消費者の購買決定までの心理的なプロセスを説明するモデルのひとつであるAIDMA(アイドマ)の法則を図でわかりやすく解説します。AISAS(アイサス)との違いや、ビジネスへの具体的な活用を紹介します。
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AIDMA(アイドマ)とは?
「AIDMA」はアメリカの販売・広告の実務書の作者であるサミュエル・ローランド・ホールが提唱した消費者の購買に際しての心理的なプロセスのことです。日本では単に「AIDMA」と呼ばれることもあれば、「AIDMAの法則」などと呼ばれることもあります。
AIDMAは、消費者が商品と出会い、購入するまでの行動を大きく「認知段階」「感情段階」「行動段階」という3つに分け、さらに「感情段階」については細かく3つに分けた合計5つで構成されています。
AIDMAは5つの段階それぞれの頭文字を取って示した言葉です。
A | attention(注意) | 消費者がその商品に注意を示す段階 |
I | interest(興味) | 消費者がその商品に対して興味を抱く段階 |
D | desire(欲求) | 消費者がその商品に対して「欲しい」「使ってみたい」と思う段階 |
M | memory(記憶) | 消費者がその商品を記憶し、次の機会に思い出す段階 |
A | action(行動) | 消費者が実際にその商品を購入する段階 |
AIDMAって古い?後から提唱されたAISAS(アイサス)とは?
そのほかの行動モデルとして代表的なものとして「AISAS(アイサス)」が挙げられます。これはAIDMAをインターネットが普及した現代の消費に応用したもので、電通によって提唱されました。
AISASもAIDMAと同様に、消費者が購買に至るステップを5つに分け、その頭文字によって表されたものです。
- A:attention(注意)
- I:interest(興味)
- S:seach(検索)
- A:action(行動)
- S:shere(共有)
「注意」「興味」「行動」はAIDMAと変わりません。AISASの行動モデルの特徴は「seach(検索)」と「shere(共有)」です。
「seach(検索)」は消費者自身が検索を行うことです。
AIDMAの行動モデルが提唱された当時は、情報を得る手段が乏しかったため、比較検討される機会が少なく、企業が提供する情報によって消費者の行動をコントロールすることができました。
対して現代では、インターネットの普及により情報を得やすくなったことで、比較検討の機会が多くなりました。
SNSや検索エンジンなどで商品を検索しても情報がない場合、そもそも比較検討の土台にも上がらなくなってしまいます。
つまり、ネット上で自社商品の情報が載っている状態にすることが今では非常に重要です。
また、次の「shere(共有)」は購買後の行動です。
これまでは購買に至ってもその後の感想を誰かに共有する機会は少なく、消費者の声をマーケティングに活かすシーンは限られていました。
しかしインターネットの拡大により、その商品を購入した口コミがネット上で公開、拡散されるように。
そして、その口コミを参考に次の購買行動の一連の流れが発生することから、shereが重要視されるようになりました。
「AIDMAはもう古い」と言われることもありますが、AISASもAIDMAの法則をインターネットが普及した現代にあわせてアレンジしたものです。
AIDMAは使用するシーンによっては今でも活用できるフレームと言えます。
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【具体例】AIDMAを活用したマーケティング施策
AIDMAは消費者が一つの商品を購入するまでのプロセスを分けることで、そのプロセスに応じたマーケティング施策を考えることができます。
具体例を見ていきましょう。
Atention(注意)段階の施策
最初の「Atention(注意)」では、消費者はその商品の存在を認知していません。
商品を購入してもらうためには、まず商品の存在を認知してもらうことが必要です。
ブランドや商品に対する認知が低ければ、その他の施策を効果的に行うことは難しいでしょう。
この段階では以下のような施策が有名です。
施策の具体例:露出・認知促進の活動
- テレビCM
- ブランド認知をメインとしたWeb広告の出稿
- イベントへの出展
「感情段階1」のInterest(興味)の施策
次に「感情段階1」の「Interest(興味)」では消費者は「知ってはいるが興味・関心はない、内容がわからない」という状態です。
ここでは、消費者が製品に対して興味を持つことや、商品に対する理解を促進することです。
それがどれだけ消費者にとって便利なものか、購入することでどのようなメリットがあるのかという理解を深めていきます。
施策の具体例:製品への理解を促進
- 商品の使い方を説明した動画を配信、または動画広告の出稿
