リピート率(継続率)とは?
はじめに、リピート率(継続率)の一般的な定義を計算方法とともにおさらいしましょう。
リピート率(継続率)とは、商品を買ってくれたお客様のうち、次も購入してくれたお客様の割合のことです。
たとえば、ある会社で1ヶ月間に1,000人の新規顧客を獲得できたとします。
そのうち400人が2回目も購入してくれたときの割合をみてみましょう。
リピート率の計算式は
リピート率 = 2回目購入者数 ÷ 初回購入者数 × 100
で求めることができますので
400人÷1,000人=40%
この40%が、リピート率にあたります。
2回目購入した400人のうちの250人が、3回目も購入したとしましょう。
その場合、3回目までのリピート率は次のように計算します。
250人÷1,000人=25%
「2回目リピート率が40%」「3回目リピート率が25%」などのように使います。
リピート率と同様の意味で「継続率」が使われることもあります。
リピーター率との違いは?
リピーター率とは、一定期間で商品を買ってくれたお客様のうち、既存顧客(リピーター)がどれくらいいるのかを示す割合です。
よくある間違いは、累積顧客数や1年間に購入した顧客数を分母として、新規顧客の割合を算出してしまうこと。
たとえば、1年間に購入した顧客数が10,000人で、そのうち新規顧客が2,000人で既存顧客が8,000人だった場合、
8,000人÷10,000人=80%
この80%は「リピーター率」と呼ばれます。
何割がリピーターであるかではなく、何割の新規顧客が継続しているかがより重要です。
そのため見るべき指標は、リピーター率ではなくリピート率です。
新規顧客がリピートする割合が高いほど、事業の将来性が期待できます。
なぜ大事?リピート率の活用法
リピート率を計測する大きなメリットは主に3つあります。
顧客満足の目安になる
顧客が満足しているかは、サービスや商品を継続しているかに如実にあらわれるためリピート率は顧客満足の目安になります。
たとえば、新しい広告チャネルから獲得した顧客のリピート率が平均より低かった場合、「何かある!」と早期に原因を探り、想定していなかった顧客のニーズを知ることができたということもあります。
顧客のニーズを反映させたり、不満要因を除くことでリピート率が上がれば、顧客の満足度も上がっていると推測できます。
正確に顧客満足度を測ろうとすると、アンケート実施などコストと時間がかかるものですが、リピート率を把握しておくことで現在の状況を知ることができます。
広告費の効率化が可能
単品リピート通販は、初回はオファー価格を設定するなど安く販売し繰り返し購入してもらうことで利益を回収する仕組みです。
そのためどれだけ広告費をかけて新規顧客を獲得しても、初回購入のみでは利益は出ないため売れば売るほど赤字になってしまいます。
リピート率が高いのはどの広告からなのかを、メディア別またはクリエイティブ別に計測し、取捨選択することで効率の良い広告配信が可能になります。
実際に計測してみると、
「お試し商品は多く売れるけど、本商品購入が少ない」
「広告からの獲得件数は少ないけど、多くの方が本商品購入になっている」
などに気づかれると思います。
本商品を購入する顧客やリピート購入する顧客を確実に獲得できる広告に、予算を振り分けるなど効率良く新規を獲得していけます。
事業の安定成長につながる
リピート率を常に把握する長期的なメリットは、未来の売上をリピート率からも読み取ることができることです。
順調なときは投資に舵を切れるでしょう。また、売上が落ちる見通しがたった場合にはリカバリーの判断をすることができます。
たとえば、リピート率が高い場合は逆に離脱する顧客が少ない状態ともいえます。
初回購入から2回目・3回目と購入を続けるお客様が多くなれば、半年後、来年、再来年の売上につながるため全体の収益予測を立てることが可能です。
そのため、リピート率を定期的に計測することで事業が安定的に成長しているかの可能性を測ることができます。
リピート率の平均は?通販・EC業界での目標値や目安
このリピート率、実際のビジネスではどれくらいの数字であれば「合格点」と言えるのでしょうか?
