ダイレクトマーケティングには欠かすことのできない、「ABテスト」。
近年ではWEBマーケティングの業界でもサイトや広告を改善する際によく使われるテスト方法です。
この記事ではABテストの基礎知識や進め方、さらに注意すべき点を紹介します。
売れる記事型広告の作り方を4つのステップに分けて解説しました。
PDCAの回し方や、LP遷移率アップの方法などをまとめています。
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ABテストとは?
ABテストは、2つのパターンを比較しどちらの方が良いかを決定するテスト手法です。
現在は主に、オンライン上のWEBサイトや広告などのマーケティング施策の効果を高めるために使用されますが、チラシやラジオ広告などオフラインの媒体でも使用されます。
検証の方法としては、ある一部分のみが異なるAパターンとBパターンを用意して、どちらの方が効果が高いかを見ます。
ABテストを繰り返すことで、最も効果が高いパターンを見つけることが可能です。
効率よく改善を進められるため、ABテストは業界・業種を問わずに広く活用されています。
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ABテストの対象と活用方法
ABテストの対象例を4つ紹介します。
それぞれについて、どのようなABテストが行われることが多いかについても解説するので、参考にしてください。
Webサイト
Webサイトにはさまざまな種類がありますが、どんな用途のサイトでもABテストの対象にできます。
WebサイトでABテストが行われる要素は、たとえば以下の通りです。
- ファーストビュー
- メインビジュアル
- ボタンのデザイン
- 見出しやページタイトル
- リンククリック後の遷移先
訪れる人が多いトップページは、改善に成功した際の効果が大きいと見込めます。
どのページから改善すべきか迷う場合は、まずはトップページでABテストを行うとよいでしょう。
インターネット広告
インターネット広告では、とくにABテストが重視されます。
広告のクリック率や、商品購入やサービス申し込みに至るコンバージョン率(CV率)がわずかに変動するだけで、売上が大きく変わるからです。
インターネット広告では、たとえば以下の要素でABテストが行われます。
- 見出し
- 広告文
- バナーのデザイン
- リンク先のランディングページ
広告のクリック後に表示される、コンバージョンを目的としたページが「ランディングページ(LP)」です。
ランディングページの改善は、LPO(Landing Page Optimization)と呼ばれます。
LPOでは、コンバージョン率を高めることを目指して、ページ内のさまざまな要素に対して何度もABテストが繰り返されます。
アプリ
アプリを改善する際にも、ABテストは有効です。
アプリ内でABテストが行われる要素は、たとえば以下の通りです。
- 初期画面のデザイン
- メニューバーの配置
- 選択時の効果音
- BGMの曲調
アプリでは視覚要素だけでなく、聴覚要素もABテストの対象となります。
自社アプリであれば、ユーザーの行動データを集めやすいため、改善施策の効果を確かめやすいでしょう。
オフライン広告
オフライン広告でも、ABテストは活用できます。
たとえばチラシであれば、以下の要素についてのテストが効果的でしょう。
- トップコピー
- メインビジュアル
- 本文の文章
- チラシサイズ
「トップコピーを単純に大きくしただけで反応率が1.3倍になった」といった例もあるので、現状に満足せず、積極的にABテストを行った方がよいでしょう。
ただしオフライン広告では、インターネット広告に比べて、施策の実行や効果の検証に時間がかかってしまいます。
ABテストを確実に行うために、早めの準備を心がけましょう。
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ABテストを行う理由(必要性)
なぜABテストを行うべきなのか、その理由を解説します。
必要性を理解した上で取り組むことで、効果的なABテストを行えるようになるでしょう。
1. 原因が特定できる
ABテストであれば、結果に違いが生じた際に、その原因を明確にできます。
ABテストは、ほぼすべての条件をそろえた上で特定の要素のみを変更する検証なので、結果に違いが生じれば異なる要素に原因があることが明らかだからです。
