チャットボットを導入すると、顧客体験の向上や離脱率の改善などによってCVRがアップします。CVR改善の方法はアイコンの変更やUXの統一など。チャットボット導入でCVRが改善する理由や方法、注意点などを事例と合わせて徹底解説します。
チャットボットの効果的な活用方法6選をまとめました。
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目次
CVRがなぜ重要か
CVR(コンバージョンレート)とは、Webサイト訪問者のうち、問い合わせや商品購入などの成果(コンバージョン)に至った件数の割合です。CVRは、コンバージョン数を一定期間におけるセッション数によって割ることで算出します。
Webサイトにおける消費者の購買行動が活発化していることを背景に、CVR向上施策の重要度は近年高まっています。BtoCの物販系市場におけるEC化率は、2013年から2021年にかけて約2.28倍まで上昇。特に2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で、自宅で商品・サービスを購入または利用する動きが活発化しました。
参考:「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書 経済産業省」
CVRを高めると、Webサイトの訪問ユーザー数を増やさなくても、購入数を増やすことが可能です。また、前述のデータからオンライン消費に対するニーズは高まっているため、以前と比べてWebサイトを訪問する顧客の数は増えていると考えられます。そのため、近年の状況下においてCVRを高めると、ユーザー数が増えている状況で購入などの成果が増加するため、売上や利益を最大限増やせる可能性があるといえます。
増加しているオンライン上のニーズを取りこぼさない手段として、CVRの向上施策に対する重要性は高まっています。
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チャットボットとは
チャットボットの定義や仕組み、市場規模をお伝えします。
チャットボットの定義・仕組み
チャットボットとは、テキストや音声によって自動的に会話するプログラム。ビジネスでチャットボットが主に用いられる場面は「顧客対応」。顧客が音声やテキストで質問することで、最適な回答(または必要に応じて選択肢)を自動で返答する仕組みです。
チャットボットの仕組みは、大きく下記2つのタイプに大別されます。
- ルール型:人間があらかじめプログラムしたシナリオに沿って会話するタイプ
- 機械学習型:AI(人工知能)が自ら学習し、最適な受け答えを行うタイプ
チャットボットの市場規模
ITRによると、2018年度におけるチャットボットの国内市場規模は24億1,000万円であり、前年度と比べて2倍まで拡大。2023年度には109億円に到達するなど、今後も市場規模は拡大を続けると予測されています。
出典:「チャットボット市場規模推移および予測を発表 ITR」
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チャットボットでなぜCVRがアップするのか
チャットボットの導入では、以下3つの理由からCVRの向上を期待できます。
顧客体験の向上
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が得る体験やメリット、価値などの総称です。
チャットボットの導入により、顧客からの悩みに対してスピーディーかつ的確に回答したり、顧客のニーズを満たす提案(悩みの解決につながる商品の提案など)を行ったりすることが可能です。それにより、顧客に対して「不安を解消できたという価値・体験」や「迅速に対応してもらえるというメリット」の提供を通じて、顧客体験を向上できます。
顧客の満足度や自社商品・ブランドに対する好感度が高まるだけでなく、商品・サービスを利用する意欲が高まるため、CVRのアップを期待できます。
機会損失の防止
24時間365日顧客対応できるのがチャットボットの大きな強み。
営業時間外などを理由に対応できないと、顧客の購入意欲や満足度が低下してしまい、本来発生したはずの成果を取りこぼす可能性があります。チャットボットではこのような離脱する顧客を減らせるため、CVRの向上が期待できます。
離脱率の改善
WebサイトのCVRを高める上で無視できない課題が「フォーム入力途中の離脱」。イー・エージェンシーの調査によると、カートに商品を入れたにもかかわらず、購入せずに離脱した割合の平均は約64.7%と非常に高いです。
出典:「<調査報告>ECサイトのカゴ落ち率は平均は約64.7% ~ イー・エージェンシー」
弊社がお客様と取引する中で見えてきたフォーム入力途中の離脱原因の1つが「注文フォームが長い・入力しにくい」こと。「面倒くさい」「操作が難しい」などの理由で離脱すると考えられます。
解決方法としては、チャットボットを入力フォームに組み込み入力項目を分割化することで、入力や確認にかかるストレスを減らすことができます。
