「CPA」や「LTV」、「F2転換率」や「クロスセル率」など、通販業界に入るとさまざまな指標に触れる機会が多いと思います。
ただ通販業界に入ったばかりの方は、指標の定義や計算方法など難しく感じるのではないでしょうか。
この記事では、単品リピート通販事業で使用されやすい指標を新規顧客獲得の場面に絞って紹介します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
⇒解説資料はこちら
広告の費用対効果の指標、CPA・CPO・CPRの違いは?
単品リピート通販企業では新規の顧客を獲得する際、主に広告出稿を行います。
しかし、広告は多額の投資が必要となり、獲得効率が合わないと事業継続そのものが困難になります。
そこで重要なのが、KPIの管理。
収益が上がるまでの工程の間に指標を設けることで、ゴール(収益化)に向かって順調に進んでいるかどうかを可視化していきます。
その際必要になってくるのが、ここで紹介する指標です。
新規獲得だけに絞っても使われやすい指標は多くありますが、単品リピート通販で特に重要な指標は「CPA」「CPO」「CPR」の3つです。
各指標の定義について、簡単にまとめてみました。
次は、各指標を実際に使用する場面をご紹介していきます。
CPA(CPO)だけでOK?1ステップマーケティングの場合
単品リピート通販企業では、新規顧客を獲得する際1ステップマーケティングを用いる企業と、2ステップマーケティングを用いる企業の大きく2つに分けることができます。
1ステップマーケティングとは、「無料サンプル」や「お試しセット」などのお試し商品を用意せずに、1回目から本商品を販売するビジネスモデルのことです。
一方2ステップマーケティングとは、「無料サンプル」や「お試しセット」などで見込み客を集めて、本商品購入や定期コースの申し込みをしてもらうビジネスモデルのことです。
(参考記事:1ステップVS2ステップ広告、 ECの投資回収モデルから考える「オファー」)
1ステップマーケティングの場合、1回目から本商品を販売するため見るべき指標は「CPA」または「CPO」が基本となります。
たとえば100万円の広告費で、200件の商品購入があった場合のCPA(CPO)を考えてみましょう。
100万円(広告費)÷200件(商品購入)=5,000円(CPA)
1ステップマーケティングでは、「無料サンプル」や「お試しセット」などの見込み顧客獲得のステップがないため、広告費の早期回収が見込めます。
また見るべき指標が少ないため、KPIの管理がしやすいのも特徴です。
CPRや引き上げ率も見たい!2ステップマーケティングの場合
2ステップマーケティングでは、お試し商品の購入以外にも見込み顧客が本商品購入に繋がっているいるかを見ていくため「CPR」や「引き上げ率」も見る必要があります。
引き上げ率とは、見込み顧客の中から本商品購入や定期コースへ申し込みした人の割合のことです。
では、実際に計算してみましょう。
たとえば、100万円の広告費を投入して、500件の無料サンプルのお申し込みがあり、そこから200件の本商品の購入があった場合のCPR、CPO、引き上げ率をそれぞれ計算しましょう。
CPR:100万円(広告費)÷500件(無料サンプル申し込み数)=2,000円
CPO:100万円(広告費)÷200件(本商品購入数)=5,000円
引き上げ率:200件(本商品購入数)÷500件(無料サンプル申し込み数)=40%
また、CPOは以下のように引き上げ率とCPRからも算出することができます。
2,000円(CPR)÷40%(引き上げ率)=5,000円(CPO)
通販・ECのビジネスモデルでは、このCPRを低くするか、引き上げ率を上げることで顧客獲得単価を抑えることができ利益が大きくなります。
利益が大きくなることで捻出できる広告費用も増えます。
広告でさらに新規顧客を獲得することができるので、売上を拡大していく好循環が生まれます。
CPRや引き上げ率は、事業モデルの成否を左右する重要な指標と言えます。
また、上記の計算では「CPR」として紹介している数値を、「CPA」と呼ぶ場合もあります。
CPAは獲得する顧客の定義に曖昧な部分があるため、2ステップマーケティングで使用する場合は事前に定義を確認しておくことをおすすめします。
参考:CPO・CPR・CPAとは?3分でわかる、広告の費用対効果のKPI
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
⇒解説資料はこちら
獲得メディア別の中間指標
ここまで新規獲得の際、効果測定によく使われる基本的な指標を紹介しました。
しかし、新規獲得で使用する指標は他にもあります。
ここでは、オンライン広告とオフライン広告に分けてそれぞれ指標を紹介して行きます。
オンライン広告
ここで言うオンライン広告とは、リスティング広告やバナー広告、メール広告などのこと。
オンライン広告では様々な数値を管理画面上で確認できるため、KPIの種類も増えます。
オンライン広告では代表的な指標のみを見ていきましょう。
早速上記の説明を参考にしつつ、WEB広告のKPIの計算に挑戦してみましょう。
答えは以下のようになります。
CTR:5,000(クリック数)÷125,000(表示回数)=4%
CVR:50件(コンバージョン数)÷5,000(クリック数)=1%
CPC:1,000,000円(広告費)÷5,000(クリック数)=200円
CPA:1,000,000円(広告費)÷50件(コンバージョン数)=20,000円
オンラインメディアを活用する際は、その数値がどのような意味を持つのかを理解して効果測定に役立ててください。
オフライン広告
新聞掲載やラジオなどのオフライン広告でKPIとしてよく利用される指標はレスポンス率です。
理由は単純で、オンライン広告のように細かく数値を取ることが難しいからです。
新聞掲載を実施した時、新聞が届いてから「その新聞を読んだか?」「掲載した広告が見られたか?」など購入に至るまでを定量化するのは現実的ではありません。
そのため、CPOやCPR以外では、主にレスポンス率を使用し、シンプルに管理を行っていきます。
レスポンス率は申し込み件数÷広告出稿量で算出します。
たとえば、20,000部の新聞掲載を実施し60件の新規申し込みがあったとしましょう。
レスポンス率:60件(新規申し込み)÷20,000部(掲載部数)=0.3%
広告出稿量はメディアごとに定義が異なります。
メディアごとに母数になっている出稿量を明確にし、レスポンス率が何を指しているか把握していくとよいでしょう。
今回の記事では、新規顧客獲得の場面に絞って一般的なKPIの基礎をご紹介しました。
今後の業務にご活用いただければ嬉しいです。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
⇒解説資料はこちら