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台湾へ越境ECするなら押えたい、5つのポイントと売れる商品の特徴

越境ECでの海外進出先として名前の上がることの多い台湾。今回は市場規模などの基本的な情報の他、2022年7月から本格導入されている新ルール「EZ WAY (易利委)」など越境ECを始める前に押さえておきたい5つのポイントと売れる商品の特徴をまとめました。

台湾へ越境ECするなら押えたい、5つのポイントと売れる商品の特徴

台湾事業の始め方と新規獲得の方法についてわかりやすくまとめました。
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台湾市場のポテンシャルは?

 
越境ECとは、国境を越えて海外の顧客にECサイトを通じて販売することです。
近年越境ECを行う市場として、台湾を選ぶ企業が増えています。
 
 

台湾のEC市場規模

 
経済産業省の調査報告書によると、台湾のEC市場規模は、2017年の時点で65億ドル(約8,869億円)。2021年は76億ドル(約1兆369億円)にまで成長が見込まれるとされており、この4年間で約17%と高い成長率を示しています
※1ドル=136円で換算
 


同報告書からEC化率を見てみると、2017年の時点で日本の7.9%に対し、台湾は10.4%と高い状況でした。EC化率とは、全ての商取引金額に対してECで取引された金額がどれくらいの割合かを示しています。台湾ではECサイトを経由した購買行動が活発に行われていることが見て取れます。
 
 

台湾の基本情報

 
面積は約36,000㎢と九州よりやや小さく、人口は約2,340万人です。
市場としては小さく見えるかもしれませんが、ECの市場規模は右肩あがりで成長を続けています。
 

台湾の基本情報
面積3万6千平方キロメートル(九州よりやや小さい)
人口約2,340万人(2021年12月)
主要都市台北、台中、高雄
言語中国語、台湾語、客家語等

出典:台湾(Taiwan)基礎データ|外務省
 
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越境ECの方法

 
越境ECの方法は商品を日本国内に置き、ECサイトを通じて売れた商品を「個人輸入」として台湾国内の個人消費者に直送します。実際に販売する方法は大きく分けて2つです。
 
 

自社で越境EC対応サイトを構築する

 
自社で海外販売に対応した越境ECサイトを構築する方法です。
 
メリットとしては商品やブランドのイメージに合わせて自由にデザインができますし、必要と思われる機能を網羅することも可能です。また大きな魅力になるのが顧客のデータを自社で蓄積できる点です。蓄積された顧客データを活用して、リピート購入に繋がる施策なども検討できます。
 
デメリットとしては、商品やブランドを現地の消費者に見つけてもらうための集客プロモーションの準備も合わせて行う必要があります。また現地の状況に対応してアップデートや、サイト開設後の運営工数はかかり続けます。
 
越境EC対応サイトの構築をすべて自社で行うと、自由度は高いものの費用と工数がかかります。最近では越境ECサイトの開設サービスも複数ありますので、機能が自社に合っているかをよく確認した上で利用するのも良い方法でしょう。自社でサイトを構築する場合は、本格的に進出の見通しが立っている場合に検討されると良いでしょう
 
 

越境EC対応型のモールに出品する

 
海外に対応している日本国内、または海外現地のモールサイトへ出品する方法です。
 
モールサイトへ出品するメリットは、必要なインフラが既に整っていることです。たとえば現地での決済や物流、顧客管理システムなどは既にある状態だからです。そのため、初期費用や工数を抑えることができます。また、モールには一定の集客力がありますので、現地の消費者に見つけてもらいやすい環境があります。
 
デメリットとしてはモールへの手数料の支払いが発生します。また自社の商品に似た商品が既にモールで展開されていることもあるため、出品したからと言って必ず売れるとは限りません。購入された顧客データはモール側に蓄積されるのが一般的ですので、自社で顧客管理できないことも合わせて考慮が必要です。
 
モールへの出品は初期費用を抑えて海外へ自社商品を販売できますが、顧客データが自社に蓄積されず継続購入を促すなどのアプローチができません。商品が海外で受け入れられるかを確かめるテストマーケティングには向いていると言えるでしょう。
 

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始める前に押さえておきたい5つのポイント

 
台湾に進出する前に押さえておきたいポイントをご紹介します。
 
 

1.越境EC関税に新ルール EZ WAY (易利委)

