インフォマーシャルでお客様が求めるのは、「お買い得感」。
ところが初回に割引き価格で購入したお客様が、2回目以降の本商品や定期コースの価格との落差で離脱してしまうことが往々にしてあります。
そんなジレンマに悩んでいたある通販企業で、「価格訴求」によるレスポンスの獲得と、定期コースへの「引き上げ」を両立させることができた事例がありました。
目次
開始30秒以内に、価格を出しただけで・・!
あるリピート通販会社のインフォマーシャル(120秒間)で、以下の2パターンの映像で比較テストを行いました。
・A:価格を、冒頭(開始30秒以内)に伝えるパターン
・B:価格を、最後に伝えるパターン
オファー価格が1,000円以下と、お得感を感じやすいという要因もあったのでしょう。
単純に伝える順番を変更しただけで、価格を冒頭に伝えた(Aパターン)方が、最後に伝えた場合(Bパターン)と比べて、なんと150%もレスポンスが上昇する、という圧倒的な違いを生みました。
購買行動のハードルが下がる、視聴者の心の流れ
「価格訴求」は、通販における伝統的な手法です。
安ければ安いほど、レスポンスは獲得しやすいのは当然です。
あるアンケートでは、健康食品を購入する際に重視するポイントが「価格」であると、74.3%が回答しています。
特にお得感を求める視聴者が多いテレビ通販番組では、
「安い」→「商品の説明」→「体験談」
という流れは、以下のような心理が働くのでしょう、レスポンスに直結しやすいと考えています。
・商品について、興味が湧く
・価格に対して、抵抗感が低くなる
・購買行動のハードルが下がる
本商品への転換時に、9割のお客様が離脱・・
安価であれば、レスポンス獲得は容易になりますが、価格の低さを煽るように伝えると、定期コースへの誘導率が下がってしまう、という懸念が生まれます。
ある通販会社でも、先ほどの事例と同じように、価格訴求を冒頭に持ってくることで、レスポンスが145%にも上昇したものの、本商品への転換時に9割近くの方が離脱してしまう、という現象も同時に起こってしまいました。
安い値段に魅力を感じて購入したのに、本商品や定期コースになると急に価格が上がってしまい、購入のハードルが高くなってしまったことが原因と考えられます。
このように「価格訴求」においては、「レスポンスの獲得」と「定期コースへの引上げ」が二律背反の課題として常につきまといますが、そんな課題を解決するヒントが、後述の実例の中にあるかもしれません。
コールセンターで導入した、1つの実験
ある通販会社は、初回は大幅な割引価格で購入できて、2回目以降は自動的に定期コースへ移行する、という販売手法をとっています。
広告にそのことはしっかりと表示しているのですが、定期コースになると購入をやめてしまうお客様も・・
初回から2回目への離脱率が上がってしまう、という課題を抱えていました。
そこで、コールセンターで1つのことを実験的に導入しました。
注文のため電話をかけてこられたお客様に、定期コースであることを、受注前に改めて伝えて確認するよう、スクリプトに加えたのです。
定期コースへの移行率が、10%以上も改善
これによって、2回目以降の定期コースへの移行率が、電話で定期コースということを伝えなかった場合と比較して、10%以上も改善することができたのです。
しかも、定期コースであると電話でも説明することで、定期コースを理由に、初回に購入を取りやめたのは3%程度。
つまり、事前に改めて定期コースと伝えることで、初回購入のためのレスポンスはさほど下げずに、2回目以降の離脱が増えるという課題を解決できたため、定期購入者の獲得効率は上がったわけです。
これを実施する前には、
「定期コースが条件と改めて確認することで購入へのハードルが高くなってしまうのでは?」
という心配の声もあがりました。
2回目以降も購入を続けられた、お客様の心理
一方、お客様が電話をかけてくださるのは、「買いたい!」と最もテンションが上がっている時。
その瞬間ならば、定期コースであることは、ハードルにならなかったのかもしれません。
そのうえで、お客様は自身で納得して買うことを電話口で選択されたので、その約束を守ろうという意識が作用するのかもしれません、2回目以降も購入を続けられるのです。
(ちなみに、「これには『自己一貫性の原理』が働いている!」と、山内が嬉しそうに話していました。詳しくご興味のある方は書籍「影響力の武器」をご参照、とのこと)
コールセンターにとっての、副次的効果
さらに、コールセンターにとっても、思わぬ副次的効果がありました。
定期コースであることを、電話では伝えていなかった際には、その後にお客様から、クレームを受けることも多かったのですが、そのクレームがほんんどなくなりました。
したがって、コールセンターのスタッフにとっても負荷も減りすべての部署にとって、喜んでいただける結果となりました。
今号では主に、以下の2つをお伝えしました。
・オファー価格のお得感を強調するために、冒頭で価格訴求を行うことで、レスポンスを上げる方法
・価格に惹かれて電話をかけられたお客様に、定期コースについてしっかり説明することで、2回目以降の定期の継続率を上げる方法
いかがでしたか?ファインドスターでは、「新規顧客を獲得したら、それでOK」ではなく、継続して購入くださるお客様をいかに集めるか?に知恵を絞って、汗を流しています。
インフォマーシャルの費用対効果を改善したい方、テレビ通販への参入を考えられている方など、もしご興味を持っていただけたら、お話しできるのを楽しみにしています。