今Instagram(インスタグラム)で注目されているのは、検索エンジンとしての使い方。「『#美容液』とハッシュタグ検索して欲しい商品を探す」「広告を見たらInstagramで商品名の口コミをチェックする」など、買い物をする時にアプリ内で検索するユーザーが増えてきています。単品リピート通販企業は、この新たなユーザー行動にどう向き合うべきか?CVにつなげるにはどうすればよいか?を解説します。

「インスタで検索」が、買い物で“当たり前”になった!?
「検索する」というと一般的なのは、GoogleやYahooなどの検索エンジン。
ところが、10~20代など若い世代をはじめとして、InstagramやTwitterなどSNSで検索する行動が広まってきています。

出典元:情報収集意識調査2017
理由は、ユーザーの知りたい情報が集約されているから。
たとえば観光スポットやレストランなどを探すとき、InstagramやTwitterなら写真や動画があることによって実際の場所をイメージしやすいと思います。
さらに、ユーザーのリアルな感想をチェックできたり、「インスタ映え」しやすいスポットを探すこともできます。
このようなユーザー行動の変化は、商品の購入プロセスにも影響してくるようになりました。
広告を見て「欲しい!」と思うと、商品名でハッシュタグ検索。
口コミや使用シーン、あるいは「実際に使用してる人と自分のタイプが合っているか?」などをチェックしてから、購入を決定する流れが広まりつつあります。
商品購入にハッシュタグ検索が大きく影響