もし多くの要素を一度に変更してしまえば、どの要素が原因だったのか特定できなくなってしまいます。
十分なサンプル数を確保してABテストを一度行えば、結果とその原因が明確になるので、その後の改善方針に迷わなくなるでしょう。
2. 改悪のリスクを減らす
ABテストで検証することによって、改悪のリスクを減らせます。
やみくもに改善しようと手を加えると、以前の状態よりも悪くなってしまうことがありますが、ABテストによる検証結果に基づいた改善なら改悪のリスクを回避できます。
もし改悪したとしても、その原因は「変更した要素」にあると分かっているので、すぐに元に戻せます。
また、一部の要素のみを変更するABテストであれば、改悪してしまった場合でも、悪化の程度が小さくて済む傾向があります。
丸ごと作り直す場合と比べて、リスクが抑えられます。
3. CV最適化までの費用を抑える
コンバージョンを増加させるまでの費用を抑えられることも、ABテストの利点といえます。
Webサイトであれチラシであれ、1箇所の要素のみを変更するのであれば、費用があまりかからない傾向があります。
もしテストを行うたびに、Webサイトやチラシを丸ごと作り直すとすれば、そのたびに制作費用がかかってしまいます。
それではCV最適化のためにテストを繰り返せば、膨大な費用が必要になるでしょう。
何度もテストを行うためには、費用を抑えられるABテストが最適です。
4. 効果の最大化
ABテストを行うことで、広告の効果を最大化できます。
広告文やランディングページの改善を重ねることで、コンバージョン率を高められるからです。
たとえば、広告文のABテストを行うことで、広告の表示回数あたりのクリック率を2倍にできたとします。
これだけでも大きな成果ですが、さらにランディングページのABテストを行うことで、そのページからのコンバージョン率を2倍に高めることも可能です。
すると広告表示回数あたりのコンバージョン率は、広告文とランディングページの効果が掛け合わされて、2 × 2 = 4倍になります。
このようにコンバージョンにつながるステップごとにABテストを行うことで、広告の効果を最大化できます。
さらにABテストは、広告の出稿を止めることなく同時に実施できるので、売上をできるだけ維持しながら効果の高い広告を作成できます。
5. マーケティングスキルの向上
ABテストを行う際には、様々な情報に触れつつ試行錯誤を行うので、マーケティングスキルの向上が見込めます。
一般的に、広告やWEBサイトでABテストを行う際は、テストを行う前に仮説を立てます。
どの要素を変えることで、ユーザーの行動がどのように変わり、その結果がどの数値に表れるかを事前に予測します。
その上で実際にABテストを行い、結果を見て仮説が合っていたか間違っていたかの確認を行い、合っていた場合は数値の良い方を採用し、間違っていた場合は原因を探っていきましょう。
試行錯誤を繰り返すことで、知見が蓄積されパターン化できるようになり、判断軸が形成されていきます。
ABテストを行うことで自社の事業のみならず、自身のスキルの向上が可能です。
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ABテストの注意点
ABテストを行う際の注意点を3つ紹介します。
ABテストで失敗しないために、気をつけておきましょう。
1. 2つ以上の要素を同時にテストをしない
ABテストでは、2つ以上の要素を同時にテストすべきではありません。
結果に違いが生じた際に、どこに原因があるかがわからなくなってしまうからです。
早く結果を得るために、2つ以上の要素を変更したくなる場合があるかもしれませんが、焦るとむしろ遠回りになってしまいます。
1つずつの要素をテストして、確実に改善を重ねていきましょう。
もっとも、2つ以上の要素を同時に変更する「多変量テスト」という方法もあります。
ただし、このテスト方法は上級者向けですので、まずはABテストに慣れてきたらチャレンジされるとよいでしょう。
2. ABテストの目的を明確に持つ
ABテストでは、目的を明確に持つことが大切です。
目的が明確でなければ、パターンAとパターンBのどちらで望ましい結果が得られたのか、判断できないからです。
たとえば、チラシサイズを従来よりも小さくするABテストを行ったとします。
そして、小さいチラシの方が電話での問い合わせが増えた一方で、来店した人からは「大きいチラシの方が見やすくてよかった」という意見が多かったとします。
この場合、チラシサイズを小さくするという施策は、効果的だったのでしょうか?
