単品リピート通販では、いかに繰り返し購入してもらうかが事業の成否を分けます。
この記事では、前回に引き続き単品リピート通販で使われる「LTV」や「定期継続率」など既存顧客の管理に関わる指標の基礎知識を解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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既存顧客管理の5つの指標
単品リピート通販の多くは、1つの商品または1ブランドの販売をしています。
事業を拡大していくにはいかにリピート購入してもらうかが重要なポイントです。
せっかく広告費をかけて獲得した新規顧客との取引が1~2ヶ月で終わってしまっては、利益がでにくくなってしまいます。
さらに商材によっては、似た成分や訴求の商品を扱う競合企業が多くあります。
一度離れてしまった顧客を呼び戻すのは難しいといえます。
そのため、顧客と良い関係を築けているかという視点は、既存顧客を管理する上で必要不可欠です。
ここでは既存顧客管理に使われる代表的な5つの指標をまとめました。
既存顧客管理に使用する指標の計算方法と意味
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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事業の成否に関わる?LTVとは
LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、日本語では「生涯顧客価値」と訳されます。
1人の顧客が生涯でどれだけ自社の商品やサービスを購入したかの合計金額を表す指標です。
しかし、「生涯の売上」となると計測する期間が長すぎるため、正確に計算できない場合がほとんどです。
そこで、健康食品や化粧品など購入サイクルが短い商品を取り扱う単品通販企業の多くは「初回購入から1年間」をLTVの計測期間として運用しています。
たとえばAさんが、2020年4月に2,000円のトライアルセットを注文、5月から翌年3月まで継続して4,000円の化粧水を毎月購入しました。
さらに9月には7,000円の美容液を1回、12月には8,000円の美白クリームを1回購入しました。
この場合のAさんの1年間のLTVは、
2,000円+(4,000円×11)+7,000円+8,000円=61,000円です。
ただし、LTVの計測期間は初回購入から1年間が多いと紹介しましたが、商品によって顧客の購入サイクルが異なりますので、商品の購入サイクルに合わせて計測期間を設定しましょう。
また、多くの企業ではLTVを把握した上でさらに高める取り組みをします。
LTVを因数分解すると、「購入回数」と「購入単価」の2つに分けることができるので、LTVを高めるためには、
・購入回数を増やす
・購入単価を上げる
・購入回数・購入単価ともに上げる
という方法があります。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)を計算する方法と、算出の注意点
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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購入回数を把握する、リピート率
新規顧客に対して、どれくらいの顧客が商品をリピート購入しているかを表すのが「リピート率」です。
リピート率を把握しておくことで、様々な施策の効果を検証することができます。
また、繰り返し購入頂けるのは、商品や価格・サービスに対して顧客が満足しているからという見方もできます。
そのため、顧客満足度を客観的に知る指標の1つにする企業もあります。
F2転換率とは?まずは2回目購入を管理
「F2転換率」とは、リピート率の中でも特に2回目購入の割合を表す指標です。
既存顧客の管理でよく使われるRFM分析では、2回目購入顧客のことをF2と呼ぶためF2転換率と呼ばれています。
単品リピート通販は、リピート購入を前提としたビジネスモデルです。
まずは広告費を投資して顧客を集め、繰り返し購入いただくことで、売上を積み重ねて利益を出していく手法です。
そのため、初回購入のみの顧客が多いと、投資した広告費も回収できない事態になります。
そこでまずは、2回目のリピート率を特に重視しています。
たとえば、初回購入した1,000人のうち900人が2回目も購入した場合のF2転換率は以下のように求めます。
900人(2回目購入人数)÷1,000人(初回購入人数)=90%(F2転換率)
定期継続率とは?既存顧客のフォロー
健康食品や化粧品など単品リピート通販の業態では、売上と継続回数は密接に関係しています。
そのため、定期コースを設定している企業では特に、何回続けてもらえているのかをみていきます。
このとき使用するのが「定期継続率」です。
たとえば、1,000人が定期コースを申し込んだ場合をみてみましょう。
2回目継続が900人、3回目までは800人、4回目までは500人、5回目までは400人が残っていたとします。
2回目定期継続率はF2転換率と同じですので、3回目での計算をしてみます。
800人(3回目までの定期コース継続者数)÷1,000人(定期コース申し込み者数)=80%(定期継続率)
そのためそれぞれ、2回目継続率:90%、3回目継続率:80%、4回目継続率:50%、5回目継続率:40%となります。
このリピート回数を表す際に「回転数」を使う場合もあります。
定期継続率の使い方として、新規獲得からどれだけの顧客が残っているのかという意味で「残存率」を使い「〇回目残存率は△△%」などと表現する場合もあります。
また、この逆の概念として解約した顧客の割合を算出して「離脱率(解約率)」を指標に使う場合もあります。
単品リピート通販のビジネスモデルでは、継続して購入してもらうことで利益がでる仕組みになっていますので、既存顧客の継続率は常にチェックしておきたい指標の1つです。
参考:リピート率(継続率)とは?計算方法や業界平均、アップした事例まで
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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購入単価を高める、アップ/クロスセル
アップセルとは?
アップセルとは、顧客が買おうとしている商品より、価格が高い商品を勧める販売手法のことです。
たとえばスマホショップで契約を行う際、自分が選んだプランより内容が充実していて料金も高い、上位プランを勧められることがあると思います。
通販では
・今なら〇個セットで~~
・増量タイプのお買い上げで~~
などがよく見られますが、これもアップセルという手法です。
対象とする顧客のうち、どれくらいの割合で高価格帯商品への乗り換えが成功したかをみるのがアップセル率です。
たとえば、定期コースを申し込んだ500人全員にアップセルを行った場合を計算してみましょう。
アップセルを行った結果、100人がより高額な定期コースの申し込みをしたとします。
100人(アップセル成功人数)÷500人(アップセル対象人数)=20%(アップセル率)
ただし、単品リピート通販で2ステップ販売をしている場合は、本商品購入や、定期コースへのお申込みを表す「引き上げ率」と同じ意味でアップセル率を使う場合もあります。
どちらの意味で使っているかを確認した上で使用するようにしましょう。
参考:アップセルとは?客単価を高める3つのポイントと成功事例
クロスセルとは?
クロスセルとは、ある商品を購入した顧客にさらに別の商品を勧める販売手法のことです。
ファストフード店などで、「ハンバーガーとセットでお飲み物もいかがですか?」といった言葉を聞いたことがあるでしょう。
これもクロスセルという手法です。
この手法により、どれくらいの割合で追加販売できたかをみるのが、クロスセル率です。
実際に計算してみましょう。
たとえば、500人のお申込み者全員にクロスセルを行ったとして計算してみましょう。
お申込者のうち50人が、別の商品も追加購入することになったとします。
50人(クロスセル成功人数)÷500人(クロスセル対象人数)=10%(クロスセル率)
単品リピート通販での売上拡大に関わる代表的な指標をご紹介しました。
今後、実際の業務シーンでご活用いただければ嬉しいです。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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