飲食業や美容院、ECなど業界によって平均や目安はさまざまです。
前章でお伝えしたビジネスモデルにもよっても異なりますが、30%程度を目安として目指せるとよいでしょう。
コンサルタントなど経験豊富な専門家の方の知見も、それぞれ見てまいります。
トライアルから本品なら、25〜35%は目標にしたい
たとえば、通販やECのビジネスモデルの成功法を基礎から分かりやすく解説している「ゼロからはじめる通販アカデミー」(田村雅樹)では、トライアル(お試し)商品から本品へのリピート率を、以下のように解説しています。
トライアルから本品ならば、目標値は35%。
トライアルと本品の価格差が15,000円以上と大きい場合でも、25%は死守したいところです。
トライアルがなく、新規獲得を本品で行う場合は、定期購入客を除いて180日以内に40%以上をキープしましょう。
化粧品通販での目安は?お試しセットの価格によっても違い
また、ネット通販のマーケティングについて実践的なノウハウが豊富に掲載されている「デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法」 (西井敏恭)では、化粧品通販におけるケースとして、以下の数字が紹介されています。
化粧品の無料サンプルが0円、お試しセットが1000円、本商品が5000~1万円だとします。
0円の無料サンプルからF2転換する率は20%ですが、1000円のお試しセットからF2転換する率は35%と高くなっています。
でも、その後のF3転換率は60~70%と同じくらい。
さらにそれ以降のF4、F5になってくると、ほぼ同じ数字になってきます。
ほとんどの専門家の方に共通するのが、リピート率、そのなかでも初回から2回目への「F2転換率」(引き上げ率)を高めるのが、事業の収益性アップのためにインパクトが大きいということ。
その他の業界については、残念ながら筆者自身が実態に即した情報を把握できていませんが、ぜひ業界に詳しい方や実務経験のある方にヒアリングしたり、書籍やインターネット等で公開情報を調べたりなど、数字の目安を早めにリサーチするとよいでしょう。
事例紹介:リピート率を上げるには?
最後になりますが、リピート率をアップするためには、どうすればよいか?
まずは通販業界の定石を学ぶこと、そして自社の過去データを分析して出した改善施策をA/Bテストで検証していくことが、地道に見えて成功への近道かもしれません。
通販業界の定石をマネする
お試し商品から定期購入への引き上げにしても、定期コースの離脱率を下げるにしても、通販業界では先人たちが実験を重ねて確立してきた方法論があります。
「これから既存顧客への対策を始める」「リピートの仕組みをゼロから創りたい」という方は、通販業界の定石をマネしてみてはいかがでしょうか?
たとえば、初回購入後に適切なタイミングでフォローメールを送る、顧客心理を推測して求めている情報を伝える、など。
件名や配信時間も勝ちパターンは定まっています。
(参考記事)
「お試し購入からの“引き上げDM”、顧客心理に合わせた3ステップ設計とは?」
「引き上げ率アップの“実証済み”、フォローメール3つの理論」
データ分析で、自社の勝ちパターンを見つける
通販事業を何年か行ってきて、既存顧客の購買履歴がたまっているならば、データベースを分析してみましょう。
「どのような顧客がリピート購入してくれるか?」や、逆に「お客様が離脱してしまう理由は?」などが分かるはずです。
定期コースを初回から用意する場合や、オファー価格を設定するなどビジネスモデルによって離脱理由が変わったり、決済方法が鍵となることも。
(参考記事)
「顧客の購入パターンを分析して、LTVアップの“分岐点”が判明」
「「クレジットカード決済=LTVが高い」 通説の真相は?」
「あなたの会社で、定期顧客が離脱する理由、把握してますか?」
A/Bテストで、改善施策を検証する
定石にもとづいてデータを分析したうえで、「こうすればリピート率が上がるのでは?」「離脱率を下げるために、この施策を導入しよう」という仮説が生まれたら、ぜひ既存のテストと並行してA/Bテストをしてみましょう。
新しい施策を実施した顧客のリピート率がアップしていれば、その施策は成功と検証できます。
(参考記事)
「平均改善率183%、スマホメールの単純なテクニック」
「定期継続率が5%改善、“社会貢献”が“利益”を生む!?」
リピート率を上げるためには、地道な学習とテスト・分析が大切です。
ぜひ文中で紹介した記事もご覧になって、数値のアップに役立てていただければ嬉しいです。