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サブスクリプションの成功事例は?株価が大幅アップした、日本の上場企業3選

2010年代後半から、日本でもサブスリプション型の事業モデルをスタートする企業が増えています。それ以前から取り組んでいた企業では、サブスク型事業を収益の柱として売上を伸ばし、株価アップなど企業価値の向上を実現している事例も出てきました。BtoC向けの定期購入型ECやBtoB主体のSaaSモデルなど、広い意味でのサブスクリプション型事業に取り組む企業を3つピックアップしました。

事例1:オイシックスは、定期会員34万人・売上710億円

 
1社目は、オイシックス・ラ・大地株式会社。
2000年に東京で設立され、食材の定期宅配型ECを主な事業としている企業です。
 
創業からのサービス「Oisix」に加え、2017年に「大地を守る会」と、18年に「らでぃっしゅぼーや」と、他に食材宅配事業を行なっていた企業と経営統合。
大規模なM&Aが、注目を集めました。
 
売上は過去3年間で、230.1億円(2017年3月期)から710.4億円(20年3月期)へ、3倍以上に成長
 

IRニュース「2020年3月期 決算説明資料」より
 
株価も580円前後(17年3月)から3,200円台(20年11月)へと、5倍以上にアップしています。
 
それぞれの事業・ブランドについて、IR資料で開示されているKPI(いずれも20年3月期から)をまとめました。
 
オイシックス・ラ・大地株式会社のKPI (2020年3月期)

 
定期会員は、合計して約34万人に。
「サブスクリプション型のマーケティングに精通」していることを強みとして、IR資料でもうたっていたのが印象に残りました。
 
 

事例2:マネーフォワードは、BtoB・C両方で年間71億円の積み上げ型収益

 
2社目は、株式会社マネーフォワードです。
 
個人向けには、家計簿や資産管理などに使われるアプリ「マネーフォワード ME」などを提供。
広告収入のほか、月額500円でプレミアム機能を使う有料会員が26.5万人以上(2020年8月末時点)いるそうです。
 
法人向けには、「マネーフォワード クラウド会計」をはじめ、経理や人事労務などバックオフィスを効率化するサポート。
こちらも月額2,980円から提供する、SaaS型のサービスです。
 
売上は過去3年間で、15.4億円(2016年11月期)から71.6億円(19年11月期)へ、4倍以上に成長。
そのうち“積み上げ型収益”を示す「グループARR」は71.2億円と、サブスクリプション型のストック収入を継続的に成長させてきました。
 

IRライブラリ「2019年11月期 通期決算説明資料」より
 
株価も、上場時(2017年9月)の1,500円前後から、4,500円前後(2020年11月)と約3倍にアップしています。
 
法人向け・個人向けそれぞれの事業について、IR資料で開示されているKPI(いずれも19年11月期から)をまとめました。
 
株式会社マネーフォワードのKPI (2019年11月期)

 
主力の法人向け事業では、解約率(顧客数ベース)が1.2%と低く、契約した顧客企業が定着する事業モデルに。
社会保険や確定申告など、サービスラインナップや機能の充実が功を奏し、課金顧客あたり売上高(ARPA)も上昇傾向とのことです。
 
これによって既存顧客からのストック収入が拡大しているほか、新規顧客の獲得も相まって、売上の急激な伸びを実現しているようです。
 
 

事例3:ライフネット生命は、保険料が年間換算で155億円に

 
3社目は、ライフネット生命保険株式会社です。
子育て世代をターゲットに、インターネット専門で生命保険や医療保険などを提供しています。
 
保険料の支払いは、毎月一定額。
サブスクリプション型の収益モデルと言ってよいでしょう。
 
生命保険という業種柄、財務指標としてメインで開示されているのはいわゆる「売上」ではなく、保有している契約から支払われる1年間の保険料(=「保有契約年換算保険料」)でしたが、100.8億円(2017年3月期)から155.1億円(20年3月期)と3年間で1.5倍に成長
 

IRライブラリー「2020年3月期 決算説明会資料」より
 
株価も、380円前後(2017年3月)から、1,500円前後(2020年11月)と3倍以上にアップしています。
 
IR資料で開示されているKPI(いずれも20年3月期)をまとめました。
 
ライフネット生命保険株式会社のKPI (2020年3月期)

 
生命保険は、「契約期間が長期にわたるため、契約獲得と会計上の利益が実現するまでタイムラグが生じる」という事業構造です。
 
そのため成長のための先行投資として、20年度は61.6億円の営業費用を投下。
新契約1件当たり営業費用75,000円をかけて、約8万件の新契約を獲得したそうです。
 
・短期での損益だけでなく、長期的な収益性を重視
・保有している契約から発生すると想定される収益を、現在価値に割り引く
 
このような考え方のもと算出した、長期的な収益性の指標(=ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー/EEV)が年平均20%の成長率でアップ
734,3億円(20年3月期)に達している、という説明も、印象的でした。
 
 


 
サブスク型のビジネスモデルというと、大企業の新規事業やベンチャー・スタートアップ企業の事例が思い浮かびやすいかもしれません。
 
一方、上場企業クラスでも、サブスク型を“本業”として数十億円から年間100億円規模のストック収入を達成。
資本市場からも、株価アップという形で評価を受けている事例は、少なからずあります。
 
そうした企業の売上推移やKPIなどは、IR資料の公開情報でウォッチしていくことができます。
今回は取り上げられませんでしたが、上記のような規模感での成長を実現している企業もいくつか存在しています。
 
ご興味を持った方は、IR資料をチェックしてみると、見えてくるものがあるかもしれません。