Instagramが消費者の購買行動に大きな影響を及ぼしていること、Instagramを活用することによって売上アップを実現している通販企業が増えていることは、前回の記事でお伝えしたとおりです。
なかでも、単品リピート通販の業態にとって効果が出やすいのは、「インスタでも話題」「芸能人も使用」「専門家が推薦」「マスコミにも取り上げられた」といった表現を使って、第三者による推奨を広告で活用すること。
この手法で効果が出た具体的な事例と、この手法を採用する企業が気をつけるべきポイントをお伝えします。
「インスタで話題」「芸能人も使用」と紹介してCPAが大きく改善
PRの方法として有効なのが、芸能人や専門家、著名人、インフルエンサーが
特定の商品を「愛用している」「推薦している」と紹介したコンテンツ。
LPや広告バナー、記事コンテンツなどさまざまな活用例があります。
これらがどのような局面で活用され、どのような効果があるのかを具体的な事例とともに紹介します。
LPのコンバージョン率を高める「後押し」に
LPのコンバージョン率(CVR)を高めるために大事なのは、購買までの最後の後押し。
特に芸能人やインフルエンサーなどのターゲット顧客にとって憧れの存在が、
その商品を使っている事実をInstagramなどのソーシャルメディアで投稿し、
可視化できると効果的です。
ある女性向けサプリメント企業では、
新規顧客の獲得に向けた取り組みでWEB広告のCPA高騰に悩まされていました。
また、記事コンテンツが疲弊してきて、広告予算を消化できないという課題も抱えていました。
そのような状況のとき、ターゲット顧客と重なる20~30代女性のフォロワーを多く抱える、
モデルやタレントのInstagramアカウントで商品をPRしてもらえることに。
さらに、2次利用として、
モデルたちの実際のInstagram投稿のキャプチャをLPや記事コンテンツに
「○○さん(モデル)も愛用中」「△△さんにもご紹介いただきました」と、掲載。
その結果、広告からのCVRが高まり、高騰傾向だったCPAが改善しました。
さらに、「○○さんも愛用」といった切り口で記事コンテンツを量産できるようになりました。
その結果、広告配信のボリュームが増え、メディア予算も回せるようになったのです。
目標CPA内におさめたうえで、
新規獲得件数で「昨年比2倍」という大幅アップを達成しました。
この企業では、著名人やインフルエンサーに商品PRのInstagram投稿をしてもらい、
LPや記事コンテンツで2次利用するという手法を、他の商材でも横展開を進めています。
記事コンテンツ(記事型LP)で、信頼性コンテンツが購買意欲を高める
この2~3年間で主流になりつつあるのが、広告から「記事」を挟みLPに誘導する手法です。
これは、まずはユーザーを、Yahoo!コンテンツディスカバリーなどの
「レコメンド型広告」やFacebookなどの「インフィード型広告」から記事コンテンツに誘導。
ユーザーに記事を読んでもらって購買意欲を高めてから、LPに送客するという方法です。
(参考:「ネイティブ広告の裏ワザ公開!記事型LP制作の4ステップ」)
この「記事」において有効な切り口が、「最近話題になっている」といったニュース性を強調したり、
「芸能人が使っている」と著名人を前面に出して興味をそそるタイプです。
記事内で、専門家のコメントを載せたり、
芸能人がInstagramなどのSNSに投稿した画像をそのまま出すことができると、信頼性が高まります。
先ほどの女性向けサプリの事例では、
タレントやモデルのInstagram投稿を記事コンテンツに掲載したことによって、
レコメンド広告やインフィード型広告の効率が大きく改善したことを紹介しました。
さらに、専門家に商品を推薦してもらう方法も有効です。
健康の専門家に、「この成分は効果的」と中立的な観点からコメントをしてもらい、
記事コンテンツの説得性を高めることに。
もちろん単純に「お金を払ったからコメントを書いてもらえる」という訳ではないですが、
弊社の抱える200人の健康・美容の専門家ネットワークから抽出・打診したところ、
顔写真入りで推薦文を書いてもらうことに成功しました。
(「通販で“PR”は有効なの?「ダイレクトPR」が売上アップに貢献した、3つの事例」より)
その結果、記事コンテンツに専門家による推薦コメントを載せたところ、
LP(商品LP)への遷移率が120%以上アップしました。さらにLP内でのCVRも改善して、
結果的にCPAが3分の1以上もダウンしたのです。
その他にも、美容サプリのPRでは、
美容ライターの推薦コメントを載せた記事型LPによってCVRが143%に改善。
美容クリームのPRでは、元グラドルのママタレントの使用レポートを記事に活用し、
新規獲得件数が前年比2倍になった事例があります。
広告と同じ感覚はダメ!通販企業で起こりがちな失敗例