もしABテストの目的が「電話での問い合わせを増やすこと」だと明確になっていれば、今回の施策は成功だったと、迷うことなく判断できます。
結果を見てから目的がぶれないように、事前に目的を明確にしておきましょう。
3. テスト結果の判断に必要なサンプル数を知る
ABテストの結果を判断するためには、十分なサンプル数と結果の差が必要です。
商材やテスト期間によって、確保できるサンプル数は異なりますが、それでもテストの結果に明らかな差(有意差)がなければ判断することはできません。
たとえば、同じCVR(コンバージョン率)であってもそのサンプル数によっては、統計的に信頼できる違いつまり有意差がでないこともあるからです。
アクセス数 CV CVR
Aパターン 1,000 20 2.0%
Bパターン 1,000 30 3.0%
上記テスト結果を得た場合、一応のテスト結果にはなりますが統計的には誤差の影響により優劣を明らかにすることはできません。
しかし、それぞれのアクセス数が10倍の10,000件で同じCVRが出た場合には、誤差の影響が小さく信頼できるデータとして判断材料になります。
無料で有意差を判定するツールも多くありますので活用しながら、自社にとって必要なサンプル数の勘所を掴んでいきましょう。
参考:ABテスト計算ツール│統計学的有意差検定ツール
参考:なぜ間違ったA/Bテストを信じてしまうのか?統計学から見た「誤差」の正体
A/Bテストの期間、結果が出る(有意差が付く)までに必要なのは?
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ABテストの進め方
効果的なABテストを行うためには、手順を一つひとつ踏みながら進めることが大切です。
ABテストのやり方を4ステップで紹介します。
1. 目的を明確にする
まずは前述の通り、ABテストの目的を明確にします。
収集できるデータの種類が多いと、どの指標を改善することが目的なのか、あいまいなままテストをしてしまいがちです。
「クリック率を上げる」「コンバージョン率を上げる」など、注目する指標をあらかじめ決めておきましょう。
2. テスト対象を定める
次に、ABテストの対象を定めます。
ABテストでは変更要素は1つのみにするのが原則なので、どこを変更するのかを明確にします。
優先してテストすべきなのは、改善したい指標に大きな影響を与えると予想される要素です。
たとえば「ランディングページのコンバージョン率を上げる」のが目的であれば、訪問者が必ず見ることになる、ファーストビューのコピーや画像をテストすると効果的でしょう。
3. 何を検証するかの仮説を立てる
対象を決めたら、何を検証するかの仮説を立てます。
やみくもにABテストをしても、効果的な改善はできません。
必ず「こう変更すれば、結果がこう変わるはず」という仮説が必要です。
ABテストはその仮説を検証するための手段として使いましょう。
たとえば「ファーストビューの画像をより派手に変更すれば、ランディングページの内容に興味を持ってもらえて、コンバージョン率が上がるはず」という仮説を立てたとします。
あとはこの仮説を検証するために、ファーストビューの画像のみが異なる2種類のランディングページを用意して、ABテストを行いましょう。
2種類のうちどちらかがランダムに表示されるように設定して、十分なサンプル数が蓄積されるまで待てば、テストは完了です。
4. テスト結果の分析
ABテストを行った後は、結果を分析します。
仮説が正しかったかどうか、感覚ではなくデータに基づいて判断しましょう。
さきほどの例であれば、ランディングページのコンバージョン率は、明確な数字として確認できます。
派手な画像に変更した結果、コンバージョン率が上がったのであれば、仮説が正しかったといえるでしょう。
仮説が間違っていたとわかれば、また別の画像を試してみるのはもちろん、次は別の箇所をテストしても構いません。
ABテストは一度行っただけで終わりにするのではなく、何度も繰り返すことで、着実に改善を進められます。
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ABテストの成功事例
スマートフォン向けのランディングページでボタンのABテストを行い、コンバージョン率が2倍になった事例があります。
このABテストでは、「ボタンの形状を変えると、コンバージョン率に影響があるのではないか」と仮説を立て、以下の2つのパターンに対してABテストを行っています。
- パターンA:長方形のボタン
- パターンB:丸いボタン
その結果、コンバージョン率は以下の通りとなりました。
- パターンA:4.5%
- パターンB:10.3%
ボタンの形状を変えただけで、コンバージョン率は2倍以上となり、仮説が正しかったと確認できました。
コンバージョン率が2倍になれば、売上も2倍になると見込まれるので、非常に大きな成果です。
このように、ABテストを行うことでほとんどコストをかけずに、大きな売上げアップにつなげることが可能なのです。
ABテストの活用方法や注意点、進め方などについて解説しました。
「ABテストなんて意味ない」と考えていた方に向けてあらためて整理すると、ABテストには以下の意義があります。
- 結果の原因が明確にわかる
- 改悪してしまうリスクを減らせる
- CV最適化までの費用を抑えられる
- 広告の効果を最大化できる
ABテストは業界・業種を問わずにすぐに試せて、大きな成果が期待できる手法です。
施策の効果を高めるためにも、ABテストを試してみてはいかがでしょうか。
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