「定期購入」「定期コース」「サブスクリプション」など、定期購入モデルに注目が集まっています。この記事では、定期購入とサブスクリプションの違いやメリット、定期顧客数をアップするための方法を具体的な施策とともに解説します。
通販事業の現場で使われているKPIを新任担当者でも分かるようにまとめました。
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目次
「定期購入」「定期便」とは?
定期購入は、商品を定期的に定額料金で購入する仕組みです。たとえば、洗剤やコンタクトレンズといった日用品や食品、サプリメントや健康補助品、化粧品など、定期的に消費される商品を中心に使われています。「定期コース」「定期便」とも呼ばれています。
特に、化粧品や健康食品などの通販企業では、顧客に継続的に購入(リピート)してもらうことが売上アップの鍵を握るため、定期コースを取り入れているケースが多いでしょう。
続けてもらえるように、毎月の購入を前提に都度購入よりもオトクな割引価格の「定期コース」を用意したり、「送料無料」や「3回目の継続特典プレゼント」、「ポイント還元」といった定期会員になるメリットをつけて販売します。
たとえば、完全栄養食を販売するBASEFOODでは継続コース初回特典として
- いまなら初回送料500円無料
- 商品価格20%OFF
- BASE Cookies ココナッツ1袋無料プレゼント
をつけていて、2回目以降は10%OFFになります。
顧客はなぜ定期購入するのか?
定期購入することで、毎月・毎週など自動で届くので、買いに行く手間や時間を省けたり、サービスによっては都度購入よりも安く購入することができるメリットがあるため、顧客は定期購入を選択します。
実際に、定期購入利用者に定期購入する理由を聞いたアンケートによると
1位「定期購入のほうがお得だから」
2位「都度購入しなくても良くて楽だから」
という結果に。
(出典:2人に1人が定期購入利用、安さだけでない理由とは?より)
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定期購入とサブスクリプションの違いは?
サブスクリプションとは、「商品やサービスを一定期間利用でき、それに対して定額で継続的な課金が発生する販売方法」です。
定期購入とサブスクリプションは、定期的かつ定額で商品やサービス利用できる点は同じなので、どちらの言葉の定義にも当てはまる商品・サービスもあります。ただ、サブスクリプションのほうが対象となるサービスの幅が広いといえます。
たとえば、主に食品や健康食品、アパレルといった商品を提供するサービスは定期購入・サブスクリプションどちらにも当てはまりますが、音楽のストリーミングサービスやクラウドサービスといったコンテンツを提供する場合には「サブスクリプション」と呼ばれることが多いです。
ただ定義が曖昧な部分もあり、両者は明確に分けることが難しいでしょう。
サブスクリプションについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
サブスクリプションとは?国内の成功事例・市場規模とビジネスモデル
定期購入モデルのメリットとは?なぜ売上アップできるのか
定期購入のメリットは全部で3つです。
- 収益が安定する
- 事業計画が立てやすい
- 顧客をファン化しやすい
具体的に説明していきます。
メリット1:収益が安定する
定期購入は、新規獲得した顧客が来月以降の顧客になる可能性が高く、収益が安定しやすくなります。単品購入の場合と比べると、収益の予測や計画を立てやすいでしょう。
ただし、収益を安定させるためには、適切なCRM施策を行っていることが重要です。継続率が低い場合、新規獲得の広告費ばかり膨らんでしまったり、初回割引オファーを設定している場合は初回購入が多いと赤字になってしまいます。定期コースへの引き上げ率や、2回目以降の継続率をしっかりと見ていく必要があります。
メリット2:事業計画が立てやすい
定期購入は、契約数や一人当たり単価から将来の売上が予測しやすいため、事業計画が立てやすいでしょう。
また、消耗品などは一定の頻度で消費され季節的要因で売れ行きが左右されないためニーズが安定していることから、投資する際の目安も考えやすくなります。
メリット3:顧客データを活用しやすい
定期購入ビジネスは、顧客の利用状況をはじめとして「解約理由はなにか」「どのような属性の顧客が継続購入しているか」などのデータを取得しやすいビジネスモデルです。
問題点や不満点を把握してサービスや商品の品質を改善したり、顧客の声をもとにニーズや嗜好性を把握し広告の訴求開発に生かすことで、新規顧客の獲得に活用できます。顧客の声を拾ってサービス・商品の全体の満足度を高めることで、口コミや評判が広がる可能性もあるでしょう。
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定期購入ビジネスで売上をアップするための方法2つ
このように売上げアップにつながる定期購入ビジネスですが、具体的にどうすれば売上アップできるのでしょうか?