また、エラーのリアルタイム表示や住所の入力補助などの機能により、入力にかかる手間を減らすことも可能。フォーム入力の面倒さや難しさを減らせるため、CVRのアップが期待できるでしょう。
これらの理由から、EFO対策やCVR改善を目的にチャットボットを導入する企業は近年増加傾向となっています。
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チャットボットでCVRを改善する方法
チャットボットによるCVRを改善する方法を4つ紹介します。
1.アイコンを変更する
オペレーターのアイコンを変更することで、CVRのアップにつながる可能性があります。弊社の事例では、注文画面におけるアイコンを、オペレーター・会社ロゴ・イラストの3パターンでABテストをしたところ、イラストアイコンでCVRが9%アップしました。
2.アイコンと文言の印象を揃える
オペレーターのアイコンと文言の印象を一致させることでCVRの改善を期待できます。化粧品の注文画面を例に説明します。アイコンは女性オペレーターで、チャットの口調を端的に話すパターンと、「ぜひアイメイクを楽しんでくださいね♪」といった 親しみのある口調の2つのパターンを比較してみました。すると、親しみやすさを加えたほうがCVRが4%下がる結果に。
一方で、前述した文言と親和性が高い「猫のキャラクター」のアイコンに変更したところ、CVRが34%改善しました。
接客文言に合わせたキャラクターアイコンに変えることで、顧客の購買意欲が高まり、CVRの大幅なアップにつながるといえます。接客文言とアイコンの親和性が低いと、かえってCVRの悪化を招く場合もあるため注意しましょう。
3.残枠を表示する
入力項目数を数字で表示することで、CVRのアップを期待できます。理由は、回答数の終わりが見えることでユーザーが安心できるためです。弊社の事例では、画面上部に残りの項目数を表示することで、表示しない場合と比べてCVRが7%アップしました。
特にチャットフォームを利用する場合は、「入力項目数」を具体的に表示する手法が効果的。これまで進行バーを表示する手法は広く活用されてきましたが、「入力項目数」を表示する方がチャットとの親和性は高いです。
4.UXを統一する
従来は、アンケートLP→LP→注文フォームという流れが一般的でしたが、遷移前後でデザインや操作性が異なるため、顧客に違和感や面倒な印象を与える可能性があります。各LPや注文フォームの間でUXを統一することで、画面遷移によるデザインや操作性の変化が生じにくくなるため、CVRのアップを期待できます。
UXを統一する方法は様々ありますが、おすすめなのは「チャットLP」です。チャットLPとは、アンケートLPから購入フォームまでにいたるプロセスを、ページ遷移せずに1つのチャット上で完結できるもの。
通常LPであれば1つの伝え方しかできませんが、LPの段階から顧客が求めている情報をチャットボットが的確に提供するため、顧客の購買意欲や満足度を効果的に高めることが可能です。
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CVR改善を失敗しないための注意点
CVRの改善には以下3つの注意点があります。
1.ユーザー視点でのコミュニケーションを意識する
「チャットのシナリオを店頭接客に置き換えた場合、不自然な点はないか?」、「ユーザーに不安感/不信感を与える内容や流れではないか?」などを考えることが重要です。
たとえば、アップセルを目的に購入直前でおすすめ商品をたくさん表示させると、顧客に違和感を与える場合があります。CVRの改善では、「商品を買うまでのコミュニケーションは本来どうあるべきか?」を考えることがポイント。
双方向に対話できる点がチャットボットの強みですが、それゆえに不自然なコミュニケーションも目立ってしまうため注意が必要です。チャット内でアップセルをかける際には、顧客視点で自然な流れになるようにシナリオを設計しましょう。
2.スマホでの視認性を意識する
シナリオを作成する際に注意したいのが、「実機でどう見えるか」です。文章の調整を実際の画面以外で行うことが多く、確認時点では自然に見えても、スマホなどの実機ではボリュームの多さや文章の途切れ方が不自然になる可能性があります。
CVRを改善するには実機での確認が不可欠。以下項目を確認し、実際の表示画面における見やすさ・読みやすさを担保しましょう。
- 文字の大きさが適切か
- 強調したほうが良い点は
- 色の変更は必要か
- コントラストは適切か
- 画像のサイズおよび見え方はどうか
そのほか、「クレジットカードを選ぶときにロゴを出す」、「性別の選択肢をアイコンに変更する」などの工夫で視認性を高めることも可能です。
3.法令の伝え方を工夫する
2022年6月施行の改正特定商取引に関する法律により、すべてのEC事業者へ最終確認画面を表示することが義務付けられました。
参考:「通販事業者の皆さんへ 消費者庁」