Instaramの公表では、ユーザーの5人に1人がInstagramで毎日検索をしており、その中で約4割は検索をきっかけにアクションをしているとのこと。
特に日本人は「周りの行動を気にする」度合いが高いためか、ハッシュタグ検索の使用頻度が高く、他国と比較しても3倍ものユーザーが使用しています。
ハッシュタグ検索を、購入へ転換するために大事なのは?
ハッシュタグ検索したユーザーに自社の商品を知ってもらい、「買いたい」という気持ちを持ってECサイトに遷移してもらうためには、どのようにすればよいのでしょうか。
ポイント1:美容や健康関連キーワードで、上位表示を狙う!
Instagramにおける上位表示は、検索エンジンでの上位表示と同じくらい重要。
対策をすることで、露出回数が増えて興味を持って貰うことができます。
上位表示のための考え方は、Googleなどでの「SEO(検索エンジン最適化)」と大枠は同じです。
検索順位を決めるアルゴリズムは公開されていませんが、「フォロワー数」が多いアカウントによる投稿や「いいね!」、「保存数」などエンゲージメントが高い投稿が上位表示しやすい、と言われています。
今のところ、取ることができる戦術は大きく分けて2つ。
1つ目は、企業アカウントによる投稿を行うことです。
しかし、上位表示されるためにはフォロワー数が多いことやエンゲージメント率が高いことなど、いくつかの条件があります。
商品特性によっては、アカウント運用だけではこれらの条件をカバーできない場合もあります。
さらに、個人と比べると「いいね!」も付きづらい傾向にあり、この方法をとれる企業アカウントは一部に限られるでしょう。
そこで有効なのは、2つ目。
別の記事でも紹介したインフルエンサーによる投稿です。
フォロワー数が多く、またユーザーからの「いいね!」や「保存」などポジティブなリアクションも多い質の高いインフルエンサーを起用することで、上位表示を狙いやすいといえます。
また、上位表示を狙うキーワードの選定では「美容液」や「サプリ」などはすでに激戦区のため、オススメしません。
そこで今から始めるなら、たとえば「セラミド」や「鉄分」といった成分名や「つや肌」や「健康オタク」などの状態を表すようなキーワードがオススメです。
自社商品に合ったキーワードを最初に選定し、そのテーマに沿ったインフルエンサー投稿や公式アカウントの運用を続けていくことが、上位表示への第一歩です。
Instagramの上位表示は多くの企業が取り組みはじめており、早めに対策したいところです。
ポイント2:商品名やブランド名で検索された時にそなえる
最も避けたいのは、商品名やブランド名などいわゆる「指名キーワード」で検索された時に、投稿が表示されないこと。
投稿が表示されない、または表示されても投稿件数が少ないとなると、ユーザーから「あんまり人気の商品じゃないのかな…?」「参考になる情報がないし、買うのが億劫…」と思われてしまい、購入意欲を下げてしまいます。
指名キーワードでの検索で常に投稿が表示されるように、自社アカウントでの投稿も合わせて最低で500以上は表示されるようにしましょう。
ハッシュタグ検索から購入までのプロセス
また、投稿数と同じくらい大事なのが「投稿内容」。
Instagramユーザーは、広告っぽさを嫌う傾向にあります。
インフルエンサー活用はもちろん有効ですが、インフルエンサーの投稿ばかりになってしまうと「宣伝っぽい」「広告臭がする」と感じられ、公式アカウントやサイトへ遷移がされなくなってしまいます。
そのため、一般ユーザーのものとバランス良く表示されるのがベストです。
しかし、一般ユーザーが自然に投稿してくれるのを待つのは時間がかかるため、投稿を促すキャンペーンを行うことも有効です。
それでも投稿数が伸びない場合は、モニター会社のサービスを活用するのも一手です。
さらに、人気のタレントやモデルなど芸能人が使っていると、「あの人が使っているなら、私も!」とより購入意欲を喚起できます。
一般ユーザー(モニター)・インフルエンサー・タレント、さらに企業アカウントと4者がバランスよく表示されるのが理想です。
ポイント3:公式アカウントやLPでCVに結びつける
ハッシュタグによる投稿を見たユーザーが次に訪れるのが、公式アカウントです。
LPへの遷移率を上げるためにアカウントプロフィールや投稿する写真・動画など、ユーザーの視点を意識して整備しておきたいところ。
ここで言うユーザー視点は、アカウントの世界観や投稿内容に統一感をもたせることでクリアできます。
Instagramは、自分の好きなことを楽しむアプリ。
まずは、ユーザーにアカウントの世界観や投稿内容を好きになってもらい、見てもらえる状況を作ります。
逆に好きになって貰えなければ、離脱の要因になってしまいます。
公式アカウントが整っていない場合のリスク
さらにCV(コンバージョン)の最大化、という意味ではプロフィールに表示するURLが重要です。
ブランドの公式サイトを載せているアカウントもありますが、単品リピート通販に携わる方ならTopページへの遷移はCVが出にくいことはご存知の通り。
そこでオススメなのが、商品ページやキャンペーンページなどをプロフィールに載せることです。
興味や購入意欲が高まっている状態のまま、買えるページに遷移することでCVへつなげやすくします。
また遷移先のページでは、Instagramユーザーが投稿した商品画像やインフルエンサーによる推薦コメントを載せるなど、Instagramの世界観とのつながりを持たせるとよいでしょう。
アカウントと遷移先の世界観が全く違うと離脱の要因につながります。
単品リピート通販企業が、無理なくインスタと付き合うには?
これまで2回にわたって、「インフルエンサーのPR投稿」と「ハッシュタグ検索」をテーマにInstagram投稿を解説してきましたが、いずれにせよ重要なのが企業アカウントの運用。
企業アカウントの運用にあたって、そもそも商品やブランドのビジュアル性が低いと、Instagramの世界観とマッチせず、いいね!などエンゲージメントが高まりにくい傾向もありました。
しかしここ最近そのような事情が変化しつつあります。
「保存数」が上位表示に影響
単品リピート通販の商品では、「分かりやすさ」や「売れている感」を重視するため、「カワイイ」「オシャレ」路線に寄せられない場合もあります。
実際にいいね!数が増えず、「Instagramの活用をあきらめた方がよいのか?」という相談をうかがうことも。
しかしここ最近、「カワイイ」「オシャレ」路線に寄せた投稿から、トレンドの変化が起こっています。
背景にあるのは、アルゴリズムの変化。
投稿への「いいね!」だけでなく、「保存する」を選んだユーザーが多いほど、ハッシュタグ検索で上位表示されやすくなったと言われているためです。
このことから、ユーザーの共感を集めるような「カワイイ」「オシャレ」な投稿だけでなく、保存数が獲得しやすい「後から読み返したい」と思ってもらえる実用的な投稿が評価されるようになったといえます。
最近はこういった背景から、画像にびっちり文字を入れて美容や健康などのお役立ち情報を発信するケースが増えている傾向にあります。
文字数の多い投稿の例
「インスタ映え疲れ」が味方に
もう1つの背景は、10~20代女子を中心に「インスタ映え疲れ」がささやかれ始めていることです。
旅行や買い物などのキレイな写真を投稿するには、アングルや光の加減など気を使うことも多く、「疲れた」と感じるユーザーが増え始めているようで、日常的な思いやつぶやきではストーリーズやラフな画像に「文字」を入れて投稿するケースが増えてきています。
このような状況を受け、企業アカウントも一般ユーザーの投稿にならって写真に文字を添える画像を投稿することも。
画像だけでは伝わりにくい情報をテキストで補う「お役立ち情報」路線は、「インスタ映え疲れ」の影響もあり世界観にとけこませることができます。
たとえば、
・普段から会報誌などで情報発信をしている
・商材が多くあり、商品情報が多い
などの企業には「保存」が獲得できる向いている投稿方法といえます。
したがって、ブランドによっては無理に「インスタ映え」を狙わず、等身大+αのカワイイ度・オシャレ度で、「お役立ちアカウント」のポジションを狙うのも一つの手といえるでしょう。
「商品検索」という意味でも、Instagramが多数のユーザーに活用されつつある今、企業が全くInstagramに取り組まないのは、「せっかく商品名で検索しても、何も出てこない」といった事態を招いてしまいます。
Instagramを日常的に使用するユーザーにとっては、商品やブランドが「存在しない」ことになってしまう恐れも。
ぜひ、自社に合ったやり方で、Instagramのアカウント投稿やハッシュタグからの導線整備などに取り組んでみてください。