無料サンプルを請求したところ、70日間で4通ものDMが届きました。
そんな健康食品会社のCRM事例をレポートしたところ、通販会社の経営者・マーケティング担当者が集まる勉強会で、面白い事例を教えてもらいました。
サンプル請求者にある葉書を郵送すると、それだけで引き上げ率が20%もアップしたというのです。
300社以上の支援実績からロイヤル顧客を育てる方法をわかりやすくまとめました。
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お礼状を手書き風に変えると…
前編の健康食品の無料サンプルを請求したら、70日間で○回DMが届きました」でお話しした、「お礼状」。
シニア向けに健康食品を販売されているある会社様でも、サンプル申込者に対して、お礼状を送っています。
この手紙のクリエイティブを工夫することで、引き上げ率が約20%向上したそうです。
見せてくれたのは、手書き風の文字に挿絵が入った、絵手紙のようなテイストの葉書。
ほのぼのした挿絵のイラストも、スタッフの方がご自分で描かれたそうです。
このような細かい気遣いがお客様の心に響いたのか、電話でお話ししたお客様から、感謝の声をたくさんいただいたとか。
なかには、感動の余り、手紙を持ってアポなしで会社までお礼に来てくれたおばあちゃんもいたほどで、その対応が大変だったと、笑いながらおっしゃってました。
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プレゼントの効果を検証する実験
この話を伺った後に私が思い出したのが、ある社会心理学の本に載っていた話。
プレゼントが相手の心を動かすかどうかには、ある2つの要素が重要になるというのです。
(以後、「影響力の武器 実践編」N.J.ゴールドスタイン他という本から一部引用させていただきます。)
これを検証するために行われたのは、ウエイターの受け取るチップの金額に関する実験。
レストランで、ウエイターが食事の最後にちょっとしたお菓子をお客様に出すと、チップの額にどのような影響があるかを調べました。
初めに、伝票を渡す際にウエイターがお客様1人に2つずつキャンディーを渡しました。
すると、キャンディーを全くもらわなかった人たちと比べて、この場合、チップの平均額は14.1%多くなっていました。
これは、「返報性の原理」から説明できます。
何かをもらうと、その分だけ返さなくてはならないと感じてしまうのが、私たちの心情。
そんな人間の心理を上手に使って、トライアル商品を無料で(あるいは安価で)進呈したお客様を、本品購入に導いている会社様もいらっしゃると思います。
次に、ウエイターがキャンディーを渡すときに、ある動作を入れると、それだけで、チップの金額が23%も多くなりました。
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チップの金額に影響を与えた、2つの要素
続いての実験では、ウエイターはまずキャンディーを1人1個ずつテーブルで渡しました。
初めの条件と違うのは、いったん客のテーブルから離れる素振りを見せてから途中でわざわざ戻ってきて、ポケットから2個目のキャンディーを取り出して渡したのです。
これだけでチップの金額が増えたのはなぜでしょう?
1つ目のポイントは、「意外性」です。
後者の条件では、ウエイターがキャンディーを1個ずつ置いて立ち去りかけたときには、彼とのやり取りはそれで済んだとお客様は思ったに違いありません。
だからこそ、2個目のキャンディーを渡すためにウェイターが戻ってきたことは、予想外だったのです。
さらに、1個目のキャンディーは型どおりのサービスと受け取られがちでも、2個目については、「他のお客様にはあげてないけど、あなたには特別に」というニュアンスの好意が、自然に表現されています。
そのため、2個目のキャンディーには個人的な親しみが込められているように映ったのでしょう。
つまり、「どれほど予想外であるか?」「どれほど個人的な親しみが感じられるか?」の2つがチップの額に影響を与えたと分析できます。
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「DMっぽくない」送付物の効果
冒頭でご紹介したお礼状が効果があったのは、2つの要素を併せもっているからかもしれません。
1つ目の「意外性」は、サンプルを請求しただけで、商品案内でないお礼の手紙が届いたこと。
2つ目は、手書きの文字や手作りのイラストなどで、(その他にも細かい工夫をいろいろとされたようです)個人的な親しみが感じられるように心を込めて作られていること。
お客様の立場で、一度トライアル商品を購入してみると、通販会社からはダイレクトメールなどさまざまな送付物が届きます。
そんなDMの山を見て、私も「またか」と思ってしまったことも。
そんななか、「DMっぽくない」「売り込みっぽくない」送付物が届いたことにより、逆に購入につながったのかもしれません。
お客様と直接に会えないからこそ、会報誌や手紙などを活用して、お客様の心をつかみリピート購入してもらう、通販のノウハウ。
とても奥が深いですね。
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