回されずに「どうしたら売れるか?」のヒントを探すために活用すること。
「初めてマーケティングに取り組む」という方なら、まずは3C分析とSTP分析をしっかりと形にするのが有効と筆者は考えています。

   

マーケティング初心者のための、オススメ本4冊

 

最後に、この記事をきっかけに、マーケティングについてさらに学びたい方のために、オススメの本を紹介します。

 

“コトラー”や“ポーター”など、マーケティングや戦略について書かれた本はたくさんありますが、理論が主体の分厚い本は初心者にはとっつきにくく、飽きてしまうかもしれません。
一方、流行りの広告手法がテーマの本やマーケティング会社の宣伝本のなかには、内容が薄く時間が経つと通用しないノウハウも含まれています。

 

そこで、身近な事例をもとに書かれているものの、本質的な理解に迫っている本をピックアップ。
筆者が200冊以上はマーケティングの本を読んできたなかで、初心者の方向けに4冊を紹介します。

   

戦略の立て方を、身近な例から「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか」

 

1冊目、マーケティング戦略を立てる方にオススメなのが、「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?―― 3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策 」(権成俊 ほか)です。

 

WEBマーケティングの技術に乗って一時的には売上を伸ばした会社も、トレンドの変化によって栄枯盛衰を繰り返していったなかで、著者が実感したのが戦略の重要性。前章で紹介した3C分析をベースに、お客様が検索結果などをきっかけに競合と比較したときに「選ばれる理由」を掘り下げて考えます。

 

WEBマーケティング以外に取り組む方にも、十分にお薦めできる内容です。

   

ECの熟達者が語る、デジタルマーケティングの実践的なノウハウ

 

2冊目が、どの手法を取るにしても欠かせないデジタルマーケティングについて。1冊だけ厳選するなら、「デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法」(西井敏恭)を読むとよいでしょう。

 

ドクターシーラボやオイシックスなど、EC企業を渡り歩き「売上20億円を、5-6年間で100億円に」といった事業の成長を牽引してきた著者が、「WEBで売る」ための具体的なノウハウを語っています。

 

著者が強調するのは、最新のテクノロジーやツールだけに目を奪われないこと。売上構造の分析や売れる広告づくりなどにおいて、身につけておくべき考え方が解説されています。

   

顧客心理をつかむリサーチは、リクルートの「創刊男」から

 

3冊目は、「MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術」(くらた まなぶ)。
著者は、リクルートで「とらばーゆ」「フロム・エー」「じゃらん」など、今も残る情報誌を立ち上げたヒットメーカーです。

 

どんな商品やサービスを売るためにも、肝となるのが「いかに顧客のニーズをとらえられるか?」。
著者が「人の気持ちを知る」ために、徹底的にヒアリングをくり返していったリサーチ手法が、生々しい体験とともに語られます。

 

私もこの本にならって、新しい商品のマーケティングに携わる時にはインタビューをしており、毎回さまざまな発見があります。

   

マーケターの基礎体力、仮説検証の回し方を身につける

 

4冊目が、マーケティングで継続的に結果を出していくために重要な、PDCAの回し方について。
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」(内田和成)です。

 

同書の著者は、ボストン・コンサルティンググループの元シニアパートナー。マーケティングの本ではないですが、仮説検証の方法が分かりやすく述べられている ので、お薦めしました。

 

「どうすれば売れるか?」の仮説を立てて、施策に落とし込む。一方、定量的なデータを分析しながら、あるいは定性的な情報を捉えながら、実行した結果を検証する。

 

マーケターに必要な“考え方”の土台が、分かりやすく解説されています。

   

最後に:マーケティングの世界で、あなたが活躍するきっかけに

 

この記事では、マーケティングの定義と歴史、手法と戦略について解説してきました。

 

記事をすべて読んだ方ならお分かりのとおり、同じ「マーケティング」とう言葉を使っていても、人や企業によって捉え方や注力する分野はさまざまです。
また有効な手法や乗るべきトレンドも、業界や商品によって異なりますし、時代の流れとともに移り変わってます。

 

大事なのが、あなたの置かれている環境や達成すべき目的に沿って、「何を身につけるべきか?」を選び、自らの意志で学んでいくこと。

 

そして実践で応用して、自分なりの成功パターンを体験知として身につけていくことです。

 

この記事が、「マーケティングとは?」をあなたが知り、さらなる成果を挙げるためのきっかけになれば嬉しく思っています。
もっと学びたい方は、最後にご紹介した本もぜひご覧になってみてください。