ソーシャルメディアのなかでも急速に存在感を増しているのが、Instagram(インスタグラム)です。「インスタ映え」が流行語になりましたが、「欲しいモノに出会う」「買いたい商品を調べる」といった消費行動と結びついた使い方も、若い女性を中心に広がっています。
単品リピート通販企業は、Instagramをどのように活用すべきでしょうか?さらに売上への効果と取り組む企業がぶつかりやすい課題をお伝えします。
目次
急速に進むインスタ活用、なぜ通販企業は“二の足を踏む”?
Instagramを活用したPRや販促の事例が、若年女性向け商品で急速に増えています。
Instagramのユーザーは約2,000万人で、人口のカバー率では約12%。
(出典:「2018年3月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ」)
この数字はLINEやFacebook、Twitterと比べて特に高いわけではありません。
しかし、Instagramで目を引くのは、約85%というアクティブ率の高さ。
「インスタでかわいい商品を探す」「フォローしている人が投稿していたモノを買う」といった消費行動も広まっています。
一方、化粧品や健康食品など単品リピート通販では、Instagramに本腰を入れる企業はまだ多くありません。
なぜInstagramの活用に二の足を踏むのでしょうか?
よくある疑問1:ユーザーのほとんどは、若年層?
Instagramのユーザーで最も多い年代層は20代30・40代と続きます。ボリュームゾーンの20-30代では、女性の比率が60%以上。
「若い女性が利用しているSNS」という印象を抱く方も、少なくありません。
一方、多くの単品リピート通販企業の顧客層は、40代以上の中高年がメイン。
「うちの客層とInstagramは相性がよくないのでは?」という感触を抱かれる場合もあるようです。
ところが、最近のInstagramユーザーは、40~50代が増加傾向にあり、また男性のユーザーも増えています。
もはやInstagramは、「若い女性だけで流行っているSNS」とは言えなくなってきたのです。
ユーザーの広がりにつれて、Instagramで販促をする商品の種類も増えています。
健康美容関連ではコスメだけでなく、美容サプリやダイエット食品、シャンプーなどにも。
シニア層向け商品以外では、単品リピート通販でも活用される事例が増えてきたのです。
よくある疑問2:コンバージョンには直結しない?
もう1つのよくある疑問は、費用対効果を測りにくいこと。
Instagramでは、URLのリンク投稿ができないため、基本的にはコンバージョン(CV)を測定できません。
したがって、「アカウントの運用」や「インフルエンサーのPR投稿」などの販促施策に費用や工数のコストをかけても、費用対効果が見える化しにくいのが難点。
投資効率を数字で見ることに慣れている企業では、「費用対効果が見えにくいブランディングやPRには予算を出せない」と敬遠されてしまいがちです。
しかし、「有名人がインスタにアップしていた商品を買う」「人気コスメはインスタのハッシュタグ機能を使って探す」といった消費行動が、特に10代後半〜30代女性から広まっているのも事実。
Instagramの影響力は、無視できないほど強くなってきています。
Instagram上でのPRに積極的に取り組み売上を伸ばしている企業も、特に化粧品では(通販に限らず)増えています。
Instagramでの注目が売上アップを生む、3つの効果
こうしたトレンドの変化を捉え、単品リピート通販でも一部の先進的な企業は、InstagramでのPRに注力を始めています。
私たちフロントディールがサポートする企業からも、新規顧客の獲得など成功事例がいくつか出てきました。
「インスタ活用」の売上アップに、具体的にどのように貢献するのでしょうか?