 
越境ECでよく使われる民間国際宅配便を使った簡易通関では、取引内容に基づき運送業者が申告し検査を受ける申告納税方式でした。しかし、近年越境EC取引の拡大から少額の取引が増え、商品の受取人が実名を偽ったり、免税額になるように複数回に分けて受け取ったりなどの不正が目立つようになりました。これを受け、民間国際宅配便の通関手続きの厳格化として導入されたのがEZ WAY (易利委)です
 
EZ WAYで何が変わるのか具体的にみてみましょう。

  • 免税は2,000元以下の商品
  • 免税で購入できる回数は、1人当たり半年6回(年12回)まで
  • 未登録の場合、通関手続きを拒否される可能性がある

 
対象は民間国際宅配便で小口荷物むけの簡易通関が適用される場合です。そのため、EMSや国際郵便については現在のところこれまでと変わりありません。
 
台湾の人が民間国際宅配便で商品を受け取る場合、事前に政府が配布しているアプリ(EZ WAY)により実名認証手続きを完了させておく必要があります。
 
台湾消費者のアプリ導入については、2020年より段階的に周知され、さらに丁寧な説明やフォローのもとに進められたことが奏功し2021年時点で約380万人まで浸透して来ています。あわせて日本の越境EC事業者からも受け取り人に対して、EZ WAYでの実名認証を推奨しているケースが増えています。
 


 

2.景品表示法などの法律

 
台湾越境ECで販売する場合、たとえば商品パッケージは日本語表記のままでも可能ですが、台湾の消費者に向けた広告やラベルなどは繁体字中国語にすることとされています。その他にも日本の薬機法に相当する法律や、酒類など年齢制限のある品物にも注意が必要です。
 
必ず自社の商品に関わる法律を確認しましょう。越境ECであっても現地の法律からそれると処罰の対象になる恐れがあります
 
 

3.物流・決済などのインフラ

 
台湾では全土に郵便局が運送網を敷いているほか、ヤマトや佐川、日本通運など日系企業も現地のパートナー企業と組んで、宅配網を整備しています。
 
決済は、クレジット払いと共に多いのがコンビニ支払いです。台湾ではコンビニエンスストアの店舗数が多く、商品の受け取りと同時に支払う消費者が多くいます。
 
 

4.台湾消費者について

 
台湾の消費者は価格と品質にとても敏感です。実際の店舗で商品を確認してWEBで価格を比較して購入するなど日本の消費者に近い消費行動を取ります。日本製品に対しては価格が高めでも質の良い商品として認知されています。
 
情報収集の手段としてはFacebookが多く利用されています。口コミを参考にする消費者も多く、自分でもよく口コミを投稿しています。Facebookのユーザー数は1,800万人と、他のSNS(Instagram:890万人、Twitte:180万人)と比較しても圧倒的に多いです。
出典:Digital 2021 Taiwan(january 2021)v01
 

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5.台湾でよく使われるECモールサイト

 
台湾の消費者によく使われているECモールサイトをご紹介しましょう。


月間訪問者数は、1位の「Shopee」で5,236万人、2位の「PChome」が3,244万人、3位が女性向け商品に強い「momo」で3,117万人となっています。
 
以下に各サイトの特徴をまとめました。

  • Shopee:モバイルに特化したECサイト、若年層から高い支持を得ている
  • PChome:注文から24時間以内配送、台湾最大級の品揃え
  • momo:コスメ・アパレルなど女性向けの商品が充実

 
モールを活用する場合は、自社商品の特徴と照らし合わせて選ぶことをおすすめします。また、モールによっては台湾ドルでの決済が必須というケースもありますので、可能な決済方法については予め確認してみましょう。
 
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台湾で売れている商品の特徴

 
台湾市場で売れている商品の特徴を、健康食品・サプリメントと化粧品に分けてご紹介します。
 
 

売れている健康食品・サプリメントの特徴

 
現在の台湾では、日本以上に深刻に少子高齢化が進んでいます。健康寿命を長く楽しみたい中高年層を中心に、サプリメントを含む健康食品に対する需要が高まっています。さらに健康志向の高い若年層も増えてきたことから健康食品の市場規模は年々増加しています。
 
 

