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単品リピート通販の事業計画・収益モデルは、オファー設計に依存
私たち株式会社ワンスターは、化粧品・健康食品など単品リピート通販に特化してWEBマーケティングを支援していますが、通販事業を始めて間もない企業のご担当者から、よくご相談をいただくのは「オファー」です。
「LPのオファーは、お試し商品にした方がよいか?」
「最近トレンドになっている売り方を、教えてほしい」
「本品売りをWEBでも試したいが、気をつける点は?」
このようなご質問に答えを出すうえで、押さえておきたいのが、「1ステップ」と「2ステップ」のオファーの違いです。
トライアルセットや無料モニターなどの「2ステップオファー」、本品割引や初回定期といった「1ステップオファー」など、各社が思い思いのオファーで広告を展開していますね。
これらのオファーの違いによって、LPのコンバージョン率やCPO効率が左右されるのはもちろんですが、事業計画や収益モデルも大きな影響を受けるのをご存知ですか?
今からWEB通販を本格的に始める企業にとっては、投資回収モデルにもとづいてオファーを設定するのが大切です。
単品リピート通販業界やWEB広告のトレンドを踏まえて、1ステップ/2ステップのメリット・デメリットを解説します。
1ステップ販売には、広告投資の回収スピードが早いメリット
「1ステップ」とは、「トライアルセット」や「無料サンプル」などのお試し商品を用意せずに、1回目から本商品を販売する手法です。
デメリットは、2ステップ販売と比べて初回購入のハードルが高いことです。
したがって、広告のCPOも高くなりやすくなってしまいます。
一方メリットは、広告投資の回収期間が短いことです。
2ステップ販売の場合は、トライアル販売から定期コース(本商品)に引き上がるまでにタイムラグが発生してしまいますが、1ステップで販売した場合は、1回目から本商品や定期商品を買ってくれるため、早期に投下した広告投資の回収が可能です。
さらに、2ステップ販売と比べて事業モデルがシンプルなので、定期販売モデルが機能すれば、「引き上げ」のためにCRMの複雑な仕組みを整備しなくてよいのもメリットです。
見るべきKPIも少ないので、とにかく手の足りないスタートアップ時には向いていると言えるでしょう。
2ステップ型のマーケティングは難易度が高いが、長期的に見ると・・
一方、トライアルセットや無料モニターなどお試し商品の申込を広告のオファーとするのが、2ステップのマーケティングです。
メリットは、高い引上げ率を担保できれば、1ステップ販売よりも定期CPOを低く抑えられることです。オファーの設計にもよるので一概にお伝えすることはできませんが、1ステップから2ステップのオファー設計に変更したほうが最終的なCPO効率が良くなるケースが多いです。
さらに、定期顧客のLTVが高くなりやすいのも、2ステップ型のメリットです。
お試し商品を使って、実感や納得をしたうえで本商品を購入するので、続けてもらいやすいのでしょう。
一方デメリットは、成功モデルの構築に難易度が高いこと。
なぜなら、引き上げの成功パターンを確立する必要があるからです。
ステップメールや引き上げ専用LP、オフラインの同梱物・アウトバウンド・DMといった施策もテストしていくのが求められ、工数がかかります。
またCPOやLTVだけでなく、引き上げ率・CPAなどモニタリングすべき中間指標も増えます。
新規顧客獲得だけでも0→1を軌道に乗せるのは難しいのに、CRMと合わせた「2正面作戦」はリソース配分という観点から厳しい企業もあるでしょう。
1ステップと2ステップ、今から販売を始めるならどちらがよい?
事業を早期に黒字化するのが求められる企業には、1ステップモデルが向いているでしょう。
大手企業などの傘下にはない、独立系の通販専業事業者に採用されやすい売り方です。
ただし、1ステップオファーは販売が難しくなってきているため、LTVを担保する仕組みに加え、初回購入時のハードルを下げる工夫に取り組むことが必要です。
対して、既に数十億円以上の売上を誇っている企業や大手企業のメーカー通販など、潤沢な資金がある企業は、2ステップモデルを採用している場合が多いです。
長期的なスパンで売上最大化を目指す場合は、2ステップモデルの方が向いているでしょう。
十分な資金とリソースを用意できる場合は、その分リターンも大きくなるのかもしれません。

1ステップと2ステップモデルの比較
広告のオファーというと、通販に詳しくない方にとっては、実務上の細かい判断事項にも思われがちです。
ですがオファーの設計は、事業計画の達成や収益モデルの確立に影響を与える、重要な意思決定です。
また、一度決めて販売を始めると途中でなかなか変更しづらいのもオファーの特徴です。
「手元にどれくらいの資金が残されているか?」や「いつまでに黒字化を達成したいか?」といった経営的な事情を踏まえたうえで、判断することをお薦めします。