このように推薦コンテンツは、WEB広告の効果を高めるのに絶大な効果があります。
ところが、広告と同じ感覚でインフルエンサー施策を行おうとすると、失敗する傾向に。
通販企業に起こりがちな、よくある失敗例を紹介します。
失敗例1:PR慣れしているアカウントしか振り向いてもらえない
PR会社や広告代理店がよく取る手法は、PR案件を記載したメッセージを一斉に、
芸能人やモデル、インスタグラマー、著名人、インフルエンサーたちに送り、
告知を依頼するという方法です。
「PR慣れ」しているアカウントはその依頼に応じてくれますが、
彼女たちは同じような告知を多数こなしていることもあります。
そのような告知にはユーザーは新鮮味を感じず、効果は限定的に。
通販企業がターゲットにしている顧客層から支持されている著名人やインフルエンサーのなかには、
「PR案件は慎重に取り扱っている」という人も少なくありません。
そのような著名人やインフルエンサーには、個別にアプローチしていかないと振り向いてもらえず、
PR効果の最大化は難しくなってしまいます。
失敗例2:ポジティブに発信してもらえない
希望する著名人やインフルエンサーがPR投稿に応じてもらえた場合でも、
本人が商品をあまり使ってくれなかったり、
効果を実感できないまま投稿されてしまうケースもあります。
投稿内容も通販企業やPR代理店が依頼した文面のままということも。
著名人やインフルエンサーにとってPR投稿は「仕事」や「業務」の位置付けになってしまい、
本人の実感のこもったコメントではない場合もあります。それではリアルな使用感は伝わらなくなってしまいます。
掲載する写真や動画も、「商品をそのまま写しただけ」といった当たり障りのないものに。
そのような投稿ではフォロワーに熱い想いも伝わらず、購買意欲を喚起することは難しいでしょう。
失敗例3:使用の許諾範囲が狭くなる
Instagram投稿の2次利用では、芸能事務所や本人から許諾を得る必要があります。
通販企業としては、広告クリエイティブ(バナー)や記事、LPなど、あらゆる局面で活用したいのですが、
そのように広い範囲で許諾を得られることは稀なのが現実です。
著名人やインフルエンサーからすると、
単品リピート通販の商品PRは大手企業(ナショナルクライアント)や
ラグジュアリー・ブランドのPR案件とは異なり、「積極的には露出したくない」という印象を抱かれてしまうことも。
特に、ほとんど使ったこともない商品や効果を感じられなかった商品だと、
イメージの低下やレピュテーションリスク(否定的な評価)などを恐れて、露出に消極的になってしまいがちです。
「ネットワーク」や「人間関係」など、異なる世界の原理
では、これらの失敗例を避けるには、どうすればよいのでしょうか。
私たちが実践しているのは、シンプルながらも泥臭い方法です。
芸能事務所やプロダクションと密接な関係づくり
芸能事務所やタレントプロダクションを訪問して、
マネージャーなどスタッフとネットワークを構築する方法です。
私たちはPR案件を受託するたびに、属人的な人間関係を通じて、適した著名人やインフルエンサーを探しています。
PR案件が進むにともなって、マネージャーや本人を訪問。
対面で商品の魅力や使い方をプレゼンテーションを行い、
実際に商品を使ってもらい、ファンになってもらうよう働きかけます。
時には、通販企業の社長・担当者と芸能人・インフルエンサーの打ち合わせや会食をセッティングすることもあります。
業界の性質もあって、このようにウェットな方法が有効なのです。
芸能事務所やプロダクション、またはタレント本人とつながりを深め、
商品のファンになってもらうと、閲覧者の購買意欲を高めるポジティブな投稿をしてもらいやすくなります。
このような地道な方法を継続して、
なかなかPR案件には応じないような希少性の高い芸能人やモデルなどに振り向いていただいたこともあります。
「お金を出せば・・」の広告とは、異なる原理で動いていると理解
「インスタ投稿の掲載で、CVRが●%アップ」といった華やかな成果の裏側には、
ウェットな人間的コミュニケーションが介在しているとを理解するとよいかもしれません。
このような手法は、通販企業が自社単体で行うのは難しいかもしれません。
そこで私たちのようなソーシャルメディアの活用やPRを専門にしている会社が、サポートさせていただいています。
ソーシャルメディアの活用やPRに成功している企業が理解しているのは、
「お金さえ出せば、その分の露出が得られる」広告の世界とは異なる原理で動いているということ。
ソーシャルメディアの普及にともない、口コミの影響力が高まった今、
オンラインでの評判が「売れる」「売れない」を分けるポイントになります。
Instagramをはじめとしたメディアを、芸能人やインフルエンエサーなどを活用しながら、
商品の「人気」や「信頼」を可視化する取り組みにチャレンジしてみてください。