- 商品の誕生秘話を記載したブログ記事の作成
「感情段階2」の「Desire(欲求)」の施策
この段階では、消費者は製品に対して認知していることはもちろん、それがどのような商品なのか、購入することでどのようなメリットがあるのかといったことも理解しています。
ただし、まだ「欲しい」とは思っていません。
たとえばテレビCMで見かけた最新の家電に対しては、利用シーンや使い方は分かっていても、どれだけ生活が便利になるのか具体的なイメージがついていません。
ここで行われる施策として挙げられるのは、消費者に対するベネフィットの喚起です。
購入した場合の具体的なイメージや、実際に使用している未来を消費者自身が描けるかということが、この段階で行われる施策の中心となります。
具体的には以下のような施策があります。
施策の具体例:ベネフィットの喚起
- 試供品提供
- ポップアップショップでの実演
- 無料トライアル
「感情段階3」の「Memory(記憶)」または「Motive(動機)」の施策
この段階では消費者はすでに商品を「欲しい」と思っている状態です。
しかし、「欲しい」と思ったとき、すぐに商品を購入しない人もいるでしょう。
たとえば、クレジットカードの上限がきているなど予算の問題や、「欲しい」と思っていても、「まだ他によい商品があるのではないか」と考えて購入をためらうこともあります。
そのため、「記憶の呼び起こし」や「強い動機付け」を行うことが大切です。
何かしらの理由から商品をその場で購入できなかった場合、消費者は買おうとしていたことを忘れてしまうことがあります。
定期的な発信を行うことで「そういえばあれを買おうと思っていた」と欲しいと思っていた記憶を呼び起こし、購入につなげることができます。
また、他の商品を調べ、比較検討を行っている場合には、「他ではなく、この商品を購入するべき」という説得力のある説明を行うことで、商品を購入する動機付けを行います。
施策の具体例:定期的な発信
- LINE公式アカウントでの定期接触
- ダイレクトメール(DM)
- リターゲティング広告
「行動段階」の「Action(行動)」の施策
Actionでは、消費者はすでに商品を購入しようと思っています。
しかしここでも、消費者は商品購入から離れてしまうということがあります。
たとえば商品を購入するまでのフローや決済方法・送料などがわかりにくいと混乱を招き購入意欲を損なわせてしまいます。
また、「在庫切れ」などにより、販売機会を逃してしまうこともあります。
なるべく消費者を混乱させず、スムーズに購入ができるよう以下のような施策を行います。
施策の具体例:スムーズな購入体験
- 決済手段の拡充
- 購入フォームの最適化
- コールセンターへの誘導
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AIDMAをビジネスへ応用するメリット
AIDMAは消費者の購買行動を説明した心理的なモデルですが、これを具体的にビジネスに応用した場合は2つのメリットがあります。
1)段階的な分析が可能になる
AIDMAの概念を理解していれば、AIDMAの中のどの施策に問題があるのか、またより売上を上げるために必要な施策は何か、などを可視化することができます。
たとえば、認知段階において商品認知が足りていないのか、それとも行動段階において購入フォームでの離脱が他社に比べて多いのか、など原因を突き止めやすくなります。
その結果、後述するより費用対効果の高い施策を打つことが可能になります。
2)費用対効果を高められる
AIDMAの概念を導入することで、売り上げを上げるためにボトルネックになっている箇所はどこか、どんな打ち手を考えれば良いのか、と仮説を立てやすくなります。
たとえば、改善するべきなのはブランドを認知させる広告なのか、消費者の購買意欲を刺激する広告なのか、サイト流入から購買までの導線なのかといったようにです。
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AIDMAを活用してサービスを最適化しよう
AIDMAをはじめとする消費者が購買に至る段階を示した行動モデルは、消費者の心理を理解し、どのような施策を行うべきかを考える上で考えを整理しやすいフレームワークです。
段階的な分析を行うことは、現時点での問題点をあぶりだすことにとどまらず、将来的にどのような販売戦略を行うかということを考えるためにも有益です。
現在では、販売形式の多様化に伴い、様々な行動モデルが提唱されています。
各モデルは販売の形式や、販売する製品やサービスの種類によって異なります。
また、複数のモデルを同時に当てはめることも可能です。
ただし、これらのモデルだけに気を取られると、発想が固定化し、変化についていけないという弊害も生まれるため、現状を踏まえた上で自社の製品・サービスに最適なものを選ぶことが必要です。
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