1. 新しく定期コースに申し込む顧客を増やす
2. 定期コースの解約者を減らす
大きくこの2つです。具体的な方法を順番に紹介します。
1.新しく定期コースに申し込む顧客を増やす
1つ目は当たり前ではありますが、定期購入する顧客数を新しく増やすことです。定期購入までのルートは、初回から定期便を購入してもらう1ステップ型と、初回のハードルを下げて定期コースに引き上げる2ステップ型の2種類があります。それぞれのアプローチ方法を解説します。
2ステップ型:新規顧客を定期コースに引き上げる
一度購入したお客様に定期購入を進めることを「引き上げ」といい、通販企業の多くは2ステップ型を採用しています。初回1,000円や本商品の50%OFFなど低価格のお試し商品を用意して、お試し商品を購入した顧客に定期コースを勧める手法です。DMやステップメール、アウトバウンド、最近だとLINE公式アカウントを活用してアプローチしていきます。
引き上げの具体的な施策を以下の記事にまとめましたので、ご覧ください。
- メール
「お試し購入からの“引き上げDM”、顧客心理に合わせた3ステップ設計とは?」
「引き上げ率アップの“実証済み”、フォローメール3つの理論」 - LINE公式アカウント
「お試し客へLINEのステップ配信で、定期引き上げ率を高める方法」
2ステップ型は初回購入の価格のハードルが低いため新規獲得はしやすいですが、その後定期コースへ引き上げられるかどうかが長期的な利益回収につながりますので2回目の継続率(F2転換率)や引き上げ率をKPIとして見るようにしましょう。
1ステップ型:初回から定期コースを購入する
通販企業ではあまり多くありませんが、定期便のお得さを強調し選んでもらうようにする販売方法です。サプリの定期便を販売しているFUJIMIや化粧品を販売しているKINSなどは、定期コースの初回を割引したり、単品購入よりもお得な価格にすることで顧客を獲得しています。
また、商品のランディングページ上で、定期的に続けることで得られる効果や、実際に続けている人の口コミを掲載することで、定期購入することの意味を理解していただく、という工夫をしている企業もあります。
2. 定期コースの解約者を減らす
2つ目は、定期顧客の解約者数を減らすことです。
解約率が高いということは、届けたいサービスの価値を最大限に顧客に感じてもらえなかったということ。新規顧客を獲得したとしても、その分離脱されてしまうかもしれません。解約率を下げることで、新規顧客が増えるごとに毎月の売上が増え、収益を安定させることができます。
解約者数を減らすための方法を2つにわけてご紹介します。
①定期顧客のロイヤルティを高める
1つ目は定期顧客になってくれたお客様のロイヤルティを高めること。商品と一緒に同梱物を入れたり、商品発送後のメールやLINEでの定期的なフォロー、会員限定のポイント付与などで継続するメリットを感じてもらいます。
具体的には、 同梱物やメール、LINEを活用して以下のようなことを行います。
- 商品の使い方を解説やよくあるQ&Aを伝えて継続してもらいやすくする
- 成分説明や使用者の声を伝えて、不安を払拭したり未来に期待してもらう
- 商品の思いや開発ストーリーを綴って企業への信頼を高める
継続回数の多いロイヤル顧客には、顧客ランクを高めてポイントを貯まりやすくしたり、○回目継続プレゼントを進呈したりなどで、感謝を伝える方法も有効です。競合へのスイッチングを防ぐことにもつながります。
②解約前に継続する方法を伝える
お客様から解約の連絡を受けた場合は、継続するメリットを伝えたり、お客様が解約したい理由に沿って解約以外の方法を提案してみましょう。
たとえば「商品が余っているから」という顧客には「休会制度」を勧めます。最近では、LINE公式アカウントを使って解約抑止を自動化する事例も出てきました。
そのほかには、
- お届け頻度の変更が可能なこと
- 退会するとポイントが失効してしまうこと
- 継続した際の特典
などを伝えます。人は得ることよりも失いたくない感情のほうが強いため「購入をやめる」ことに抵抗があります。もったいない・続けたほうがお得かも、という感情に働きかけるのも1つの方法です。
LINEで解約抑止を自動化している通販企業の事例をまとめました。
⇒事例集はこちら
定期販売モデルは、さまざまなビジネスに応用可能
この記事をお読みになった方のなかには、通販ビジネスに関わっていて「これから定期販売モデルを立ち上げよう」「成功企業のノウハウを取り入れて軌道に乗せよう」という方もいらっしゃるかもしれません。
このブログには、マーケティング事例・ノウハウをまとめた「定期コース」に関する記事も用意していますので、よかったらご覧になってください。
また弊社グループでは、単品リピート通販企業・サブスクリプション企業を中心に広告やCRMの支援を行っています。通販以外の業種の方にとっても、この定期購入モデルはさまざまなビジネスで応用できます。
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たとえば慈善団体への寄付にも「マンスリーサポーター」といって毎月募金する仕組みが用意されています。私自身もNPO法人に勤めたことがあるのですが、定期通販のマーケティング理論を取り入れて、寄付会員の獲得による資金調達をしていました。
みなさんのビジネスでも、今回紹介したような「引き上げ」や「解約抑止」など定期販売の方法論を活用いただければ嬉しいです。
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