法改正により確認画面で伝えなければならない項目が増えたため、決済周りで注釈が増える可能性があります。CVRの低下を危惧する方もいらっしゃると思いますが、前述した2つの注意点をしっかり対策できていれば心配ないケースがほとんどです。
法令に則って「定期の継続回数は○回〜」などの必須項目をチャットで一気に送ると、見づらさや圧迫感を与えかねません。こうした事態を避けるには、必要に応じてテキストサイズを小さくする、一部の項目をリンク先で確認できるようにする、などの工夫で対処可能と考えられます。
ただし、法令に関する専門知識を要するため、弁護士などの専門家に相談した上で表示画面・内容を検討することがおすすめです。
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チャットボット導入でCVRがアップした成功事例
実際にCVRがアップした成功事例を2つ紹介します。
カゴメ株式会社の事例
業界・顧客ターゲット
トマトジュースなどの飲料や食品を取り扱うメーカー。「楽しく野菜を摂りたい」という人を中心に、幅広い消費者をターゲットに事業を行っています。
導入前の課題
アフターコロナとサブスク乱立を理由とした競争激化により、顧客の獲得効率が悪化していたことを課題としていました。
改善内容・結果
チャットボット型の接客プラットフォームを導入し、CVRが1.4倍までアップ。導入前と比べて、「効率的な広告費の使用」や「新規顧客獲得数の増加」などの効果を実感したとのことです。
出典:「CPO改善の起点はretailor。CVR140%改善によって生じた、プロモーションの変化とは」
認定NPO法人カタリバの事例
業界・顧客ターゲット
10代の子どもたちを対象に、学習や居場所づくりのサポートを展開しています。
導入前の課題
スマホのフォーム離脱が多いことや、それに伴い一部メディアで広告を十分に配信できない状態が長く続くことを課題としていました。
改善内容・結果
寄付者とのコミュニケーションツールとしてチャットボットを導入。ユーザー(寄付者)にとって親切なインターフェース作りを心がけたことで、CVRを123%改善させることに成功し、お申込み件数も約25件増加しました。
出典:「「寄付」にチャット活用!?CVR123%改善の意外な導入例とは」
チャットボットの効果的な活用方法6選をまとめました。
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そもそもチャットボットを導入すべき?おすすめしたいケースとは
弊社がご支援してきたケースでは、以下4つのケースでチャットボットの導入効果が高い傾向となっています。
- CVまでに必要な設問数が多い
- 潜在層を主なターゲットとしている
- 購入者の利用デバイスに占めるスマホの割合が高い
- 販売したい商品の種類や数が少ない
CVまでに必要な設問数が多い
弊社がご支援している中で、CVまでに必要な設問数が多いほうがチャットボット導入に適している傾向があると見えてきました。来店予約をCVとしたケースでは、設問が4問のみとなり、フォーム入力よりもチャットの起動・入力にかかる時間の方が長くなり、かえってユーザーにとっての使い勝手が低下しました。
無料の資料請求や来店予約など、2ステップ系の商材ではCVまでの設問数が大幅に少なくなる傾向があるため、チャットボットの導入は慎重に検討するのがおすすめです。
潜在層を主なターゲットとしている
潜在顧客層を主なターゲットとしているケースでは、チャットボット導入が適しています。
顕在顧客は入力の手間を惜しまない傾向があるため、チャットよりもフォーム入力の方が早くなります。実際に弊社では、顕在層が集まるリスティング広告の遷移LPにはチャットボットを使用しない方が効果的と判断したケースもあります。
購入者の利用デバイスに占めるスマホの割合が高い
商材によるものの、スマホからの購入率が高い場合にはチャットボット導入がおすすめです。PCは導線がスマホと異なるため、チャットボットによる効果は小さくなる傾向があります。ただし、PCの利用割合が高い商材でも大幅にCVRが改善した事例もあるため、試してみる価値はあるでしょう。
販売したい商品の種類や数が少ない
豊富な種類の商品を販売する総合ECだと、チャットボットよりも通常のカートシステムのほうが、複数商品の選択や数量変更などをスムーズに行えます。そのため、チャットボットは販売したい商品の種類・数量が少ないケースに適しています。
現時点のチャットボットでは、トライアルで入ってきた顧客が、クロスセルで2個くらいの商品を購入するまではスムーズに行うことができます。
チャットボットの向き不向きはありますが、今後顧客の関心に寄り添った接客はより求められていくと考えています。カートやLPのCVR改善にお悩みの方のお役に立てば嬉しいです。もし、チャットボットの導入を検討される場合は、以下の問い合わせフォームからお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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