効果1:Googleでの指名検索が増える
私たちフロントディールが行なっているのは、「芸能人」「モデル」「インスタグラマー」といったインフルエンサーや著名人に商品を使ってもらい、その使用シーンや体験談、感想を自身のアカウントでInstagramに投稿してもらうという手法です。
「広告主である通販企業」と「プロダクションや芸能事務所やインフルエンサー個人」をマッチング。「#PR」のハッシュタグを付け、PRと明示して投稿してもらいます。
ある通販企業では、月に100名程度のインスタグラマーとコラボして、商品のPR投稿を促進する施策を実施。
「月間新規注文数が20,000件を超える」という成果の原動力となりました。
この成果を牽引した要因の1つが「Googleで商品名で検索される回数」が増えたこと。
・①の時期には、キャンペーンによって検索ボリュームが一時的に2倍に上昇。②には当初の5倍に
・③の前半での急落は、販売量が予想を大きく上回ったため商品の生産が間に合わず、新規顧客獲得施策をストップしたという事情のため
そのような紆余曲折はありつつも、指名検索回数は施策の前後では約3倍に増加しました。
指名KWによる検索が購買に直結することは、リスティング広告や自然検索でのCVRを計測している方なら肌で感じている方も多いでしょう。
WEB広告のCPAが高騰しがちな昨今、広告接触やLP訪問の前に「いかに商品名を覚えてもらうか?」「良い印象を持ってもらうか?」も、広告の効率を左右するようになってきています。
「指名買い」を起こすためのPRや口コミ施策に、一定の割合の販促予算を投資する企業が、単品リピート通販でも増えてきています。
効果2:インスタ検索で上位表示する
欲しい商品があると「インスタで検索する」が、若い女性を中心に一般的になってきています。
たとえば「スマホでプライベートの情報収集のために、何を見ていますか?」を18~29歳に聞くと、1位は「ネット検索」でしたが、2位は「Instagram」と「Twitter」が同率で57.1%。
40代以上でも「Instagram」は39.5%と、高い影響力を見せています。
(出典:「30代以下女性は「スマホ」からの情報収集が主流。40代以上は「PC」。情報収集意識調査2017」)
たとえば美容液を探すときは、「#美容液」とハッシュタグを付けて検索、ファーストビューに並んだ写真を眺めたり口コミを調べたりします。
そのときに大事なのが、商品カテゴリでハッシュタグ検索された時に上位に表示されることです。
上位表示のポイント1つ目は、投稿への「いいね!」の件数やコメント・シェアなどのアクションの件数が多いこと。
2つ目は、エンゲージメント率といった、フォローワー数に占める「いいね!」やコメントシェアといったアクション数の割合が高いことです。
ハッシュタグ検索での検索順位は、これらのアルゴリズムにもとづいて上下します。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示を狙う「SEO対策」と同じような原理と考えれば、イメージしやすいでしょう。
したがって、Instagramで上位表示されるために有効な手段は、インフルエンサーや著名人などを「巻き込む」こと。
多数のフォローワーを抱えたり、フォローワーのエンゲージメントが高いアカウントに商品のPR投稿をしてもらったりすると、「いいね!」数や「エンゲージメント率」が高まります。さらに、投稿してもらうときに「#美容液」や「#ダイエット」などの商品カテゴリのハッシュタグを付けてもらうようにすると、ハッシュタグ検索で上位表示しやすくなります。
なおエンゲージメントを高めるための手段は、インフルエンサーや著名人の活用だけではありません。
企業の公式アカウントのエンゲージメント率が高くなれば、ハッシュタグ検索でも上位に表示されやすくなります。
公式アカウントの運用がうまくいけば、フォロワー以外の人に投稿を表示(リーチ)させることができるのです。
(参考)「Instagramの投稿で「やってはいけない!」売上を生む、企業アカウント運用法」
効果3:インスタ投稿を、広告に2次利用する
さらにインフルエンサーの投稿やPR実績を広告に2次利用できると、単品リピート通販でも数字で効果を実感しやすいでしょう。
「インスタでも話題」「芸能人も使用」「専門家が推薦」「マスコミにも取り上げられた」といった第三者による推奨を、Instagramで投稿された写真とともに掲載。
LPのCVRアップやバナーのCTRの上昇、広告のCPA改善といった効果が確認されています。
女性向けサプリメントを販売する企業では、WEB広告のCPA高騰に悩まされていました。
ターゲット顧客と重なる20~30代女性のフォロワーを多く抱える、モデルやタレントのInstagramアカウントで商品をPRしてもらえることに。
さらに、2次利用として、モデルたちの実際のInstagram投稿のキャプチャをLPや記事コンテンツに「○○さん(モデル)も愛用中」「△△さんにもご紹介いただきました」と掲載できました。
(「『インスタでも話題』でCPA改善!インフルエンサー投稿・PR実績の2次利用の効果と、よくある失敗例」より)
その結果、広告からのCVRが高まり、CPAが改善。
記事型広告の記事コンテンツの配信ボリューム増加も相まって、目標CPA内で新規獲得件数が「昨年比2倍」という大幅アップを達成しました。
記事型広告が主流になりつつあるWEB広告の状況変化もあり、著名人やインフルエンサーに「Instagramで推薦してもらった」という実績を可視化できることは、広告の効率改善において大きな武器になっています。
「公式アカウント運用」「CPA至上主義」など、ぶつかる課題も
Instagramが消費行動に大きな影響力を持っていること、さらにその効果と活用法を解説してきました。
しかし、単品リピート通販企業が本格的に活用するにあたっては、いくつかぶつかる課題もあります。
課題1:公式アカウントで、「イケてる運用」ができるか?
