ネット広告のCPAが高騰するなかで、ランディングページ(LP)のA/Bテストによる改善を試みている企業は多いと思います。
コンバージョン率を上げるために実は効果が大きい施策が、カート内の入力フォームの改善。
その具体的な方法と効果を解説します。
フォームのA/Bテスト、ボタンの文言を差し替えただけで・・!
健康食品企業でアクセス解析を行ったところ、嬉しくない事実を突きつけられました。
せっかくカートまで遷移したユーザーのうち、約75%が離脱。
流入元の媒体別にみると、既にニーズが顕在化しているリスティング広告では約65%にとどまったものの、“衝動買い”の多い純広告からは、離脱率が約85%にまで上っていました。
この数字、広告を積極的に展開する企業では決して特殊なことではありません。
商材や単価にもよりますが、カートでの離脱率は80%前後になることが実は多いのです。
離脱率が高いことがわかっていながら、フォームの改善には二の足を踏んでしまう企業が多い事も事実です。
顧客管理システムと連動することが多いため、項目数の変更などには工数がかかること、またフォームはコンバージョン(CV)に直結するため、仮に悪化した場合のリスクが大きいことなどが、その理由です。
ところがテストを始めてみると、システム面の改修を必要としないコピーやデザインの変更だけで、効果が出るケースも少なくありません。
たとえば、次の画面に進むためのボタンの文言変更。
それだけで、次のページへの遷移率が約2%アップしました。
離脱率を下げるため、データをもとに見えてきた定石
右上の図のケースで離脱率を3 % 下げることができた場合、360万円もの広告費の節減効果が生まれます。
月間数百万円規模のコスト改善も、月間1000万円前後の広告費を投入している企業では珍しくありません。
そのために、私たちは地道な改善を1つずつ行っています。
EFO(エントリーフォーム最適化)ツールを利用すると入力項目ごとの離脱率が分かりますが、たとえばメールアドレスの入力欄が先頭にあったために、アドレス入力欄での離脱率が異常に高かった例もありました。
その場合は、入力しやすい「お名前」の入力欄を先頭に移動して、アドレス入力欄をページ下部に移動することで解決できます。
同様な工夫として、
「必須項目の表示を目立つようにする」や
「記入例は、入力欄の右ではなく、中に表示する」
「『ご利用規約へ同意する』の文字フォントを大きくする」
「メルマガ登録のメリットを記載する」
などの、過去のデータをもとに見えてきた定石を、1つずつ当てはめていくのです。
このように細かい積み重ねを実装して、離脱率を約4%も改善できた事例もありました。
スマホでの入力を促進する、新たなテクノロジーも
スマホでは、入力項目が多いと面倒な感覚が先立ってしまい、離脱率が高くなる傾向があります。
そのため、ファーストビューでは入力箇所の一部を隠しておき、特定の項目(例:郵便番号)を入力したタイミングで、次の入力項目(例:番地)が新たに表示される、などの工夫も試みられています。
フォームの改善は地道な取り組みが多いものの、購入直前のお客様を獲り逃している状態を改善できれば、CPA改善に大きなインパクトを与えます。
これからも、お客様にとって使いやすい、また通販企業には売上アップを実現できる、そんな改善に一つずつ取り組んでいきたいです。