チャットボット型の入力フォームが、D2C企業ではこの数年間で普及しましたが、フォームだけでなく、LPもチャットのUIにすることで、CVRが改善する事例が出てきました。LPの「チャット化」とはどういうことか?、そしてCVRアップのポイントなどを解説します。
チャットボットの効果的な活用方法6選をまとめました。
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チャットボット型のLPとは?
「LPをチャットボットに」といっても、イメージしにくい方もいらっしゃるかもしれません。
たとえば、記事広告やアンケートLPなどの広告遷移前の “クッションページ” から、「公式サイトで商品を詳しくみる」といったボタンを押すと、静的なランディングページに遷移するのではなく、チャットが起動します。
最初に、LPのファーストビューにあたる「商品の画像や価格、キャンペーン情報」などを伝えます。次に「どんな感想をお持ちですか?」「もう少し確認しておきたい点はありますか?」といった質問を表示し、その質問に応じてユーザーの疑問や不安解消につながるような回答を提示します。そして、その回答に沿ってシナリオが分岐していくという設計です。
すぐに購入したいユーザーは「今すぐ試したい」と答えると、チャット画面からページ遷移なしで購入申込みに移ることができます。
逆に、商品をもっと詳しく知りたいユーザーは、気になることや購入に際して確かめたいことを、自分の知りたい順番でチェック可能です。たとえば「口コミ」を確認したいと答えると、「口コミ」がテキストと画像で表示され、続けて「価格」と答えるとお試し割引や定期コースの説明を受けることができます。
では、なぜこのようなLPを作ったのか。
通常の入力フォームをチャット型に変更することで、CVRが大きくアップしているのは、過去にもお伝えしたとおりです。(参考)
また、別のテストでLP遷移前のアンケートにもチャットを取り入れたところ、LP遷移率や最終的なCVRもアップしました。「それならLPもチャット化したらCVRがアップするのでは?」という社内でのアイデアから開発しました。
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フォームとLPを“チャット化”して、CVRが約1.5倍に
チャットボット型のLPはまだ数社でテストを進めている段階ですが、導入した企業ではすでにCVRが大きくアップしています。
ある企業では今まで、アンケートLPに入り通常のLPへ遷移、入力フォームから購入する、という一般的な流れでした。そこでまず最初に、入力フォームをチャット型にしたところ、CVRが1.3倍にアップしました。
さらに、アンケートLPの遷移先を通常のLPではなく、前章で説明したチャットタイプに変更しました。すると、LP遷移後のCVRが20%から25%にアップ。それぞれ掛け合わせて、最終的にCVRが1.5倍と大幅にアップしました。
LP訪問数 | 遷移率 | フォーム | フォームCVR | CV数 | CVR | |
---|---|---|---|---|---|---|
Before | 10,000 | 20% | 2,000 | 20% | 400 | 4% |
After | 10,000 | 24% | 2,400 | 25% | 600 | 6% |
チャットボット設計のポイント1:購入意欲が高いユーザーの導線は簡潔にする
テストをする中で意外だったのが、最初の5~7程度の質問を提示したときに「今すぐ購入したい」を押したユーザーの比率が46.5%程度と高かったことです。
販売側には『購入に踏み切ってもらうためには、LPの情報をしっかり読み込んでもらうことが大事』という考えが強くあります。しかし、お試し500円といったオファーなら、読みこまなくても記事やアンケートを見て、迷いなく「買いたい」と決断できるユーザーも多いと考えられます。
そういったニーズを持っている場合、導線や情報量が増えることによって離脱するユーザーも少なくありません。そこでLP遷移後は、情報量を意図的に減らし、素早く購入できるようにします。
ニーズの顕在度合いによって、導線を変更できるようなシナリオにするのが、1つ目のポイントです。
チャットボット設計のポイント2:ニーズと情報量を担保したシナリオ作成をする
逆に「詳しく知りたい」ユーザーには情報量が少ないのでは?、と感じるかもしれませんが、全ての選択肢を押していくと、実はLPで出ているものと同じ情報量を担保することができます。訪れた人の知りたいことやニーズに沿って双方向のコミュニケーションができるように、質問と回答をつくるのが2つ目のポイントです。
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店舗のように1to1の自然な接客を、チャットで実現
ネット通販が普及してから約20年になりますが、これまでLPは変化がなかった領域です。メインのデバイスがPCからスマホへ変わったり、主流の広告がバナー広告からSNS広告や動画広告へといった変化はあっても、LPは縦長タイプが主流のままです。顧客とのコミュニケーションも、売る側が伝えたいことを、一律かつ大量に提供する一方通行なものでした。
オンライン上で1to1の販売が、技術的にも可能に
「1to1でユーザーの意向を聞きながら、商品をおすすめすることで購入率は上がるはず」という議論は、ダイレクトマーケティング業界では盛んにされてきています。
ただ、紙媒体はもちろんWEBサイトであっても実現しようとすると「シナリオの出し分け」といった1to1にするための工数が大幅にかかるため、実装範囲や期待できる効果は限定的なものでした。
しかし、チャットボットの登場によってシナリオの出し分けが容易にできるように。また、LINEの普及も相まってか、チャットの操作に不慣れだった中高年含むあらゆる世代がチャットのUIに慣れ、実装した場合の効果が見込めるようになりました。
「チャットコマース」が普及してきているという世界的な流れも
店舗では、ECのような一方通行ではなく、「どんな使い心地か」や「どういった機能があるか」など顧客の関心に寄り添った接客が基本です。顧客も自分が気になることを確認できたら、レジに移動します。そのような「買い物での当たり前」をオンラインでも実現していければ、CVRをまだまだ高められる、と考えています。
今、チャットボットの登場で、そのような理想が現実になろうとしている段階です。
「チャットコマース」「会話型コマース」(Conversational Commerce)とも呼ばれ、海外ではさらに普及が進んでいます。イノベーションのチャンスが大きいこの領域を掘り下げ、D2Cを中心にテストを繰り返すことで、今回のようにCVR1.5倍といったような大きな成果を挙げられる機会が十分にある、と手応えをつかんでいます。
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