インフルエンサーや著名人などの投稿によって、企業やブランドの公式アカウントにたどりついたとき、ユーザーがチェックするのが「アカウントがイケているか?」。
具体的には、公式アカウントのフォローワー数や投稿された写真のクオリティ、プロフィールなどを見ます。
公式アカウントのプロフィールには、LPやECサイトなどのURLを貼ることができます。
せっかく商品の購入先へとたどれるようにしても、公式アカウント自体がイケてないと、LPなどに遷移せずに離脱してしまうのです。
ソーシャルメディアの運用は、「広告」とは感覚が異なります。
特にInstagramのユーザーは広告色を嫌う傾向にあるため、“商品推し”の投稿ばかりしてしまうと反応を得られずに、「いつの間にか投稿がされずに放置されていた」というケースも。
公式アカウントは、ファンを自社サイトに誘導するためのInstagramで唯一に近い「受け皿」。
自社で運用するのが難しい企業は、専門家に運用を代行してもらうケースも増えています。
課題2:特有のデザインやユーザー感覚となじむか?
InstagramのデザインやUI、ユーザー感覚は、「高いビジュアル性」や「ライフスタイルへの憧れ」「オシャレや流行の体現」といったキーワードで表されます。
一方、単品リピート通販でよく使われる表現は「悩みなどネガティブ訴求」や「緊急性の高いオファー」「体験談押しのキツめの言葉」など。
Instagramの世界観とは、そのままではなじみにくいでしょう。
たとえば、投稿にあたって大事なのが、商品写真の撮り方です。
商品のパッケージをそのまま写真撮影し、加工せずに投稿してしまうと「インスタ映え」しない投稿になってしまいます。
これでは「いいね!」やコメントが集まりません。
商品のパッケージを投稿する場合、ユーザーに共感(「オシャレ!」「使ってみたい!」)してもらえるよう、写真の背景や色合い、投稿に添える文章を工夫しましょう。
課題3:「CPA至上主義」から脱却できるか?
これまでインフルエンサー活用やアカウント運用などの効果を説明しましたが、具体的な数字としは効果を測定しにくい側面もあります。
通販の広告では、費用対効果がはっきり見えるのが特長。
広告の価値観になじんだ担当者や企業では、InstagramのPR施策には投資を判断しにくいかもしれません。
一方、ソーシャルメディアの普及やスマホメインの情報収集など時代の変化にともない、「広告単体では効果を発揮しにくくなっている」傾向を感じている方も多いのでは。
特にオンラインの口コミが購入判断に与える影響力が高まってきたこともあり、ソーシャルメディアで商品の魅力を伝え、強いロイヤリティを形成していくことが、単品リピート通販でも重要になってきています。
「CV件数が頭打ちになっている」「CPAが高騰している」こういった課題を抱えている企業は、直接的なCVは測れないPRやソーシャルメディアといった施策にも一定の予算を投入すると、逆に広告の効率がアップするケースも少なくありません。
「ショッピング機能」や「ストーリーズ」などで、販売に直結する動きも
最後に、商品の販売に直結する機能や、Instagramの「ECサイト化」の流れについても解説します。
ストーリーズへの「直リンク」掲載も
Instagramの投稿では、通常はURLを貼り付けられず、LPはじめ商品購入ページに遷移させられません。一方、「ストーリーズ」という投稿形式を使えば、フォロワー数が約10,000人以上のアカウントに限り、URLの掲載ができるようになりました。
計測タグを埋め込めば、投稿からの流入数やCV等の測定も可能。
CVによる成果報酬で、PR投稿を受託するインフルエンサーや著名人もいます。
ショッピング機能が、18年5月末から国内開始
また、写真をタップすると商品情報が表示され、商品購入ページに遷移するショッピング機能(ShopNow)。
アメリカで導入されていた機能が、2018年5月末から日本国内でもリリースされました。
活用できるのは、Instagram社から承認されたビジネスアカウント。
フィード投稿から商品購入までがシームレスになり、Instagramがある種「゙ECサイト化」します。直接的なCVへの貢献度も、高まるでしょう。
まとめ:「ECサイト化」の流れのなか、単品リピート通販企業はInstagram活用に今取り組むべき
Instagramは「買いたいモノが見つかる」「欲しい商品を調べる」といった消費行動と結びついたプラットフォームになってきています。
さらに、ユーザーは若い女性だけでなく、中高年や男性にも広がりつつあります。
「ECサイト化」にともない、ユーザーがショッピングでInstagramを利用する頻度も増えるでしょう。
単品リピート通販では、まだ取り組んでいる企業が多くはないからこそ、今から始めればにチャンスがたくさんあるはずです。
ぜひ、Instagramを活用した施策にチャレンジしてみてください。