健康食品の市場規模

 
2019食品產業年鑑 食品所ITIS團隊統計(截至2019/06)によると、2019年の一年間の台湾における健康食品全体の売上高は1,458億元(約5,832億円)にも上ります。その割合は機能性食品が44%の648億元(約2,592億円)、サプリメントにあたる栄養補助食品が56%の810億元(約3,240億円)となっています。徐々にサプリメントの割合が伸びていることがグラフからも見て取れます。
※1台湾元=約4円で換算


 

消費者にニーズのある成分

 
サプリメント(栄養補助食品)の成分ごとに集計した売上高(2019年時点)をご紹介します。
 
自己免疫力の強化が期待される乳酸菌の売上が約43億元(約172億円)で1位となっています。2位のベニクスノキタケも様々な効用があるとされ、乳酸菌と同じく自己免疫の強化への期待が大きいものと思われます。その他は、美容に関わる成分と健康寿命に関わる関節成分がなどが上位となっています。
 

台湾のサプリメント(栄養補助食品)市場規模
成分年間売上
乳酸菌約43億元(約172億円)
ベニクスノキタケ約30億元(約120億円)
酵素約30億元(約120億円)
コラーゲン約30億元(約120億円)
マルチビタミン約20億元(約80億円)
グルコサミン約20億元(約80億円)

出典:《2019食品產業年鑑》食品所ITIS團隊統計(截至2019/06)
 
台湾の消費者にニーズがあり差別化できる商品では、ターゲットを絞った効率的なプロモーションもしやすくなるでしょう。
 

化粧品・健康食品ビジネスを台湾で始めるなら、知らないと困る ―法律・税制・インフラ―
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売れている化粧品の特徴

 
台湾の美容・化粧品市場規模は年間約1,200億元、日本円で約4,800億円ほどと言われさらに拡大傾向にあります。どのような成分に消費者のニーズが集まっているのかをみてみましょう。
 
市場調査会社が台湾の22歳以上の女性に、化粧品やスキンケアを購入する際の意識調査をを行いました。商品を購入する動機(何を重要視しているか)がわかります。1位は「美白・アンチエイジング効果」(32.7%)でした。次いで2位が「仕事で必要」(30.1%)、3位は「自信の向上」(27.4%)となり、「トレンドだから」も9.8%という結果でした。


夏の台湾では日本以上に高温多湿でメイクも崩れやすい為、仕事やデートの時以外はメイクをしないという人も多くいます。そのため、台湾の女性は素肌をより美しく保つために、美白とともに潤いやハリを保てるアンチエイジング成分が含まれているかを重要視していると思われます。
 
同じく化粧品の購入に際して、どこからの情報を参考にしているかというアンケート(複数回答)では、1位の「友人・親戚」(52.5%)に続き、「インターネットメディア」(48.7%)が2位となっています。以降、「店頭広告」(45.6%)、「テレビCM」(38.2%)、「新聞・雑誌」(33.1%)、「店員のおすすめ」(26.7%)と続きます。

台湾では口コミが大きな影響をもたらします。また、日本と同様にYoutuberやインフルエンサーのメイク動画などを見てメイクの参考にしています。そのため化粧品・スキンケアの商材ではコスメの機能性や使い方をアプローチできるYoutuberやインフルエンサーもプロモーションに活用できるとよいでしょう。
 
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台湾への進出方法は越境ECだけではない

 
これまで越境ECは初期費用を抑えて海外展開できる方法でした。しかし、越境ECだけではビジネスで拡大することは難しいのも現状です。本格的に台湾へ事業展開するなら、現地法人の設立やワンストップの販売代理店も視野にいれ検討されることをおすすめします。
 

越境ECと現地法人設立、通販企業にはどちらがオススメ?台湾の事例を比較
関連記事 越境ECと現地法人設立、通販企業にはどちらがオススメ?台湾の事例を比較 日本の通販企業のアジア進出が、相次いでいます。 越境ECを活用してテスト販売を始める企業もあります。 また、法人設立は難しいが、本格的に参入したいという企業は、現地の販売代理店を見つけ、販売代理を行うケースも増えています。 どの方法がオススメか?を、「進出までのコスト」「進出までの工数・スピード」「事業開始後の収益性」などの観点から、台湾の事例をもとにみていきましょう。

 
弊社スタートアジアでは、台湾をはじめとしたアジア各国への進出方法から具体的なマーケティング戦略立案までをサポートいたします。物販マーケティングに精通した100名以上の社員がアジア各国への進出方法から具体的なマーケティング戦略立案までをサポートいたします。
 
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